【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#153 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ガイア、ラルティス…。もう来てたのか」

辿り着いた視線の先には十七歳ほどの少年とも言える青年が二人いた。
背に黒い刀身に赤いオーラを放つ剥き出しの太い両刃刀を背負ったガイアと呼ばれた黒服の青年は、不機嫌そうに近付いてきた。
その隣には白い装束に身を包んだ同じくらいの青年が石の階段に座り込んで微笑んでいる。
その青年の腰には白い鞘から綺麗に伸びる細身の片刃刀が収まっていた。

⏰:08/11/03 16:04 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#154 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「もう来てたのかじゃねーよ。遅刻だ馬鹿野郎。いつまで待たせる気だ」

腕を組んで明らかに不機嫌オーラを出すガイアに、すまないと小さく謝った。

「お陰でこんな野郎と何時間も一緒にいる羽目になったじゃねーか」

皮肉を言われてる当の本人であるラルティスは、微かに眉を寄せただけでガイアの傍まで近寄った。

「何時間って、たったの十五分だろう?それに、君も遅刻して来たよね」

「五分遅刻しただけでうるさい奴だな!二十分遅刻してきたカイトに比べれば可愛いもんだ」

食ってかかるガイアを横目に見つつ、ラルティスはカイトに視線を向けた。

⏰:08/11/03 16:05 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#155 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「遅刻は遅刻だ。それよりカイト、僕もこんな奴と一緒にいるのは好きじゃないんだ。早くデータ確認して発とう」

頷いたカイトは片手を肩の高さまで上げ、小さく「データ呼び出し」と呟いた。
するとすぐに手の前に半透明で緑色の画面がいくつか重なって表示された。

「シンクロ率86%か。まぁ問題ないだろう」

ステータス画面を一瞥して呟く。
シンクロ率はバーチャルワールドでの動き安さのようなものだ。
低ければ動きは鈍く、高ければ素早くなる。
体調などで日によってシンクロ率は左右されるので確認は欠かせない。
シンクロ率が低い日は倒され易くなるので無理は出来ないからだ。

⏰:08/11/03 16:06 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#156 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ガイアとラルティスは大丈夫なのか?」

相変わらず仲のよろしくない二人に問えば、同時に頷いた。

「90%。問題無しだ」

「僕は88%。こんな奴と一緒の空気を吸ってなければもう少し好調だったかな」

微笑みを絶やさないラルティスも皮肉を忘れていない。

⏰:08/11/03 16:06 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#157 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ガイアのレベルは98、ラルティスは97、カイトは95だ。
ガイアとラルティスはこの世界で知らぬ者はいないほどの有名人。
CODにはギルドというチームを結成出来るシステムがある。
今、CODを二分して対立している二大ギルドのギルドマスターがこの二人なのだ。
ギルド構成員の人数は五百人以上、更に傘下ギルドがゴロゴロといる。
そのそれぞれの全ギルドメンバー数千人のトップに立つのがガイアとラルティスだ。

⏰:08/11/03 16:07 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#158 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ガイアのギルドは『黒き騎士団』
通称、黒騎士にはその印として腕に両前足を上げた黒い馬の紋章がある。
ラルティスのギルドは『ラファエル聖十字軍』
正義を志す神の使徒を思わせるギルドだ。
対立してる故に、仲は悪い。
カイトの頼みでパーティを組む訳でないなら、とっくに斬り合いが始まっているだろう。

⏰:08/11/03 16:08 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#159 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「お前、今すぐリベリオンの錆にしてやろうか?」

眉を寄せ青筋を浮かべたガイアが背の両刃刀に手を伸ばす。

「面白い。君の魔剣より僕の聖剣ルシファーの方が上だと言うことをはっきりとさせてやろう」

ラルティスは腰を低くして白鞘の聖剣に手を掛けた。

⏰:08/11/03 16:08 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#160 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ちょこまかと逃げ回る臆病者が。少しは俺の太刀を受けてみろよ」

ガイアが鎖の巻き付いた魔剣をゆっくりと引き抜く。

「馬鹿の一つ覚えみたいに刀を振り回すだけの攻撃重視な奴に言われたくないね。速さこそ全てだ。いくら強い一撃でも君の鈍い攻撃に当たらなければ良いだけの話さ」

相変わらず姿勢を崩さないことからして、ラルティスはすでに戦闘の体勢になっているのだろう。

⏰:08/11/03 16:09 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#161 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「速さしか能がねぇのか」

「君も攻撃しか能がないだろう。瞬殺というのを体験してみるかい?」

「攻撃は最大の防御ってのを思い知らせてやるよ」

ピリピリと張り詰めた空気に似合わないため息が一つ落ちた。

「待てお前ら。今日は俺に付き合う約束だろ?」

カイトはやや呆れ顔で二人の間に体を滑り込ませると剣を収めるように促した。

⏰:08/11/03 16:10 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#162 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ガイアは小さく舌打ちをすると魔剣を元の位置に戻し、ラルティスは大人しく柄から手を離し低い姿勢から立ち上がった。

今日はカイトのために集まったのだ。
CODの中でもまだまだ希少で、全体のユーザーの一割にも満たないLv90超えのトップクラスのメンバーが三人も集っているのだ。
よほどのことでなければ有り得ない光景だ。

「今日こそ行くんだな、バグワールドに」

「あぁ」

⏰:08/11/03 16:10 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


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