【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#66 [あんみつ]
再び振り下ろされる爪。
俺は思わず目をつむる。
その時、
『逃げろ!』
頭の中で、レジーの声がした。
その瞬間、俺の体は素早くその場を飛び退く。
生き物の爪は俺の代わりに、背の高い木を一本なぎ倒した。
その五メートルほど後ろで、急に信じられないほど軽くなった自分の体に、俺は状況を把握できずにいた。
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#67 [あんみつ]
動いたのは、確かに自分の体。
だけど、自分だけのものじゃない。
そんな不思議な感覚。
その時、俺は自分の髪が伸びていることに気付いた。
少しじゃない。
短かったはずの金色の髪は、レジーのように赤く染まり、胸の辺りまである。
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#68 [あんみつ]
(・・・なんで)
『アーク!聞こえるか?』
また頭の中でレジーの声がした。
「レジー!お前、どこにいるんだよ!?」
俺は、見えないレジーに向かって話しかける。
その間に生き物の目は、再び俺に向けられた。
レジーの小さい舌打ちが聞こえた。
『詳しい説明はあとだ。アーク、右手に神経を集中させるんだ』
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#69 [あんみつ]
なんで?
そんなこと聞いている暇はない。
そう、今はレジーを信じるしかない。
持っていたペンダントを首にかけて、言われた通り全神経を右手に集中させる。
すると、だんだん手のひらが熱くなり、気が付くと右手には剣が握られていた。
「・・・これって」
『くるぞ!アーク!』
レジーの声に、俺は反射的に剣を構える。
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:08/11/03 13:42 :D904i :3PH3.VE6
#70 [あんみつ]
振り下ろされた爪が剣にあたって、鈍い金属音が響いた。
その反動で、俺は後ろにのけぞる。
『右だ!』
体勢を立て直してすぐに次の攻撃。
剣を構える暇もなく、俺は左に飛び退く。
『おい、戦えよ!』
「無茶言うな!剣術なんかやったことねーのに!」
不満げなレジーに俺は怒鳴った。
その時、怒りが頂点に達したのだろう生き物が、うなり声をあげた。
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:08/11/03 13:43 :D904i :3PH3.VE6
#71 [あんみつ]
そして、爪がものすごいスピードで俺の頭上に向かってくる。
(・・・やばいっ)
とっさに剣を構え、目をつむる。
次の瞬間、
「ウェリアス!」
女の子の声が聞こえた。
ほぼ同時に、高い金属音が鳴り響く。
生き物の爪は下りてこない。
俺は恐る恐る目を開けた。
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#72 [あんみつ]
そこには、青い光に包まれる生き物とその前で剣を構える青い髪の女の子の後ろ姿。
キギャー!
生き物は叫びながら砂になり、風に流されて、消えた。
女の子は青い光に包まれる。
光が消えた時、そこには、茶色の髪の女の子と、その子より少し背の低い青い髪の女の子が立っていた。
俺は、どこから現れたか分からないその二人を交互に見て、まばたきを繰り返す。
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#73 [あんみつ]
森はもとの静けさを取り戻していた。
二人がゆっくりと俺の方を振り向く。
そして、
「大丈夫だった?」
茶色の髪の女の子が言った。
俺に向かってだろう。
「あ・・・あぁ」
俺がたどたどしくも答えると、同い年ぐらいであろうその子は、小さい子供のように笑った。
頬に小さなえくぼができている。
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:08/11/03 13:46 :D904i :3PH3.VE6
#74 [あんみつ]
「フィン!」
俺がその笑顔に見とれていると、男の声がした。
声の主は、俺の視界の右端の木の上から飛び降りてきた。
緑の短い髪をした背の高い男。
俺より少し年上だろうか。
走ってこっちにやって来る。
「フィン!大丈夫か!?」
近づくなり男が言った。
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:08/11/03 13:48 :D904i :3PH3.VE6
#75 [あんみつ]
フィンと呼ばれた茶髪の女の子は、ふぅと息を吐く。
「大丈夫。一匹だけだったから」
フィンが冷静に言うと、男は安心したのか、胸をなで下ろした。
次の瞬間、男が緑の光に包まれる。
光が消えた時、そこには、黒髪の男と緑の髪をした小柄な男の子がいた。
女の子の時と同じように。
(・・・なんなんだ)
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:08/11/03 13:49 :D904i :3PH3.VE6
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