【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#16 [@斜線]
(だりー…)
川沿いの道で一人黄昏れていると、いきなり背後で甲高い声が上がった。
『助けてー!』
何事かと振り返ると、女と二人組の男が揉み合っている。
どうやら女のバッグを引ったくるつもりのようだった。
『ナンなんですか!!やめてください!!』
女は喚き散らしている。
:08/10/15 15:00 :PC :Ez2gXYgU
#17 [@斜線]
ユウキは立ち上がり、三人の間に入った。
『何やってんだよ』
『うるせぇ!!!!お前はすっこんでろ』
一人の男がユウキにつかみかかる。
『二対一は卑怯だろ』
『うっせーな!!!!』
ユウキと男達が言い合いになっているうちに、野次馬が集まってきた。
『喧嘩か?』『警察呼ぶか』等々声があがり、
男達も面倒になったのか
そのままバッグも取らずにその場から逃げた。
:08/10/15 15:06 :PC :Ez2gXYgU
#18 [@斜線]
男達も野次馬も去り、残ったユウキと女は誰かが呼んだらしい警察のパトカーに乗せられ、事情聴取を受けた。
『大変な目に遭いましたね』
調書を取り終え解放された時には、外は真っ暗だった。
『本当に…ご迷惑おかけしました』
女はユウキに頭を下げた。
『いえ、気にしないでください。じゃ…』
『あの…お名前伺ってもいいですか?お礼がしたいので…』
『あーお礼とかいいですよ。気にしないで。ではこれで』
ユウキは派出所前で女と別れた。
:08/10/15 15:14 :PC :Ez2gXYgU
#19 [@斜線]
家に帰ると案の定、マサヤからの「どうだった」の質問攻めだった。
どうもこうも言いようがないので
ユウキは「疲れたから先に休む」とだけ言い風呂に入った。
…翌朝
『今日も職安行くのかよ?』
朝飯を頬張りながら、マサヤは聞いた。
『…まーな』
『じゃ俺も行くわ』
:08/10/15 15:18 :PC :Ez2gXYgU
#20 [@斜線]
『珍しいな』
『まじで金ないからさ。リアルにあと二万円しかない』
『…』
ニートも金がなけりゃできない。
働きだしても給料が入るまで
二万で食いつないでいくのは不可能だ。
『この際ドカタでいいか。日給のところさがそう』
:08/10/15 15:21 :PC :Ez2gXYgU
#21 [@斜線]
その日のうちに日当八千円の建築の仕事(バイト)が見つかった。
今日からの採用と言われ、二人はTシャツに着替えてチャリで職場に向かった。
力仕事のきつさは半端無い。
しかもモノがどこにあるかわからないから
ぱしりにも使えない。
ニート歴三年の二人はすぐにばてた。
『座ってんじゃねー!』
先輩に怒鳴られながら、何とか終業時刻まで働いた。
ミーティングが終わると親方らしき人物がその日の給料を支払ってくれた。
:08/10/15 15:28 :PC :Ez2gXYgU
#22 [@斜線]
収入は二人合わせて一万円とちょっと。
初日だから色々さっ引かれた。
家に帰るなりマサヤは不機嫌をぶちまけた。
『ちっ!!!!疲れ果ててこんだけかよ!!』
マサヤは当たり散らした。
いつものようにユウキが宥めても聞く気配はない
『仕方ないだろ…明日も頑張ろーや』
『俺はイヤだね!!!!ユウキが働いて金入れろよ!!!!』
:08/10/15 15:30 :PC :Ez2gXYgU
#23 [@斜線]
『ざけんな!なんで俺がお前の分まで働かなきゃいけないんだよ!!』
『兄貴なんだから、当然だろ』
『双子で兄弟も糞もあるか』
二人は口論の末殴り合いになった。
いつものように喧嘩が始まった。手加減などない。
疲れているのに殴り合った。
:08/10/15 15:33 :PC :Ez2gXYgU
#24 [@斜線]
お互い鼻血と汗と切り傷で、顔面血だらけだった。
それでも喧嘩が収まるには時間がかかる。
『…ハァ…ハァ…』
息切れしながらも睨み付け合う。
そこに、まるで空気を読まずに“ピーンポーン”というチャイムオンが鳴り響いた。
:08/10/15 15:37 :PC :Ez2gXYgU
#25 [@斜線]
チャイム音で一気に冷静には慣れた二人だったが、
この容姿で出ていっていいものか、顔を見合わせた。
『ユウキが出ろよな!』
『…わかったよ…』
ユウキは近くにあった雑巾で顔を拭いながら
玄関のドアを開けた。
『はーい…どちらさまー』
:08/10/15 15:40 :PC :Ez2gXYgU
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