【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#186 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「中は案外明るいな…」
ガイアが小さく呟けば、声が反響するように空間内に響いた。
薄暗い世界は洞窟内のような作りをしていて、一本道になっている。
「よくこのバグワールドに一般ユーザーが紛れ込みませんでしたね」
クーロンがぽつりと疑問を零せばカイトがすぐに答える。
「ここはアクセスコードを持ってないと入れない場所だからな。アクセスコードは俺がダウンロード済みだ」
クーロンはまさか独り言に返事が来るとは思ってなかったのか、なるほどと呟いて正面を向き直した。
:08/11/03 16:28 :SH905i :☆☆☆
#187 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「…待て、カイト」
ラルティスが手を上げて制止を促した。
「どうした?特に何かの気配はないが…」
怪訝そうに眉を潜めればラルティスは人差し指を口元に当て、耳を澄ませばように指示した。
「確かに気配はない。だが…何かいる」
耳を澄ませば、確かに無音ではない。
何かがひしめくような音がする。
いや、声が。
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#188 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「もしかして俺ら…囲まれてる?」
ラルティスの後ろでシンが言った直後、突然内部が明るくなった。
「うわぁ!」
シンの叫び声が聞こえたかと思えば、カイトたちが振り向くとそこにはもうシンの姿はなかった。
「シンがいないぞ!」
「…いや、それどころじゃねーぜ」
慌てた様子のラルティスにガイアは冷静に言うと、魔剣を構えた。
:08/11/03 16:29 :SH905i :☆☆☆
#189 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
変に明るくなった広い空間には、無数の魔物がこちらを伺っていた。
それも、見たこともない異形のものたちが。
全ての魔物が黒い体に赤い目を持っていた。
「こいつは穏便に通してくれそうもないな」
「くっ…」
相変わらず落ち着いたガイアにシンが気になるのか腰の片刃刀に手を掛けながらも落ち着きのないラルティス。
カイトも日本刀を抜刀していた。
:08/11/03 16:30 :SH905i :☆☆☆
#190 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ラルティス、シンなら大丈夫だ。多分クーロンが一緒のはずだ」
ラルティスは我に返ったように辺りを見渡す。
確かにクーロンの姿もない。
部下を気にするあまり状況判断も鈍るとは…。
ラルティスは姿勢を低くした。
「すまない。もう大丈夫だ」
ガイアとカイトは顔を見合わせると頷いて深呼吸をする。
:08/11/03 16:31 :SH905i :☆☆☆
#191 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「さて…と、やりますか」
ガイアは口元に笑みを含みながら、黒い刀身に赤いオーラを纏う両刃刀…魔剣リベリオンを構える。
「見たことないモンスターだが、手応えだけはありそうだぜ」
その横で鋭い眼光を放つラルティスは体勢を維持したまま、素早く抜刀した。
細身で白い刀身に蒼いオーラが纏う片刃刀…聖剣ルシファーを。
「部下を探してるんだ。容赦はしない!」
:08/11/03 16:32 :SH905i :☆☆☆
#192 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
二人に背を向けたまま、カイトも紅い刀身に紅いオーラを放つ日本刀を構える。
「妖刀、鬼斬り極文字…」
カイトが小さく呟くと、三人は地面を強く蹴った。
魔物も三人が動きを見せると一斉に臨戦体勢を作る。
背筋に響くような咆哮を上げながら、魔物が襲い掛かった。
:08/11/03 16:33 :SH905i :☆☆☆
#193 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
低い姿勢のままラルティスは疾走した。
黒い残像を残しながら地面を駆る。
斬撃を繰り出せば、勢いの乗った強烈な一撃は魔物の胴体を難無く貫いた。
そのまま素早く身を返し、剣を引き抜くと同時に第二撃が別の魔物に狙いを定める。
円を描くように体を捻って一閃を決めれば、周囲にいた三体の魔物の体が同時に真っ二つになった。
背後から牙を持った黒い狼が襲い掛かる。
「四体。そして…」
:08/11/03 16:33 :SH905i :☆☆☆
#194 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
一瞬で狼の背後に回り込めば、後ろから首元を一突きにした。
「…五体目」
圧勝ではなかった。
手が僅かに痺れている。
魔物の体が異様に硬いのだ。
斬れないことはない。
素早さでは自分が勝っている。
だが、防御力が遥かに高い。
「畜生め…」
ラルティスは舌打ちを落とした。
:08/11/03 16:35 :SH905i :☆☆☆
#195 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「おらぁ!」
ガイアが横薙ぎの一撃を払えば、四体の魔物の体が綺麗に真っ二つにされた。
思ったよりも硬度がある。
こんなに防御力が高いモンスターはなかなかいない。
だが、ガイアの攻撃の前では大した問題ではない。
「ちょこまかと…動くんじゃねぇ!」
跳飛しながら体重を乗せて剣を振り下ろせば、地面に亀裂が入り岩盤が飛び散った。
破壊された地面からは土煙を上がり、全包囲の敵が消し飛んだ。
:08/11/03 16:35 :SH905i :☆☆☆
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