【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#64 [あんみつ]
けど・・・
・・・そんなことは、どうでもいい。
俺は、助けたい。
俺を必死で助けようとするレジーを。
「アーク!」
レジーが叫ぶ。
その瞬間、ペンダントが輝きを増した。
それに驚いた生き物が動きを止める。
赤い光が、辺りを包み込んだ。
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#65 [あんみつ]
ドクンッ
俺は、自分の中の血液が熱くなるのを感じた。
ドクドクする。
光が収まり、俺は目を開けた。
目の前には、もとの光景が広がる。
ただ一つ違うのは、レジーの姿が見当たらないこと。
レジーがどこに行ったか考える暇もなく、地面を震わす低いうなり声によって、俺の意識は生き物の方へと引き戻された。
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#66 [あんみつ]
再び振り下ろされる爪。
俺は思わず目をつむる。
その時、
『逃げろ!』
頭の中で、レジーの声がした。
その瞬間、俺の体は素早くその場を飛び退く。
生き物の爪は俺の代わりに、背の高い木を一本なぎ倒した。
その五メートルほど後ろで、急に信じられないほど軽くなった自分の体に、俺は状況を把握できずにいた。
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#67 [あんみつ]
動いたのは、確かに自分の体。
だけど、自分だけのものじゃない。
そんな不思議な感覚。
その時、俺は自分の髪が伸びていることに気付いた。
少しじゃない。
短かったはずの金色の髪は、レジーのように赤く染まり、胸の辺りまである。
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#68 [あんみつ]
(・・・なんで)
『アーク!聞こえるか?』
また頭の中でレジーの声がした。
「レジー!お前、どこにいるんだよ!?」
俺は、見えないレジーに向かって話しかける。
その間に生き物の目は、再び俺に向けられた。
レジーの小さい舌打ちが聞こえた。
『詳しい説明はあとだ。アーク、右手に神経を集中させるんだ』
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:08/11/03 13:41 :D904i :3PH3.VE6
#69 [あんみつ]
なんで?
そんなこと聞いている暇はない。
そう、今はレジーを信じるしかない。
持っていたペンダントを首にかけて、言われた通り全神経を右手に集中させる。
すると、だんだん手のひらが熱くなり、気が付くと右手には剣が握られていた。
「・・・これって」
『くるぞ!アーク!』
レジーの声に、俺は反射的に剣を構える。
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:08/11/03 13:42 :D904i :3PH3.VE6
#70 [あんみつ]
振り下ろされた爪が剣にあたって、鈍い金属音が響いた。
その反動で、俺は後ろにのけぞる。
『右だ!』
体勢を立て直してすぐに次の攻撃。
剣を構える暇もなく、俺は左に飛び退く。
『おい、戦えよ!』
「無茶言うな!剣術なんかやったことねーのに!」
不満げなレジーに俺は怒鳴った。
その時、怒りが頂点に達したのだろう生き物が、うなり声をあげた。
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#71 [あんみつ]
そして、爪がものすごいスピードで俺の頭上に向かってくる。
(・・・やばいっ)
とっさに剣を構え、目をつむる。
次の瞬間、
「ウェリアス!」
女の子の声が聞こえた。
ほぼ同時に、高い金属音が鳴り響く。
生き物の爪は下りてこない。
俺は恐る恐る目を開けた。
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#72 [あんみつ]
そこには、青い光に包まれる生き物とその前で剣を構える青い髪の女の子の後ろ姿。
キギャー!
生き物は叫びながら砂になり、風に流されて、消えた。
女の子は青い光に包まれる。
光が消えた時、そこには、茶色の髪の女の子と、その子より少し背の低い青い髪の女の子が立っていた。
俺は、どこから現れたか分からないその二人を交互に見て、まばたきを繰り返す。
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:08/11/03 13:45 :D904i :3PH3.VE6
#73 [あんみつ]
森はもとの静けさを取り戻していた。
二人がゆっくりと俺の方を振り向く。
そして、
「大丈夫だった?」
茶色の髪の女の子が言った。
俺に向かってだろう。
「あ・・・あぁ」
俺がたどたどしくも答えると、同い年ぐらいであろうその子は、小さい子供のように笑った。
頬に小さなえくぼができている。
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:08/11/03 13:46 :D904i :3PH3.VE6
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