【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#110 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「正確な位置は掴めませんが、居合わせた燕弥(エンビ)に賊の臭いを覚えさせました」

「よし、でかした。燕弥!!そこに隠れているのだろう?出てこい」

そう言って青年はギードルに向かって叫ぶ。

「あぁーもう!!分かってるよ」

青年が叫ぶのと同時にギードルの後ろからひょっこりと少年が飛び出した。

背格好こそレインと変わらないものの、彼の目は少しつり上がり額に小さな傷。

燕弥 [jpg/36KB]
⏰:08/11/03 15:02 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#111 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「何!?ギードルと賊を追いかければいいの!?」

腕を組み、ギードルを顎で指しながら青年と話す燕弥。

態度こそ大きいものの、それを青年が許しているところを見てみれば、互いの信頼が厚いと言うことだろう。

二人の会話を聞きながらレインはそんなことを考えていた。

「いや、お前はここにいるレインと行ってもらう」

⏰:08/11/03 15:02 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#112 [紫陽花→渚坂 さいめ]
ぼーっとしていた頭を一気に覚ますような青年の思いもかけない言葉に、レインは一瞬言葉を失った。

「うぇ!?ななななんでオイラが……」

わたわたと首を振ってみるものの青年は怪しい笑みを浮かべるばかり。

⏰:08/11/03 15:03 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#113 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「すいません……本来、僕が行くべきなんでしょうけど、僕の全てをかけた事件が時効になりそうなんです……」

申し訳なさそうにギードルは頭を下げた。

「事件?時効?ギードルさんは秘書なんじゃ……」

不思議そうにレインは首を傾げる。

「ギードルは18歳にして、学年トップ、秘書役、警視総監、弁護士とか、色んな肩書きを持ってらっしゃるんですよー」

イヤミったらしく、吐き捨てるように燕弥が説明する。

⏰:08/11/03 15:04 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#114 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「うぇー、スゴい……だからってオイラが行かなくても」

「つべこべ言うな。時は一刻の猶予もないのだ。ギードル!!こいつに服と地図を!!」

レインの抗議も無視して話を進める。

こんな独裁主義者がこの世界の神様だなんて、大丈夫なのだろうか。

レインが青年にそんな不安を感じているとはつゆ知らず、ギードルはレインの着ていたボロ布の服を素早くひっぺかし、どこからか現れた新しい服を着せていく。

⏰:08/11/03 15:04 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#115 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「うむ、流石コーディネーターの資格を持つギードルだ。なかなか良いではないか」

青年は自分が仕立てたかのように満足げに鼻を鳴らした。

レインの碧い瞳と同じ色の宝石が埋め込まれたベルトに、ボロ布とは違う上等な布で作られた服。

さっきまでのしがないドラゴン使いとは誰も思うまい。

そして、これもどこから取り出したのか青年は一枚の茶色く変色した地図をレインに差し出す。

レイン [jpg/19KB]
⏰:08/11/03 15:06 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#116 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「これがこの世界の地図だ。レイン。“亜神の命”を取り戻してきてくれ」

初めて見せた青年の誠実な態度に驚きながらもレインは地図を受け取った。

「うぅ……。分かりました……」

「よし、それじゃあ出発だ!!なぁに、この燕弥様が付いてんだ。しっかり案内してやんよ!!」

燕弥はケラケラと笑いながら、バシバシとレインの背中を叩く。

こうして、大きな碧い目を持つ少年の長い長い旅は始まった。

⏰:08/11/03 15:07 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#117 [紫陽花→渚坂 さいめ]
―――――――…………

―――――………

時は20XX年。

幻と言われていたドラゴンは、この世の支配者と言わんばかりに地に轟き、その生き血を啜った者は不死を得られるという不死鳥もその羽を華麗に揺らしながら空を舞う。

そんな風景が当たり前の世界で、一人の少年が仲間とともに歩き出した。

この物語は、私たちの知らないもう一つの世界の物語。

⏰:08/11/03 15:07 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#118 [紫陽花→渚坂 さいめ]


This boy is almighty

⏰:08/11/03 15:08 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#119 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「犯人はあなたです。大人しく捕まってください」

嗚呼……
そんなに驚いた顔をしないでください。真実なんですよ。

氷のように研ぎ澄まされた時間の中、僕はゆっくりと犯人を指差す。

なぜ指差すのかって?

そうすると、大抵の奴は成し遂げた罪の罪悪感に耐えられず、膝から崩れ落ちるってことを僕は知っているからさ。


――This boy is almighty――

⏰:08/11/03 15:09 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


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