【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#114 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「うぇー、スゴい……だからってオイラが行かなくても」
「つべこべ言うな。時は一刻の猶予もないのだ。ギードル!!こいつに服と地図を!!」
レインの抗議も無視して話を進める。
こんな独裁主義者がこの世界の神様だなんて、大丈夫なのだろうか。
レインが青年にそんな不安を感じているとはつゆ知らず、ギードルはレインの着ていたボロ布の服を素早くひっぺかし、どこからか現れた新しい服を着せていく。
:08/11/03 15:04 :F905i :WY17HTaw
#115 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「うむ、流石コーディネーターの資格を持つギードルだ。なかなか良いではないか」
青年は自分が仕立てたかのように満足げに鼻を鳴らした。
レインの碧い瞳と同じ色の宝石が埋め込まれたベルトに、ボロ布とは違う上等な布で作られた服。
さっきまでのしがないドラゴン使いとは誰も思うまい。
そして、これもどこから取り出したのか青年は一枚の茶色く変色した地図をレインに差し出す。
レイン [jpg/19KB]
:08/11/03 15:06 :F905i :WY17HTaw
#116 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「これがこの世界の地図だ。レイン。“亜神の命”を取り戻してきてくれ」
初めて見せた青年の誠実な態度に驚きながらもレインは地図を受け取った。
「うぅ……。分かりました……」
「よし、それじゃあ出発だ!!なぁに、この燕弥様が付いてんだ。しっかり案内してやんよ!!」
燕弥はケラケラと笑いながら、バシバシとレインの背中を叩く。
こうして、大きな碧い目を持つ少年の長い長い旅は始まった。
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#117 [紫陽花→渚坂 さいめ]
―――――――…………
―――――………
時は20XX年。
幻と言われていたドラゴンは、この世の支配者と言わんばかりに地に轟き、その生き血を啜った者は不死を得られるという不死鳥もその羽を華麗に揺らしながら空を舞う。
そんな風景が当たり前の世界で、一人の少年が仲間とともに歩き出した。
この物語は、私たちの知らないもう一つの世界の物語。
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#118 [紫陽花→渚坂 さいめ]
:08/11/03 15:08 :F905i :WY17HTaw
#119 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「犯人はあなたです。大人しく捕まってください」
嗚呼……
そんなに驚いた顔をしないでください。真実なんですよ。
氷のように研ぎ澄まされた時間の中、僕はゆっくりと犯人を指差す。
なぜ指差すのかって?
そうすると、大抵の奴は成し遂げた罪の罪悪感に耐えられず、膝から崩れ落ちるってことを僕は知っているからさ。
――This boy is almighty――
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#120 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「ギードルー!!また財布落としちゃったぁー」
もう呆れて、ものも言えない。
「ギードルったらぁー。いつもみたいにサクッと見つけてきてよ」
ルカは自身の小さな身長に似合う、少し甘えた口調で僕の側に寄ってくる。
ルカと僕は同い年なのに、こんなにも身長に差があるのは何故だろうといつも疑問に思うのだが答えはまだ見つかってない。
疑問と言えば、この前の事件の犯人自殺したって……
ギードル [jpg/8KB]
:08/11/03 15:10 :F905i :WY17HTaw
#121 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「ちょっと!!私の話聞いてる?」
「ん、あぁ……ごめんごめん。ちゃんと聞いてるよー」
彼女の話を聞いていなかったわけではない、ただそれと同時に別のことを考えていただけ。
「今忙しいってこともよく分かるけど、もう少しかまってくれたっていいじゃない……」
「……ごめん」
そう、僕は謝ってばかり。
僕とルカは付き合っているとは言っても一度もデートに行ったことがない。
そしてこれからも出来るかどうか……。
二人 [jpg/10KB]
:08/11/03 15:12 :F905i :WY17HTaw
#122 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「ごめん。今週中にレポート6つまとめて、3つの裁判に同伴して、第153回神宮殿ファッションショーにもエントリーして、秘書官昇級試験も受けなきゃいけないんだ」
僕が言い終えない内にルカの口がどんどん開いていくのが目に入る。
そりゃそうだ。
たったこれだけの仕事でデートをすっぽかしているのだから。
「ご、ごめん!!こんの大した用事じゃないのに……全然ルカにかまってあげられなくて……」
:08/11/03 15:13 :F905i :WY17HTaw
#123 [紫陽花→渚坂 さいめ]
たかが3〜4の仕事にかまけてルカと遊びにも行けないなんて彼氏失格だ……。
「……忙しそうとは思ったけどまさかここまで多忙だったなんて……。私の方が謝るわ」
ルカはあんぐりと開けた口を急いで塞いで僕を見つめた。
……だから僕は彼女が好きなんだよね。
自分が悪いと思ったら即、謝罪してくれる。明るくて素直な彼女。
そうして僕らはお互いを許し合うように見つめ合う。
それは一種の儀式のように繊細で誰にもじゃまされない異空間。
:08/11/03 15:14 :F905i :WY17HTaw
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