【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#164 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ガイア、ラルティス。恐らく敵は…強い。話では親父のレベルは上限の100だと聞いた。姉も。だが、二人はやられた。Lv100が二人でも勝てない相手が居る未知の場所だ。無事に帰って来れる保証もなければ、本体の安全さえも保証出来ない。正直、俺の戦いに二人を巻き込んでしまって後悔している。やめるなら止めはしない、本当に一緒に行ってくれるか?」
ガイアは口元を歪めて小さく笑って見せた。
「馬鹿野郎。危険なのは承知済みだ。俺は黒騎士のギルドマスターだぜ?親父さんがLv100でも、俺より強いとは限らないだろ」
横にいたラルティスはわざとらしい大きめの声で「あーあ」と漏らした。
:08/11/03 16:12 :SH905i :☆☆☆
#165 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ここで僕が辞退して、ガイアがやられれば、晴れてこの世界を統一出来るから面白いと思ったんだけどね。でも、ガイアが帰って来ちゃえば僕は臆病者扱いだ。メンバーに会わす顔がないよ。ガイアが行くなら僕も行こう」
ラルティスの理由に思わず頬が緩みそうになった。
しかし、これでメンバーは決定した。
:08/11/03 16:13 :SH905i :☆☆☆
#166 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
体力の温存のために、魔物避けの聖水を持って来たので、魔物に逢うことはまずなかった。
もし逢ったとしても、このメンバーなら息一つ切らさずに一瞬で絶命させられるだろうからあまり意味はないが。
:08/11/03 16:14 :SH905i :☆☆☆
#167 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
この世界は不思議だ。
レベルと強さは比例の関係ではなく、時には反比例する。
つまり、レベルの低い者が高い者に勝つというのも有り得るのだ。
レベルが高いから強いとは限らない。
ステータスの上昇にはその人の内面が反映させるのだという。
ラルティスのように速さや瞬殺を目指してる者は素早さが成長し、ガイアのようにとにかく攻撃を求めている者は破壊力が成長する。
逆に、特に何も考えないでゲームを楽しんでる者は、悪戯にステータスが上がり、特に秀でた能力値がなく全てが平均値なので弱くなる。
だからレベルが低い者でも高い者に勝つ場合があるのだ。
:08/11/03 16:14 :SH905i :☆☆☆
#168 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
しかしカイトは珍しいタイプだった。
ラルティスを速さタイプ、ガイアを攻撃タイプとすると、カイトは的確タイプのようなものだ。
楽しむためにやってきた訳ではなく、父と姉のためだけに戦ってきたカイトは、とにかく確実に敵を仕留めることにこだわった。
ゲームなのに楽しむためではなく、ただ真剣にまるで復讐するかのようにひたすら戦うカイトだからこそ特化した能力なのだろう。
この戦いも後少しで転換点があるかもしれない。
そう考えるとカイトの胸は高鳴った。
腰の紅い日本刀が揺れている。
もう少しで目的地に辿り着く。
:08/11/03 16:15 :SH905i :☆☆☆
#169 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「それにしても妙だな」
歩きながら突然ラルティスが悩ましげな声を上げる。
「普通は倒されたらゲームオーバーになって近くの街で復活するだろう?でも、カイトのお父さんたちは意識不明らしいじゃないか。もし何者かに倒されたなら、キャラは復活するはずだろ?」
カイトがラルティスの疑問に静かに頷くと次にガイアが声を上げる。
:08/11/03 16:16 :SH905i :☆☆☆
#170 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「それがどうしたんだよ。お前、まさかカイトの話を信じてないのか?」
「そうじゃない。ただ、キャラが復活してないってことは誰かに倒された訳じゃなくて、他に何か問題が発生した可能性はないのかな」
「…それも有り得る」
頷くカイトにガイアが小首を傾げて尋ねる。
:08/11/03 16:16 :SH905i :☆☆☆
#171 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「問題ってなんだよ?」
「つまりだ。バグワールドには敵なんかいなくて、カイトのお父さんたちはバグの影響で意識不明になったんじゃないかってこと」
ラルティスは馬鹿を見るように呆れた様子で眉を寄せた。
「医者はそんなことは有り得ないと否定していたが…どうだかな。電気信号を送り出すような代物だ。逆流があっても不思議じゃない」
カイトが答えると二人は怪訝そうな表情を浮かべる。
「おいおい…。もしそうだったらプロの仕事じゃねーか。俺らみたいなプレイヤーが出る幕じゃねーよ」
:08/11/03 16:17 :SH905i :☆☆☆
#172 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「確かにプログラマーの仕事だ。それが本当だったら俺らはあえなくジ・エンドだろうよ。それでも、俺は行くけどな。親父たちがわざわざプレイヤーとしてバグを破壊しにバグワールドに行ったってことは、バグワールドには外からじゃ直接破壊出来ないような強力なプロテクトが掛かってるってことだ。何かが解るかもしれない」
それを聞いたガイアは途端に空を仰いで無気力な声を出した。
「あーあ。やる気失ってきたぜ」
:08/11/03 16:18 :SH905i :☆☆☆
#173 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
その時だった。
三人がほぼ同時に立ち止まった。
「ガイア、カイト」
ラルティスは後方に目を凝らしながら見つめている。
「わかってる」
カイトも同じく後方を見遣った。
「モンスターではないな。…二人か」
ガイアが人数を口にすると二人も同意するように目を合わせた。
三人には先程の緩んだ雰囲気はなく、それぞれ眼光に鋭さを持っていた。
誰一人として剣を構えないが、恐らくいつでも戦える状態なのだろう。
:08/11/03 16:18 :SH905i :☆☆☆
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