【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#329 [No.049◆vzApYZDoz6]
「うーん…」

若い男が、鏡に向かって唸っていた。
顎や頬、鼻、額など、あらゆるところを手で擦っている。

そこへ、若い女がやって来た。

「どうしたの?」

「いや…肌がちょっとざらついてる気がして」

「いいんじゃないかな…男の子なんだし」

「男だって肌荒れには気を使うもんだぜ。…あっ、そうだ」

「なに?」

「顔用パック貸してくれね?」

⏰:08/11/03 21:47 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#330 [◆vzApYZDoz6]
>>329
『男だって』
bbs1.ryne.jp/d.php/illust/1144/120

髭剃りシスターズの仕事はいい加減だった。

⏰:08/11/03 21:48 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#331 [No.050◆vzApYZDoz6]
気が付けば辺りはすっかり暗くなっていた。

今もやまない雨が降りだしてからどれくらい経っただろうか。
既にびしょ濡れで、重くなった服のせいで動く気力も湧かない。

だが、それでも彼は待ち続けた。

彼女と交わした約束を、果たすために。




(急病なんだろうな。きっとそうだ)

だが彼は彼女に連絡はしなかった。

⏰:08/11/03 21:48 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#332 [No.050◆vzApYZDoz6]
>>331
『雨の中で』
bbs1.ryne.jp/d.php/illust/1144/121

彼女を信用しきってます。

⏰:08/11/03 21:49 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#333 [No.051(1/2)◆vzApYZDoz6]
D−34:Δ
本日、未確認の惑星が発見された。
惑星の大気、地質、水質等を調査した結果、良好な環境を持つ惑星だったと推察される。
また惑星の7割ほどが水に覆われており、生命が現存する可能性は極めて高い。
惑星をTE01と名付け、慎重に調査を進めていく。

D−41:γ
TE01惑星の調査の結果、これまでに確認された生命体はおよそ300種類。
だが依然として新種の生命体は発見され続けており、この数字はほんの一部に過ぎないとみられている。

高知能生命体はまだ確認されていない。
しかし、多様な文明機器が発見されている事から、高度な知能を有した生命体が存在した可能性は高い。
何らかの原因により絶滅してしまったのかもしれない。

それにしても、文明が発展していたと思われる地域ほど、大気・地質・水質ともに汚染度が高いのが気になる。

⏰:08/11/03 21:51 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#334 [No.051(2/2)◆vzApYZDoz6]
L−08:Σ
高い知能を持つ生命個体が発見された。
我々には理解できなかったが、どうやら言葉を話せるようだ。
同行していた宇宙語学者によると、FK38星の言語とほぼ同じとの事。
我々はすぐさま同惑星に調査団の派遣を依頼した。10日後に到着する。
その間に簡単な質問をした。

その結果、やはり高知能生命体は絶滅してしまった事が判明した。
今回発見された個体はその生き残りらしい。
彼女(性別は雌性らしい。以降はこの個体をこう呼ぶ)によると、絶滅を免れた生き残りは他にもいるようだ。
とりあえず、これらの生命体にはTE−xと名付ける。

それにしても、TE−xと我々は外見が非常に酷似しているのが気になる。
もしかすると、我々と似たような進化をたどってきたのかもしれない。

L−18:Δ
調査団が到着した。
早速、生き残り達に質疑応答をしてもらった。

結果、絶滅の要因は、TE−x同士の大規模な争いによるものらしい。

彼女は、こう言ったそうだ。
『私達は、同じ種族で争うことでしか発展できない』と。
その結果絶滅する事になろうとは、皮肉なものである。

ところで、TE−xについて気になる事がある。
私は一度故郷に帰り、太古の文献から調べてみるつもりだ。
その事を明日、隊長に報告する。

(調査手記はここで終わっている)

⏰:08/11/03 21:52 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#335 [◆vzApYZDoz6]
>>333-334
『未確認惑星にて』
bbs1.ryne.jp/d.php/illust/1144/123
bbs1.ryne.jp/d.php/illust/1144/124

『彼女』の正体は我々と同じ──?
その事に気付いた彼は…

⏰:08/11/03 21:54 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#336 [No.052◆vzApYZDoz6]
彼女は自分の運命を呪った。
今日は彼との待ち合わせがあるのに、なぜ自分がこんな目に合わなければならないのか。

窓から見える雨の勢いは依然として衰えず、やむ気配すら見せない。
この降り頻る雨の中、彼はまだあの場所で待っているのだ。

彼のためにも、何としてもこの状況を打破する必要があった。

周囲には武器になりそうな物もあるが、壁の向こうにいる者と自分とでは素早さが違いすぎる。
いや、恐怖に手がすくんで武器を握ることすらままならないだろう。

幸いは、向こうは恐らくまだ自分の存在に気付いていない事。

こちら側に出口は無いので、向こうが去っていくまで息を潜めて待つしかなかった。



(あーもう! なんでドアノブにゴキブリがいるのよ!)

殺虫剤を買っておけばよかったと後悔する彼女だった。

⏰:08/11/03 21:55 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#337 [◆vzApYZDoz6]
>>336
『家の中で』
bbs1.ryne.jp/d.php/illust/1144/125

早くしろ!
>>331で彼が待ってるぞ!

⏰:08/11/03 21:56 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


#338 [No.053◆vzApYZDoz6]
俺はどれくらいの時間、こうしていただろうか。

いつまで待っても手に抱える彼女が息を吹き返すことはない。それは分かっている。

既に敵も味方もいないこんな場所でじっとしていた所で何もない。それも分かっている。

だが、立ち上がる気力が湧いてこなかった。

立ち上がり、今も戦っている仲間の元へ一刻も早く駆けつけなければならない。

頭ではそれを理解していても、最愛の女の変わり果てた姿を目の当たりにした俺の体は、言うことを聞こうとしなかった。

流れ出る涙は止まらない。
いくら流した所で意味はないというのに。

見上げると、壮大なステンドグラスが目に入った。
天使を模した女性が、色とりどりの光を透過して輝いている。
その向こうからは、地鳴りの音が響いていた。

俺は背中に生える翼に手を掛けた。

竜族の血を半分引く俺には、翼が片方だけ生えている。
両方ともに翼がある他の竜族には劣るが、翔ぶことはできる。

その翼を、渾身の力を込めて引きちぎった。
激痛に思わず声を上げたが、歯を食いしばって耐えた。

彼女を寝かせ、俺の翼を捧げる。
ステンドグラスに映る女性のように、光ある場所へ飛び立つために。

翼を無くした苦痛によがろうとする体を押さえつけて立ち上がる。
戦いの音はまだ響いている。
翼が無くても、俺はまだ戦わなければならない。

最後に彼女を一瞥し、俺は仲間の元へ駆けていった。

⏰:08/11/03 21:57 📱:P903i 🆔:LUmIhgZI


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