短編集
最新 最初 全 
#82 [◆LOSh2yD9/c]
馬鹿な私は高校最後の夏、やっと真剣に自分の将来について考えた。
「………まま、私、……看護師になる」
色んな学校を見て回って、沢山悩んで沢山考えた結果、辿り着いた答えは私が"絶対なりたくない"と断言したものだった。
私の答えに、ままは一瞬だけ驚いた顔をした後、"……そう。頑張りなさい"と、只優しく微笑みながらそう言うだけで、理由は聞かなかった。
:08/11/13 02:09
:F906i
:☆☆☆
#83 [◆LOSh2yD9/c]
それから私はひたすら勉強をした。
遅い決断だったし、今の私の学力じゃ厳しいってわかってる。
最悪、浪人するかもしれない。
そう覚悟はしてた。
でも努力して努力して…
最後の最後まで諦めなかった。
そして、その努力が実ったのか、私は晴れて看護学生になることが出来た。
:08/11/13 02:24
:F906i
:☆☆☆
#84 [◆LOSh2yD9/c]
…嬉しかった。
本当に、合格通知が来た時は飛び跳ねて喜んだっけ。
家族も友達も、みんな喜んでくれた。
数日後、教材やらナース服やらの荷物が届き、私は嬉しくなって早速ナース服を着てみた。
ままにそれを見せると、"…実紗も、本当に看護師になるのねぇ……"なんて言ってた。
その時ままが涙ぐんでたのは、私の見間違いじゃなかったと思う。
:08/11/13 02:45
:F906i
:☆☆☆
#85 [◆LOSh2yD9/c]
その時、"学生じゃなくて、絶対看護師になろう"って、心に誓った。
それからが辛かった。
覚えることは山のようにあって、一つの教科が終わればすぐテストだし、毎日レポートに追われ、常に寝不足状態。
おまけに実習なんかが始まれば、遊ぶ余裕さえなかった。
何度挫けそうになったか。
何度逃げ出したいと思ったか。
:08/11/14 03:16
:F906i
:☆☆☆
#86 [◆LOSh2yD9/c]
でも一番応援してくれて、支えてくれたのは家族だった。
同じ志を持つクラスメイトの存在が、私を強くし、成長させてくれた。
たまに遊んだ地元の友達が、私に元気を与えてくれた。
私はみんなの支えがなければ、ここまで来れなかったと思う。
ありがとう。
みんな、感謝しているよ…
:08/11/14 03:40
:F906i
:☆☆☆
#87 [◆LOSh2yD9/c]
…あ。
国試が近付くと、それこそ死ぬもの狂いで勉強したっけ。
高3の時とは比にならないくらいに。
それで合格者の中に私の番号を見つけた時は、泣いて喜んだっけ。
同じく、高3の時とは比にならないくらいに。
これで晴れて私も看護師だぁ!って思うと、本当に嬉しかった。
:08/11/14 03:47
:F906i
:☆☆☆
#88 [◆LOSh2yD9/c]
まぁ実際、なってからが一番大変だったんだけどね…
何しろ改めて覚えることが沢山あって、毎日が慌ただしく過ぎて行って…
でも、凄く充実した日々だった。
あっという間に一年が過ぎて、もうこの病院にも大分慣れた。
そして、教えてもらう立場から、教える立場になった。
:08/11/14 03:56
:F906i
:☆☆☆
#89 [◆LOSh2yD9/c]
「…ねぇまま、私ね、今でも何で看護師の道を選んだのか、ハッキリ答えられないの。……もしかしたら心のどこかで、ままに憧れてたのかな。」
「……………」
「何で看護師なんか選んだんだろうって辛い時期もあったけど、今は本当になって良かったって思ってる。…これが私の天職だって思える」
「……あんたを見てればわかるわよ」
相変わらずままはクールだ。
でも、ちゃんとわかってるよ。ままはいつだって私を思ってくれている。
:08/11/14 04:29
:F906i
:☆☆☆
#90 [◆LOSh2yD9/c]
「…これからも頑張らなくちゃね!!」
私はままの言葉ににっこり笑顔で答えると、コーヒーを一気に飲み干した。
ままはやれやれといった表情で、残りのサンドイッチを平らげた。
「さっ!帰ったら一緒に一眠りでもしよっ♪」
「帰ったら掃除洗濯、やることは一杯あんのよ」
私の満面の笑みは、冷ややかな顔で却下された。
:08/11/14 04:39
:F906i
:☆☆☆
#91 [◆LOSh2yD9/c]
"行くよ"とだけ言うと、食べ終わったトレイを持って、さっさと行ってしまった。
「ちょっと待ってよー!」
慌てて追い掛ける背中に、私は思った。
こんな中途半端な私だけど、育ててくれて、見守ってくれて、支えてくれてありがとう。
これからも、この仕事に誇りを持って生きていくよ。
そして将来結婚して子供が出来たら、自慢したいな。
:08/11/14 04:58
:F906i
:☆☆☆
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194