【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#11 [@斜線]
マサヤは激しい口調でユウキに怒鳴った。
『年なんか関係ないでしょ…』
残りが僅かになった煙草を空き缶に落とすとユウキは立ち上がった。
『世の中には童貞のまま死ぬ奴だっているだろーよ』
ケケッと笑いかけるが
マサヤはとんでもない、といった表情だ。
『…ユウキは童貞で死んでも良いかも知れないけど、俺はイヤだね』
:08/10/15 14:35 :PC :Ez2gXYgU
#12 [@斜線]
一卵性双生児なのに、ユウキとマサヤの思考は全く噛み合わない。
二本目の煙草に火をつけながら
ユウキはぼんやりと空を眺めた。
屋上から見る秋の空は高く澄んでいて
童貞とかそういう俗物的なことを考えているのが阿呆らしくなる。
『そんなことよりさ〜…職安行く方が先じゃん』
平日の真っ昼間にマンションの屋上に上がって煙草を吹かす…
兄弟揃ってニート生活を続けて行くには
そろそろ金が尽きてきていた。
:08/10/15 14:40 :PC :Ez2gXYgU
#13 [@斜線]
『職探しより女探すほうが先』
マサヤは相変わらずの口調のまま愚痴を言っている。
そんなに女に餓えているなら尚更仕事を探すべきだろうが…のど元まで込み上げてきた言葉を飲み込み
ユウキは笑って流した。
『お前のグチに付き合ってたら頭いたいわ…俺ハローワーク行ってくる』
『…ご自由にー』
:08/10/15 14:46 :PC :Ez2gXYgU
#14 [@斜線]
ユウキは履き物だけ変えて、近所の職業紹介所に向かった。
(あーかったりー…なんか面白いことでも起きないもんかね)
チャリに跨り、車道を走る。
『あのー…仕事探しに来たんですけど』
会社の玄関で受付嬢らしき女に声をかけた。
『今日は履歴書はお持ちですかぁ?』
女はにこやかに答える。
『無いです』
ユウキの返答を聞き、女の顔が引きつった。
:08/10/15 14:52 :PC :Ez2gXYgU
#15 [@斜線]
『でしたら―…また明日、履歴書をご持参の上こちらに来ていただけますか?』
要するに今日は帰れという意味なのだ。
ユウキは居心地が悪くなり、そのまま何も言わず職安所を後にした。
家に帰るとマサヤに何を言われるか分からないので
あてもなく川縁をチャリを押しながら歩いた。
:08/10/15 14:56 :PC :Ez2gXYgU
#16 [@斜線]
(だりー…)
川沿いの道で一人黄昏れていると、いきなり背後で甲高い声が上がった。
『助けてー!』
何事かと振り返ると、女と二人組の男が揉み合っている。
どうやら女のバッグを引ったくるつもりのようだった。
『ナンなんですか!!やめてください!!』
女は喚き散らしている。
:08/10/15 15:00 :PC :Ez2gXYgU
#17 [@斜線]
ユウキは立ち上がり、三人の間に入った。
『何やってんだよ』
『うるせぇ!!!!お前はすっこんでろ』
一人の男がユウキにつかみかかる。
『二対一は卑怯だろ』
『うっせーな!!!!』
ユウキと男達が言い合いになっているうちに、野次馬が集まってきた。
『喧嘩か?』『警察呼ぶか』等々声があがり、
男達も面倒になったのか
そのままバッグも取らずにその場から逃げた。
:08/10/15 15:06 :PC :Ez2gXYgU
#18 [@斜線]
男達も野次馬も去り、残ったユウキと女は誰かが呼んだらしい警察のパトカーに乗せられ、事情聴取を受けた。
『大変な目に遭いましたね』
調書を取り終え解放された時には、外は真っ暗だった。
『本当に…ご迷惑おかけしました』
女はユウキに頭を下げた。
『いえ、気にしないでください。じゃ…』
『あの…お名前伺ってもいいですか?お礼がしたいので…』
『あーお礼とかいいですよ。気にしないで。ではこれで』
ユウキは派出所前で女と別れた。
:08/10/15 15:14 :PC :Ez2gXYgU
#19 [@斜線]
家に帰ると案の定、マサヤからの「どうだった」の質問攻めだった。
どうもこうも言いようがないので
ユウキは「疲れたから先に休む」とだけ言い風呂に入った。
…翌朝
『今日も職安行くのかよ?』
朝飯を頬張りながら、マサヤは聞いた。
『…まーな』
『じゃ俺も行くわ』
:08/10/15 15:18 :PC :Ez2gXYgU
#20 [@斜線]
『珍しいな』
『まじで金ないからさ。リアルにあと二万円しかない』
『…』
ニートも金がなけりゃできない。
働きだしても給料が入るまで
二万で食いつないでいくのは不可能だ。
『この際ドカタでいいか。日給のところさがそう』
:08/10/15 15:21 :PC :Ez2gXYgU
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