【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#181 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
相手によって接し方を変えるクーロンと、喧嘩っぱやいシンとのやり取りはどこかで見たことがある感じだった。

「ガイア…。僕、出会い方次第では君の所のサブマスターとなら気が合いそうだよ」

「奇遇だな。俺もお前の所のサブとなら上手くやっていけそうだと思っていた」

⏰:08/11/03 16:24 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#182 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
フィズの街を出て南に山を一つ越え、更に谷に沿って進んだ荒野に、バグワールドはあった。

「着いたぞ、ここだ」

四人は言葉が見つからないといった様子だった。
バグワールドの入口と思われる場所は、何もない空間に亀裂が入ったように空中にぽっかりと穴が空いており、中は真っ暗で何も見えない。
周囲の川の水は紫色をしていて、バグワールドの上空の空だけが薄暗くて、やけに黒い。
更に地面は血に染まったかのように赤い。
どんなダンジョンとも違う、異様な空間だった。

⏰:08/11/03 16:25 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#183 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「この裂け目が…入り口か?」

ガイアがやっとといった感じで口を開く。

「恐らく、そうだ」

「カイトのお父さんとお姉さんは二人で入ったんだろ?僕達は五人だし大丈夫だろう」

その言葉は自分に言い聞かせているのだろうか。
ラルティスの声色は重々しかった。

⏰:08/11/03 16:26 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#184 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「こんな場所なら最大の六人でパーティ組めば良かったのに…」

「何だ貴様。怖いのか?」

愚痴るシンにこんな場所ですら表情を変えないクーロンは正面を向いたまま受け答えをする。

「馬鹿か!怖くなんかないし!」

「どうでも良いが、足手まといだけは勘弁だぞ」

ギャーギャーと喚き始めたシンに場の空気は僅かに和んだ。
カイトがちらりと見遣ればクーロンの口元に少しだけ笑みが浮かんでいるようにも見えた。

⏰:08/11/03 16:26 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#185 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「それじゃ…行くぞ」

意を決したかのように呟くと、カイトは裂け目に飛び込んでいった。
ラルティスたちが後に続いた。

⏰:08/11/03 16:27 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#186 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「中は案外明るいな…」

ガイアが小さく呟けば、声が反響するように空間内に響いた。
薄暗い世界は洞窟内のような作りをしていて、一本道になっている。

「よくこのバグワールドに一般ユーザーが紛れ込みませんでしたね」

クーロンがぽつりと疑問を零せばカイトがすぐに答える。

「ここはアクセスコードを持ってないと入れない場所だからな。アクセスコードは俺がダウンロード済みだ」

クーロンはまさか独り言に返事が来るとは思ってなかったのか、なるほどと呟いて正面を向き直した。

⏰:08/11/03 16:28 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#187 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「…待て、カイト」

ラルティスが手を上げて制止を促した。

「どうした?特に何かの気配はないが…」

怪訝そうに眉を潜めればラルティスは人差し指を口元に当て、耳を澄ませばように指示した。

「確かに気配はない。だが…何かいる」

耳を澄ませば、確かに無音ではない。
何かがひしめくような音がする。
いや、声が。

⏰:08/11/03 16:28 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#188 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「もしかして俺ら…囲まれてる?」

ラルティスの後ろでシンが言った直後、突然内部が明るくなった。

「うわぁ!」

シンの叫び声が聞こえたかと思えば、カイトたちが振り向くとそこにはもうシンの姿はなかった。

「シンがいないぞ!」

「…いや、それどころじゃねーぜ」

慌てた様子のラルティスにガイアは冷静に言うと、魔剣を構えた。

⏰:08/11/03 16:29 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#189 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
変に明るくなった広い空間には、無数の魔物がこちらを伺っていた。
それも、見たこともない異形のものたちが。
全ての魔物が黒い体に赤い目を持っていた。

「こいつは穏便に通してくれそうもないな」

「くっ…」

相変わらず落ち着いたガイアにシンが気になるのか腰の片刃刀に手を掛けながらも落ち着きのないラルティス。
カイトも日本刀を抜刀していた。

⏰:08/11/03 16:30 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#190 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ラルティス、シンなら大丈夫だ。多分クーロンが一緒のはずだ」

ラルティスは我に返ったように辺りを見渡す。
確かにクーロンの姿もない。
部下を気にするあまり状況判断も鈍るとは…。
ラルティスは姿勢を低くした。

「すまない。もう大丈夫だ」

ガイアとカイトは顔を見合わせると頷いて深呼吸をする。

⏰:08/11/03 16:31 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


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