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#172 [◆LOSh2yD9/c]
その沈黙に耐えきれなくなった俺が、先に口を開いた。

「…あの!俺、超気マズイんですけど…」

「そうか?」

「は?」

「どちらかと言えば笑えるな」

「はぁ…?まぁ、わかる気もするよーな…」


やっぱりコイツって、ワケわかんない奴だな

⏰:09/03/29 03:50 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#173 [◆LOSh2yD9/c]
俺はそう思い小さく苦笑した。

奴はそんな俺を見て、不思議そうな顔をしていたけど。


「あれから俺は、朝一の便でフランスに戻ろうと空港に向かったんだ。そしたら、上司っていうのか?ま、社長みたいな人から電話がかかって来て、暫く日本にいていいって言われてさ…」

「ええっ?!それっていいのか?仕事は?」

「あーそれは俺も言ったんだが、問題ないと仕事用具一式速達で送られてきた」

「はあ?!」

⏰:09/03/29 05:10 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#174 [◆LOSh2yD9/c]
「まぁ大体はこっちにも揃えて置いてあるから困らないんだけどな」

「い、意味がわかんねぇ!!」

「要するに、期限までに終わらせれば問題ないって訳」

「そーじゃなくて内容が!」

「は?」

「つかそれならこんな所で絵なんか描いてていいのかよ?つかアンタ絵上手すぎなんだよ!!」

「ああ、これは慣らしみたいなもん」

「はああ?!」

⏰:09/03/29 05:12 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#175 [◆LOSh2yD9/c]
「…趣味みたいなもん」

「へぇー。でも本当凄いですよ、俺吃驚しましたから!趣味って言うレベルじゃないっつーかプロ並みだし!!」

奴は俺の絶賛に、少し照れた表情で微笑んだ。

「…鉛筆だけで描くのは、久しぶりなんだ」

「久しぶりでもあんなに凄いのが描けるなんてどーゆー腕してんだよ!風景がそのままモノクロの世界になった感じ!!」

俺は興奮したまま喋っていた。

だって俺、絵とか正直良くわかんねぇけど、感動したのは事実だし。

⏰:09/04/10 04:27 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#176 [◆LOSh2yD9/c]
「…お前って」

「え?」

「いや…」

「…?」

不意に真剣な眼差しに出会い、何だろうと不思議に思った。

でも問いかけるとその瞳はすぐに空に向けられてしまった。

「…でもな、俺は満足していない。やはり眼鏡をしていると視界が遮られて仕様がない」

「は?良く見えるようにかけてんだろ?嫌なら外せばいいじゃん」

⏰:09/04/10 04:28 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#177 [◆LOSh2yD9/c]
「これは伊達だ。俺だって好きでしてんじゃねぇよ、煩わしいのが嫌ならバレないようにすればいいってエリサが……」

「え?」

段々と声が小さくなっていき、奴は俯きだした。

エリサ…?

って確か、奥さん?

ん?ってコイツまたブルーになってやがる!!

「ど、どうしたんだよ?!」

俺が若干焦りながら奴の様子を伺っていると、我に返ってくれたのか奴は真顔を向けてきた。

⏰:09/04/10 04:30 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#178 [◆LOSh2yD9/c]
「…所でお前、学校はちゃんと行ったのか?」

「は?ちゃんと行ったし!お陰で友達に爆笑されたけどな!!」

「ははっだろうな」

「笑い事じゃねーよ」



それから俺たちは小さく笑い合い、お互いの今の心境を少し話した。

流石に昨日の今日だから、そんなに変化はないけどね。

⏰:09/04/10 04:32 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#179 [◆LOSh2yD9/c]
俺は、やっぱりまだ未那のことを引きずっているということを。

奴は、送られてきた荷物の整理をした後ずっとここで絵を描いていたから奥さんとは逢えていないということを。


「そういえば、お前はこの近くなのか?」

「え?あぁ、そうだなバイクで十五分くらい?」

「ふーん」

「あんたも近いの?」

「車で三十分くらい?」

「わ、わざわざ?近くはないんだね」

⏰:09/04/10 04:34 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#180 [◆LOSh2yD9/c]
「…近いんじゃない?」

…車だからだろ!

「じゃあ今日は車?」

「ああ。…と言うか、歩きでも然程変わらないと思う。此処まで来る道が入り組んでるし、昨日がそうだったから」

「ええっ?何で…」

「ふらふら歩いてたら此処に辿り着いた」

「………」

…俺と同じか

そりゃそうか。偶然って恐ろしいぜ…

⏰:09/04/10 04:40 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#181 [◆LOSh2yD9/c]
「ま、こんな荷物持って歩くのはごめんだしな」

「あぁ…」


そんなこんなで俺たちは会話を弾ませ、気がついたら日も暮れていた。

ベンチから見える景色はとても美しい。

オレンジ色の夕日が水面に反射し、ゆらゆらと揺れている。

ちょっとした隠れスポットだと思った。



……に、してもだ。

⏰:09/04/10 04:43 📱:F906i 🆔:☆☆☆


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