Fantasy Story
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#27 [英]
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「うわああああ!!!……あ、あれ…?」
夢から覚めれば透は悲鳴に近い叫びと、間抜けな声をあげた。
「へ…夢?そ、そっか…僕寝ちゃったんだ…」
視界に広がる青は学校の屋上から見える空と同じ色で…だけど今寝転がっている地面は屋上とは違った。
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:08/09/17 22:14
:W53T
:W0ycFVR2
#28 [英]
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手を探るように動かしてみれば、そこにあるはずのない土と地面から生えた草が透の指に触れたのだった。
「…どうして土が…」
…あるんだろうか?
そう言葉を発する前に、風と共に流れてくる草木や土の匂いに気付いた透は空を眺めるのを止め、ガバッと効果音がつく程勢い良く上半身を起こした。
それと同時に周囲を見回せば、冷や汗が額から流れ出てくる。
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:08/09/18 01:49
:W53T
:0TIpl6QI
#29 [英]
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「――も、森…?」
広場のように空いた場所の中心に透は居た。
緑色の短い草が敷き詰められていて、広場は奥が見えない程沢山の木々に囲まれている。よく見て見れば、真上にある青空はその高く伸びた木々によって狭いものとなっていた。
「森だなんて入った覚えないんだけど…」
呆然としていると、屋上で起こった出来事を思い出した。
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:08/09/18 18:55
:W53T
:0TIpl6QI
#30 [英]
『“向こう”に行けばお兄さんに会えるでしょう』
「ああ…此処があの子の言っていた“向こう”なのか…」
屋上で会った少女の言葉を全て思い出した透は深い溜め息をついた。
こんな鬱蒼とした森に水人は居るのか…。もし居たとしても、森の中を一人で歩く勇気なんてない。
そう心で呟く透だが、ずっと此処に座ってるわけにもいかず、重たい腰をあげた。
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:08/09/18 21:43
:W53T
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#31 [英]
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――いたぞ!あそこだ!!
突然、男の叫びが森中に響いた。そして叫びに続いて幾つもの足音がこちらへと駆けて来た。
人がこの森に居る事が分かって少し安心する事が出来た……が、何故かその足音は広場へとは出ず、途中で止まってしまった。
「何で隠れてるんだ…?」
小さな声で呟やいた透だが、風がなくなった今、物音一つしない森では十分に響いた。
だが誰一人、返事をする者はなく…ジッと木々の陰に潜んでいた。
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:08/09/18 22:16
:W53T
:0TIpl6QI
#32 [英]
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あまりにも怪しい空気に緊張が走る。
一度流れた冷や汗はまた流れ出し、量が増すばかりだ。
木々の隙間から見える小さな光が幾つもあって、それらを見た透は立ったまま動く事が出来なくなった。
懐中電灯や携帯電話のライトとは全く違う、とても冷たくて鋭い光…。
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:08/09/19 01:50
:W53T
:Ltw.xKIY
#33 [英]
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「動くな。動けば貴様の身体に数十本もの矢が突き立つぞ」
男の言葉に、透は顔を真っ青にさせた。
先程から小さく光っていたものが矢だとわかると、足が、身体が、途端に震え始める。
動けば一斉に矢が放たれるだろう。透は動かないように足を突っ張らせるが、震える身体は言うことを聞かず、ガクンと折れるようにして座り込んでしまった。
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:08/09/19 14:29
:W53T
:Ltw.xKIY
#34 [英]
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「動くなと言ったはずだ!」
怒鳴る声と同時に数本の矢が放たれ、透を囲むようにして地面へと突き立った。
「ひ…っ」
矢だなんて初めて見る。
いつもなら興味津々にそれを見ていただろうが、今はそんな余裕なんて無かった。
もう透の心には恐怖しかない。
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:08/09/20 18:05
:W53T
:TxzOERd2
#35 [英]
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「汚らわしい王国の人間よ…“シュウレン様”を何処へやった…」
「教えろ、あの方は今…」
「早く…早く…」
「教えなければ、」
――殺す。
物騒な言葉、だけじゃすまない。
彼らの声はとても穏やかなものとは言えない。透は直ぐさまそんなもの知らない、と言い頭を横に振りたかったが、それすら出来ないぐらいに身体は竦んでいた。
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:08/09/21 01:27
:W53T
:dVBbJtIo
#36 [英]
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「やはり王国の人間は何処までも汚らわしい…」
もういい、他を当たろう。
その一言で周囲は冷たい空気に包まれた。また幾つもの鋭い光が木々の隙間に現れ、透へと向けられる。
ああ、こんなわけの分からない所で、理解出来ない事を言われて、僕は殺されてしまうのか…
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:08/09/21 01:35
:W53T
:dVBbJtIo
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