【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#307 [No.038(1/2)◆vzApYZDoz6]
夕刻の河川敷。
陽は地平線の向こうにどっぷりと浸かり、空は既に青黒くなっている。
つい先程までは橙色を反射し幻想的に光っていた川の水面は、不安感と焦燥感を掻き立てるような夜独特の深く暗い波を漂わせていた。
そんな川を傍目に、1人の少女とその後ろに隠れる少年が、異形の生物と対峙していた。
「我が言の葉を媒し言霊よ、その力を封する言弾となれ…『刺』!」
少女が手にする拳銃の銃口を下唇に当てる。
横笛を吹くかのようにふっと息を吐きかけると、銃口が鈍い光に覆われた。
すかさず銃を構え、引き鉄を引く。
撃ち出された光る銃弾は槍の先端へと姿を変えて、異形の生物の腹あたりに突き刺さった。
「ぎゃああああ!」
「まだ生きているか…言弾となれ、『斬』!」
再び息を吹きかけ、引き鉄を引く。
今度は光る刃となった銃弾が、異形の生物を両断した。
:08/11/03 21:15 :P903i :LUmIhgZI
#308 [No.038(2/2)◆vzApYZDoz6]
断末魔と共に、異形の生物は跡形もなく消えていく。
少女の脇に隠れていた少年が、少女を心配げに見上げた。
「なっちゃん…」
「大丈夫。怪我はない」
少女が小さく笑って頷き、銃を懐にしまい込む。
「まずは1匹、だな」
「本当に大丈夫なの?」
「怪我はない。見ていただろう?」
「じゃなくて…もう1匹倒しちゃったんだから、これから数えきれないくらいの悪魔を倒していかなくちゃならないんだよ?」
少女は少し目を伏せ、歩き出した。
「そうしないと、君は人間に戻れないんだろう?」
「でも…」
「大丈夫。これは私が決めた事だ。必ず、君を人間に戻す」
「なっちゃん…」
「さぁ、家に帰ろう」
少女は少年の頭を優しく撫でて、帰路を歩いた。
:08/11/03 21:15 :P903i :LUmIhgZI
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