【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#169 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「それにしても妙だな」

歩きながら突然ラルティスが悩ましげな声を上げる。

「普通は倒されたらゲームオーバーになって近くの街で復活するだろう?でも、カイトのお父さんたちは意識不明らしいじゃないか。もし何者かに倒されたなら、キャラは復活するはずだろ?」

カイトがラルティスの疑問に静かに頷くと次にガイアが声を上げる。

⏰:08/11/03 16:16 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#170 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「それがどうしたんだよ。お前、まさかカイトの話を信じてないのか?」

「そうじゃない。ただ、キャラが復活してないってことは誰かに倒された訳じゃなくて、他に何か問題が発生した可能性はないのかな」

「…それも有り得る」

頷くカイトにガイアが小首を傾げて尋ねる。

⏰:08/11/03 16:16 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#171 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「問題ってなんだよ?」

「つまりだ。バグワールドには敵なんかいなくて、カイトのお父さんたちはバグの影響で意識不明になったんじゃないかってこと」

ラルティスは馬鹿を見るように呆れた様子で眉を寄せた。

「医者はそんなことは有り得ないと否定していたが…どうだかな。電気信号を送り出すような代物だ。逆流があっても不思議じゃない」

カイトが答えると二人は怪訝そうな表情を浮かべる。

「おいおい…。もしそうだったらプロの仕事じゃねーか。俺らみたいなプレイヤーが出る幕じゃねーよ」

⏰:08/11/03 16:17 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#172 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「確かにプログラマーの仕事だ。それが本当だったら俺らはあえなくジ・エンドだろうよ。それでも、俺は行くけどな。親父たちがわざわざプレイヤーとしてバグを破壊しにバグワールドに行ったってことは、バグワールドには外からじゃ直接破壊出来ないような強力なプロテクトが掛かってるってことだ。何かが解るかもしれない」

それを聞いたガイアは途端に空を仰いで無気力な声を出した。

「あーあ。やる気失ってきたぜ」

⏰:08/11/03 16:18 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#173 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
その時だった。
三人がほぼ同時に立ち止まった。

「ガイア、カイト」

ラルティスは後方に目を凝らしながら見つめている。

「わかってる」

カイトも同じく後方を見遣った。

「モンスターではないな。…二人か」

ガイアが人数を口にすると二人も同意するように目を合わせた。
三人には先程の緩んだ雰囲気はなく、それぞれ眼光に鋭さを持っていた。
誰一人として剣を構えないが、恐らくいつでも戦える状態なのだろう。

⏰:08/11/03 16:18 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#174 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「なかなか速いな。両方共腕利きのプレイヤーだ」

ラルティスが言えばカイトとガイアが前に出る。
同時に、ぴたりと世界が止まった。

「俺ら相手に二人で挑む命知らずなんているのかよ」

息を殺してガイアが言う。
誰一人ぴくりとも動かないまま、ただ前方に目を向けている。
相手も気付いたのだろうか、特に動きは見られない。
先に動き出したのはガイアだった。

⏰:08/11/03 16:19 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#175 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「誰だか知らないが出てこいよ。草影に身を潜めるなんざ、腕利きのやることじゃないぜ?」

低い声色ではっきりと言うと、前に歩を進める。
ゆっくりと背の高い草木に近付いていった。

「ガイア、油断するな」

カイトがそう言った直後であった。
小さなスパークが見えたかと思うと、次の瞬間にはガイアを囲うようにガイアの周囲にいくつかの雷光の輪が出現した。

⏰:08/11/03 16:20 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#176 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「…攻撃魔法か!」

小さく舌打ちをしたガイアは大きく後ろへ跳躍する。
片手を地に付き体勢を立て直してすぐ、先程ガイアがいた場所に雷光が集結し、地面を吹き飛ばすような強い爆発が起きた。
焦げた地面が土煙を上げてカイトたちの視界を妨げた。
爆発の至近距離にいたガイアは先程の爆発音で鼓膜が揺さ振られ激しい耳鳴りが残る。
再び静けさが戻ってくる。
ラルティスとカイトが抜刀すると同時に、草むらから一つ影が飛び出してきた。

⏰:08/11/03 16:20 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#177 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ラルティスさん!」

変わった掛け声と共に姿を現したのは、白のローブを羽織った短髪の少年だった。

「…シン?」

シンと呼ばれた少年は「そうです」と答えると、ラルティスに駆け寄った。

「何でラルティスんとこの馬鹿サブマスターがこんなところに居るんだよ」

明らかに嫌そうな表情をしているガイアに十六歳ほどの少年、シンは不機嫌そうに口を釣り上げた。

「ふん…仕留め損なった」

惜しいと言わんばかりにラルティスの影からガイアを睨み付ける。

⏰:08/11/03 16:21 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#178 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「てめぇまさか…さっきの魔法はお前のかよ!?そういえばお前魔法使いだったもんな!」

「待て、じゃあ後一人は誰だ?」

ラルティスがシンに聞くと、シンはガイアの更に後ろを指差した。

「お前、クーロン…か?」

ガイアが珍しそうな声を出しながら見つめる先には、クーロンと呼ばれた十八歳ほどの黒服の青年が立っていた。
腰には紫色の鞘に収まった片刃刀が下がっている。

「すみません、ガイア様。そいつが突然立ち止まったかと思うといきなり呪文の詠唱を始めて…止めるのが遅れてしまいました」

紳士を思わせる物腰が柔らかそうな青年は申し訳なさそうに言うものの、その顔は無表情を続けていた。

⏰:08/11/03 16:22 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


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