【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#151 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
密かな決意を胸に、俺はバーチャルワールドに入る準備をする。
パソコンに回線を接続して、ブラックカラーのヘルメットを被る。
マウスでゲームを起動させると、俺の意識は薄れていった。
バーチャルワールド作動。
ログイン完了。
ようこそ、バーチャルワールドへ。
ユーザーデータ確認。
プレイデータ読み込み完了。
ようこそ、カオスオブドリームズの世界へ。
:08/11/03 16:03 :SH905i :☆☆☆
#152 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
何度目かのログイン。
リアルと僅かに違う奇妙な感覚にも、もう慣れた。
カイトがゆっくりと目を開ければ、そこにはすでに見慣れた町並みが広がっていた。
マップの最南端に位置するフィズの街だ。
この街には背の高い建物は少なく、城もない。
特徴的なのは建物と建物の間に隙間がないことくらいだろうか。
網目のように建築物が連なっている。
「遅いじゃねーか、カイト」
不意に名前を呼ばれ、カイトは辺りを見渡す暇もなくやけに大きい声の持ち主を目で追う。
:08/11/03 16:04 :SH905i :☆☆☆
#153 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ガイア、ラルティス…。もう来てたのか」
辿り着いた視線の先には十七歳ほどの少年とも言える青年が二人いた。
背に黒い刀身に赤いオーラを放つ剥き出しの太い両刃刀を背負ったガイアと呼ばれた黒服の青年は、不機嫌そうに近付いてきた。
その隣には白い装束に身を包んだ同じくらいの青年が石の階段に座り込んで微笑んでいる。
その青年の腰には白い鞘から綺麗に伸びる細身の片刃刀が収まっていた。
:08/11/03 16:04 :SH905i :☆☆☆
#154 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「もう来てたのかじゃねーよ。遅刻だ馬鹿野郎。いつまで待たせる気だ」
腕を組んで明らかに不機嫌オーラを出すガイアに、すまないと小さく謝った。
「お陰でこんな野郎と何時間も一緒にいる羽目になったじゃねーか」
皮肉を言われてる当の本人であるラルティスは、微かに眉を寄せただけでガイアの傍まで近寄った。
「何時間って、たったの十五分だろう?それに、君も遅刻して来たよね」
「五分遅刻しただけでうるさい奴だな!二十分遅刻してきたカイトに比べれば可愛いもんだ」
食ってかかるガイアを横目に見つつ、ラルティスはカイトに視線を向けた。
:08/11/03 16:05 :SH905i :☆☆☆
#155 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「遅刻は遅刻だ。それよりカイト、僕もこんな奴と一緒にいるのは好きじゃないんだ。早くデータ確認して発とう」
頷いたカイトは片手を肩の高さまで上げ、小さく「データ呼び出し」と呟いた。
するとすぐに手の前に半透明で緑色の画面がいくつか重なって表示された。
「シンクロ率86%か。まぁ問題ないだろう」
ステータス画面を一瞥して呟く。
シンクロ率はバーチャルワールドでの動き安さのようなものだ。
低ければ動きは鈍く、高ければ素早くなる。
体調などで日によってシンクロ率は左右されるので確認は欠かせない。
シンクロ率が低い日は倒され易くなるので無理は出来ないからだ。
:08/11/03 16:06 :SH905i :☆☆☆
#156 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ガイアとラルティスは大丈夫なのか?」
相変わらず仲のよろしくない二人に問えば、同時に頷いた。
「90%。問題無しだ」
「僕は88%。こんな奴と一緒の空気を吸ってなければもう少し好調だったかな」
微笑みを絶やさないラルティスも皮肉を忘れていない。
:08/11/03 16:06 :SH905i :☆☆☆
#157 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ガイアのレベルは98、ラルティスは97、カイトは95だ。
ガイアとラルティスはこの世界で知らぬ者はいないほどの有名人。
CODにはギルドというチームを結成出来るシステムがある。
今、CODを二分して対立している二大ギルドのギルドマスターがこの二人なのだ。
ギルド構成員の人数は五百人以上、更に傘下ギルドがゴロゴロといる。
そのそれぞれの全ギルドメンバー数千人のトップに立つのがガイアとラルティスだ。
:08/11/03 16:07 :SH905i :☆☆☆
#158 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ガイアのギルドは『黒き騎士団』
通称、黒騎士にはその印として腕に両前足を上げた黒い馬の紋章がある。
ラルティスのギルドは『ラファエル聖十字軍』
正義を志す神の使徒を思わせるギルドだ。
対立してる故に、仲は悪い。
カイトの頼みでパーティを組む訳でないなら、とっくに斬り合いが始まっているだろう。
:08/11/03 16:08 :SH905i :☆☆☆
#159 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「お前、今すぐリベリオンの錆にしてやろうか?」
眉を寄せ青筋を浮かべたガイアが背の両刃刀に手を伸ばす。
「面白い。君の魔剣より僕の聖剣ルシファーの方が上だと言うことをはっきりとさせてやろう」
ラルティスは腰を低くして白鞘の聖剣に手を掛けた。
:08/11/03 16:08 :SH905i :☆☆☆
#160 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ちょこまかと逃げ回る臆病者が。少しは俺の太刀を受けてみろよ」
ガイアが鎖の巻き付いた魔剣をゆっくりと引き抜く。
「馬鹿の一つ覚えみたいに刀を振り回すだけの攻撃重視な奴に言われたくないね。速さこそ全てだ。いくら強い一撃でも君の鈍い攻撃に当たらなければ良いだけの話さ」
相変わらず姿勢を崩さないことからして、ラルティスはすでに戦闘の体勢になっているのだろう。
:08/11/03 16:09 :SH905i :☆☆☆
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