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#272 [我輩は匿名である]
有無を言わさないかのように無言の視線が痛い。

俺は仕方なく慧弥さんの後ろに跨る。

「んじゃ、しっかり捕まっとけよ」

「…はい」

慧弥さんは俺の返事を確認すると勢い良くエンジンをかけた。

行き先は、勿論知らない。




―…結局慧弥さんち(マンション)に戻って来ちまった。

⏰:10/08/29 21:28 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#273 [我輩は匿名である]
慧弥さんはずっと無言だった。

何度かチラ見したけど、その表情からは何も感じ取れない。

はぁ。いたたまれないなぁ…

一度ならず二度もすっぽかした訳だもんな


家に上がり、テーブルに促され、前も煎れてくれたあの高級茶を二人分用意すると、漸く慧弥さんは座った。


と、とりあえず謝らないと…!

⏰:10/08/29 21:31 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#274 [我輩は匿名である]
「あ…、あの、」

「で、今度は何だ?」

「は?」


慧弥さんは何故か笑っているようだった。

俺は意味わかんなかったけど、とりあえず謝ろうと思った。

「……すみませんでした。連絡、しなくて……」

「今度は素直に言ったな」

「……?」

⏰:10/08/29 21:33 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#275 [◆LOSh2yD9/c]
言葉の意味をまたもや理解出来ずにいると、慧弥さんは更に笑みを浮かべ、補足した。

「"出来なかった"んじゃなくて"しなかった"んだろ?」

「……!!」


「いや、あの……。俺、慧弥さんにどう接したら良いのか、わかんなくて…」

「……………」

「すっ…すみません!俺、慧弥さんが名家の人だったなんて知りませんでした!!」

「……………」

⏰:10/08/31 01:50 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#276 [◆LOSh2yD9/c]
俺は意を決し頭を下げて叫んだ。

……だがしかし慧弥さんの反応はない。

俺は恐る恐る顔を上げて見ると、慧弥さんは俯き、肩を震わせているようだった。


え!?
やばい、もしかして怒ってる?!

「け、慧…」

「……く、駄目だ。堪えらんねー、ははは…」

「は?!!」

慧弥さんは顔を上げると腹を抱えて笑い出した。

⏰:10/08/31 01:52 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#277 [◆LOSh2yD9/c]
ま、まじで意味がわかんね〜〜

何がどーなってんだ?!


「……お前はな、俺の親友だった奴に似てるんだよ」

「え?」

慧弥さんは少し落ち着き、一息吐いた後唐突に告げた。


「この間のことといい、今回のことといい…、何でだろうな。顔や雰囲気も全然違うのに」

そう言ってまた小さく笑い出す慧弥さん。

⏰:10/08/31 01:54 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#278 [◆LOSh2yD9/c]
…勝手に盛り上がってる所悪いんだけど、全く理解出来ないんですけど!!


「親友"だった"……?」

そう。俺が引っかかっていたのはそこだった。

過去形なのはどうしてだ?


「…ああ。あいつは、もうこの世にはいない」

急に慧弥さんから笑みが消えた。


「あの、慧弥さん?全然話が見えないんですけど…」

⏰:10/08/31 01:56 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#279 [◆LOSh2yD9/c]
俺の言葉に奴は大きな溜め息を吐いた後、淡々と喋り出した。

「お前が"画家の俺"も"名家の俺"も知らないなら知らないで別に良かった。それに、お前の行動の意味は大体予想はついていた。」

俺は今だに状況が理解出来ていないままだったが、とりあえず黙って話を聞いた。

「俺は、普通の人間として接してくれた方が良い。俺を特別視しないでくれたのは、お前とエリサと、亡くなった親友だけだ。だから、俺はもう大事な人を失いたくないんだよ…」

「……慧弥さんの言いたいことは、何となくわかりました。でも、そもそも俺とは次元が違うって言うか、住む世界が全然違うんですよ!だから俺みたいな一般庶民が関われる人じゃないし、あり得ないんです!!」

⏰:10/08/31 02:02 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#280 [◆LOSh2yD9/c]
「もう遅い。お前は俺に関わっちまった。只で帰れると思うなよ」

「はいいいいっ??!!!」

「冗談だ」


…〜〜っテンメーッッッ!!!


「まぁ冗談はさて置き、此処まで乗りかかっちまったんだ、全部話すから最後まで付き合ってくれよ」

「はぁ…?」

俺は曖昧な返事をした。

相変わらずこいつは訳わからん奴だ。

⏰:10/08/31 02:05 📱:F906i 🆔:☆☆☆


#281 [◆LOSh2yD9/c]
―――――――――



俺の父は指揮者で指導者。母はバイオリニスト。姉はピアニストで旦那もピアニスト。
ちなみに祖父たちも元指揮者とか、みんな音楽関係な訳。

そんな音楽一家に生まれた俺の下には、もちろん音楽家へのレールが引かれていた。

音楽に関することは勿論、色んなスキルを身に付けさせられた。

物心ついた頃にはもう音楽は俺の一部だったな

⏰:10/08/31 23:57 📱:F906i 🆔:☆☆☆


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