【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#57 [あんみつ]
 
「・・・いってー」

頭をさすりながら起き上がると、目の前にはレジーの背中。

その向こうには、地面に爪が刺さったままの生き物がいた。

体をうねらしながら爪を引き抜こうともがいている。

爪が抜けるのも時間の問題だろう。

レジーは俺をかばうように、俺と生き物の間に立っていた。

「・・・くそ」

レジーがつぶやく。
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⏰:08/11/03 13:29 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#58 [あんみつ]
 
が、突然意を決したように、生き物の出てきた茂みに向かって走り出した。

そのまま茂みの中に消える。

俺は相変わらず動けなくて、レジーを目で追うだけで精一杯だった。

正直、自分がここまで情けないとは思わなかった。

その時、恐れていたことが起きた。

ザッ!

音ともに爪が地面から抜けて、生き物は自由を取り戻す。
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⏰:08/11/03 13:30 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#59 [あんみつ]
 
そいつはシューシューと息を吐きながら、ゆっくりと俺の方を向いた。

(・・・やばい!)

そう思うのに体は動かない。

だんだんと距離が縮まっていく。

(なんで・・・こんな目に・・・)

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⏰:08/11/03 13:31 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#60 [あんみつ]
 

もとはといえば、あのペンダントのせいだ。

ペンダントを置いていったあの男のせいだ。

選ばれた?

世界を救う?

何なんだよ。

なんで俺なんだよ。

なんで・・・

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⏰:08/11/03 13:32 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#61 [あんみつ]
 

生き物が前足を振り上げて、鋭い爪が光る。

俺にはそれが、まるでスローモーションのように見えた。

その時、

「アーク!受け取れ!」

茂みの中からレジーが飛び出した。

そして、俺に向かって何かを投げる。

それは・・・あのペンダント。

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⏰:08/11/03 13:33 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#62 [あんみつ]
 

『・・・俺が選んだんだよ!俺は、ずっと・・・』

あの時のレジーの言葉が、必死な目が、頭に浮かんだ。

冷たく突き放した俺を、命がけで助けれくれた。

俺よりも小さな背中は、たくましかった。

なのに、俺は・・・。

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⏰:08/11/03 13:34 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#63 [あんみつ]
 

座った状態のまま、できる限り手を伸ばして、ペンダントを受け取った。

爪が俺に向かって振り下りる。


もし、もしも俺が、

なんで俺を選んだんだ?

そう聞いたら、レジーはどう答えるだろう。

『んー・・・なんとなく!』

いたずらっぽく笑って、そんな風に言うかもしれない。

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⏰:08/11/03 13:35 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#64 [あんみつ]
 

けど・・・

・・・そんなことは、どうでもいい。

俺は、助けたい。

俺を必死で助けようとするレジーを。


「アーク!」

レジーが叫ぶ。

その瞬間、ペンダントが輝きを増した。

それに驚いた生き物が動きを止める。

赤い光が、辺りを包み込んだ。
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⏰:08/11/03 13:36 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#65 [あんみつ]
 
ドクンッ

俺は、自分の中の血液が熱くなるのを感じた。

ドクドクする。

光が収まり、俺は目を開けた。

目の前には、もとの光景が広がる。

ただ一つ違うのは、レジーの姿が見当たらないこと。

レジーがどこに行ったか考える暇もなく、地面を震わす低いうなり声によって、俺の意識は生き物の方へと引き戻された。
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⏰:08/11/03 13:37 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#66 [あんみつ]
 
再び振り下ろされる爪。

俺は思わず目をつむる。

その時、

『逃げろ!』

頭の中で、レジーの声がした。

その瞬間、俺の体は素早くその場を飛び退く。

生き物の爪は俺の代わりに、背の高い木を一本なぎ倒した。

その五メートルほど後ろで、急に信じられないほど軽くなった自分の体に、俺は状況を把握できずにいた。
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⏰:08/11/03 13:38 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


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