【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
最新 最初 🆕
#49 [あんみつ]
 

そいつの名前はレジー。

ここの近くにある国にまつわる火の神。

・・・とてもそうは見えないが。

封印された闇の話は、言い伝えなんかじゃなくすべて本当で、俺は、再び暴走し始めた闇を封印するべく選ばれた人間の一人。

・・・以上、レジーの話。

.

レジー [jpg/36KB]
⏰:08/11/03 13:21 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#50 [あんみつ]
 

が、こんなこといきなり言われて、はいそうですか、なんて言えるわけがない。

「な、分かったか?とりあえず俺の国に行こう。力使うの久々だからこんな所に出ちゃって」

「・・・」

「どした?」

「・・・冗談じゃねぇ!俺は帰る!」


・・・そして、今に至る。

止めるレジーの言葉も聞かずに、当てもなく歩き続けた結果がこれ。

(こんなペンダントのせいで・・・)
.

⏰:08/11/03 13:22 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#51 [あんみつ]
 
ガッ!

俺はペンダントを勢いよく取ると、遠くの茂みに向かって投げた。

「あっ!」

レジーが叫ぶ。

ペンダントは、キレイな弧を描いて、茂みに消えた。

「おい!アーク!」

レジーが後ろから俺の腕を掴んだ。

俺は、その手を振り払って言う。

「何なんだよ!急にんなこと言われて納得できるわけねーだろ!選ばれたって・・・何で俺なんだよ!」
.

⏰:08/11/03 13:23 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#52 [あんみつ]
 
言った瞬間、レジーの顔が歪んだ。

振り払われた手を力なくおろして、唇を噛む。

が、すぐに拳を握りしめ、顔をキッと引き締めた。

「・・・俺が選んだんだよ!俺は、ずっと・・・」

ガサッ!

レジーの言葉を遮って、ペンダントが消えた茂みから音がした。

俺たちは揃ってそっちを見る。

見ると、茂みはまるで生きているかのように揺れ動いていた。
.

⏰:08/11/03 13:24 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#53 [あんみつ]
 
ガサガサという音は、徐々に大きくなっていき、それと共に茂みの揺れも激しさを増す。

(・・・何だ?)

俺たちは無言でそれを見ていた。

が、次の瞬間、レジーが何かを思い出したように急に顔色を変えた。

そして叫んだ。

「アーク!逃げろ!」

「え?」

ドンッ!

地面が揺れた。

俺はバランスを崩して、その場にしりもちをつく。
.

⏰:08/11/03 13:25 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#54 [あんみつ]
 
レジーはそんな俺の腕を掴んで、小さな体からは想像も付かない強い力で、俺を引き起こした。

「走れ!」

レジーに引かれるまま走り出す。

その時、

「ギギャー!!」

何かのけたたましい鳴き声がした。

俺は思わず後ろを振り向く。

「なっ・・・何だ、これ」

目の前の信じられない光景に、息をのんだ。
.

⏰:08/11/03 13:26 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#55 [あんみつ]
 
あまりの恐怖に足が固まる。

「アーク!」

気付いたレジーが俺の名を呼ぶ。

しかし、俺は固まったまま動けない。

目の前には、見たこともない生き物。

茂みから出てきたそいつは、ライオンの様なたてがみを持ち、それは針金のように固く尖っていた。

銀色の毛皮に覆われ、体の大きさは俺の身長を優に超えている。

そして、この世の悪をすべて集めたような漆黒の目。
.

⏰:08/11/03 13:27 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#56 [あんみつ]
 
・・・そう、その姿はまるで魔物。

恐怖と驚きで声が出ない。

「危ない!」

レジーが叫ぶ。

俺目掛けて、鋭い爪が振り下りる。

ドンッ!

間一髪のところで、レジーが俺を突き飛ばした。

爪が地面に刺さって、鈍い音が響く。

その振動で木々が揺れた。

俺は地面に倒れ込む。
.

⏰:08/11/03 13:28 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#57 [あんみつ]
 
「・・・いってー」

頭をさすりながら起き上がると、目の前にはレジーの背中。

その向こうには、地面に爪が刺さったままの生き物がいた。

体をうねらしながら爪を引き抜こうともがいている。

爪が抜けるのも時間の問題だろう。

レジーは俺をかばうように、俺と生き物の間に立っていた。

「・・・くそ」

レジーがつぶやく。
.

⏰:08/11/03 13:29 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#58 [あんみつ]
 
が、突然意を決したように、生き物の出てきた茂みに向かって走り出した。

そのまま茂みの中に消える。

俺は相変わらず動けなくて、レジーを目で追うだけで精一杯だった。

正直、自分がここまで情けないとは思わなかった。

その時、恐れていたことが起きた。

ザッ!

音ともに爪が地面から抜けて、生き物は自由を取り戻す。
.

⏰:08/11/03 13:30 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194