【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#131 [紫陽花→渚坂 さいめ]
アルバートから次の獲物が知らされたのは、月の全く見えない朔の日の夜だった。

「次は“亜神の命”を盗むぞ」

彼は豊かな顎髭を撫でるように触りながら、あたかも「明日遊園地に行こう」と軽々しくデートに誘うような口ぶりで俺を驚かせた。

「んな!?亜神の命じゃて!?」

思わずなまりがでてしまった。

⏰:08/11/03 15:21 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#132 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「亜神の命と言えば……この世界の最大級の宝と言われる宝玉じゃ!!そ、それを盗むんか?」

「嫌なら儂一人で行くが……」

「誰が行かんと言った!!アルバートはいっつも急なんじゃ。パートナーの俺のことも少しは考えんか!!」

落ち着き払ったアルバートは一見大人の態度に見えるが、俺に言わせればただの頑固ジジイ。

それに亜神の命を盗むなんて……

⏰:08/11/03 15:22 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#133 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「どうやって盗むんじゃ?あの城の警備は世界一じゃよ」

俺は酒樽の上に座っているアルバートに近付く。

「もう策はある。明日の昼に城へ潜り込むぞ。ひと暴れするから武器の準備しとけよ」

どうやらこのじいさんは俺を驚かすのが大好きらしい。

「昼って……
白昼堂々と盗みにはいるなんて大胆不敵とゆーか、前代未聞とゆーか……」

驚きを通り越して呆れに近いものを感じているのだが、どうしても体の芯がうずく。

そう、新しい玩具を与えられた子供のように目を輝かせ、美味しそうなデザートを目にした時のように口元は緩みっぱなし。

⏰:08/11/03 15:23 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#134 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「分かった。俺はあんたについて行く」

俺がそう言うとアルバートは満足そうに笑みをこぼした。

俺はこのくそジジイに一生頭が上がらないだろう。

アルバートの言葉に俺の好奇心に探求心は騒ぎっぱなし。


「へへへ、明日が楽しみだ。おら、アルバート!!荷物運ぶから退いてくれ」

二人 [jpg/12KB]
⏰:08/11/03 15:24 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#135 [紫陽花→渚坂 さいめ]
―――――――…………

――――――………

時は20XX年。

幻と言われていたドラゴンは、この世の支配者と言わんばかりに地に轟き、その生き血を啜った者は不死を得られるという不死鳥もその羽を華麗に揺らしながら空を舞う。

そんな風景が当たり前の世界で、その地を揺るがす事件が起きる。


そして、その世界一の宝玉を盗んだ二人組と、碧い瞳を持つ少年が出会うのはもう少し先の話。

⏰:08/11/03 15:25 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#136 [紫陽花→渚坂 さいめ]


Treacherous Grace

⏰:08/11/03 15:26 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#137 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「どうか神様、もしいらっしゃるのならこの娘に私の命を……」

粉雪が舞い始めた聖なる夜。

俺は小さな教会の中で、途方もないほど小さな神に祈りを捧げる哀れな化け物を見つけた。


その姿は俺は今まで見たことがないぐらいの清らかな空気を作り上げ、信じられないぐらい神々しく、そして儚くて。


教会の一つしかないドアから覗くようにしてその祈りを目にした俺は、無性に神の存在を確かなものへとしたくなった。

⏰:08/11/03 15:26 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#138 [紫陽花→渚坂 さいめ]
彼の祈りを確かなものへ。


ドアの影から見守るようにして自分の胸に十字架をきる。

化け物ののとは違った、俺の自己満足な祈りは果たして神に届いたのだろうか?


そんなことを思っていると、急に化け物は懇願の声を止め何かを閃いたように瞳を見開いていた。

声が小さすぎて何を言っているのかよく聞き取れない。

⏰:08/11/03 15:27 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#139 [紫陽花→渚坂 さいめ]
俺は知らず知らずのうちに身を乗り出してしまっていた。

そうして聞こえた言葉は、

「亜神の命さえあれば……この娘は生き返るかもしれない……」

“亜神の命”それはこの世界の一番の宝。

それ故にその宝には不思議な力が備わっているという。

そう、人を生き返らせるくらい造作もないことだと。

祈り [jpg/13KB]
⏰:08/11/03 15:29 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


#140 [紫陽花→渚坂 さいめ]
――――――………

―――――……

時は20XX年。

幻と言われていたドラゴンは、この世の支配者と言わんばかりに地に轟き、その生き血を啜った者は不死を得られるという不死鳥もその羽を華麗に揺らしながら空を舞う。

そんな風景が当たり前の世界で、一人の化け物が一つの禁忌を犯す。

この化け物が碧い目の少年を裏切るのはもう少し先の話。

⏰:08/11/03 15:30 📱:F905i 🆔:WY17HTaw


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