【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#357 [向日葵]
それを……あの馬鹿クソ親父はぁーっ!!

―――――――――…………

学校が終わって、夕食の材料を入れたスーパーの袋を持った私は帰宅した。

居間から入ってくる風に気づいて覗いてみれば、ベランダに続く戸の戸口に親父が夕日を眺めていた。

「……ただいま」

「んー……」

私に背を向けたまま、親父はそう言った。

親父は確かに面倒くさがりだし、のんびり屋だし、根性曲がってる部分だってある。

⏰:08/11/04 00:06 📱:SO906i 🆔:1uZDS5G2


#358 [向日葵]
それでも、お母さんが大好きだった事は知ってる。
なのに、そんなお母さんの最期の言葉すら、たった1年という短い間に忘れてしまえるのだろうか。

それが分からないから、私は憤りと共に不安にも似た気持ちを胸中につのらせる。

「親父の……馬鹿……」

気づけば涙で頬を濡らしていた。

「どうして……?本当に分からないの?お母さんの言葉は、親父にとってそんな簡単なものだったの!?」

親父は黙っている。
その背中からは、今どんな気持ちでいるのかは分からなかった。

「……分かった。もういい」

⏰:08/11/04 00:06 📱:SO906i 🆔:1uZDS5G2


#359 [向日葵]
私は自分の部屋に行こうとした。

「忘れるわけないだろう」

私は足を止める。
目を見開いて親父を見るが、さっきと体勢は変わっていなかった。
ただ、さっき見た背中よりも悲しそうに感じた。
そして私にはなった言葉も、微かに震えている気がした。

「思い出したら……失ってしまった事に耐えれないと思った。当たり前だろ……、生涯愛すると誓った相手なんだからよ……」

私は知っていた……。

お母さんが亡くなった日、泣きじゃくる私を慰める為、自分は泣くまいと頑張っていた親父を。

⏰:08/11/04 00:07 📱:SO906i 🆔:1uZDS5G2


#360 [向日葵]
通夜の後、皆が寝静まってしまった頃、もう冷たいお母さんの手を握り締めて、「ありがとう」と涙ながらに呟いていたことを。

でも、お母さんは言った。

「命日には、お母さんとの思い出を笑って話してねって約束したんだからさ、悲しむんじゃなくわらおうよ。そしたらさ、お母さんだって、きっと……」

「……そうだな」

亡くなった人の思い出は、年月と共に悲しくも薄れていく。
だからせめて1年に1度は思い出そう。

大好きな人と過ごした、愛しい時間達を……。

―fin―

⏰:08/11/04 00:08 📱:SO906i 🆔:1uZDS5G2


#361 [向日葵]
>>353-360
「時間のぬくもり」

ご協力頂いた絵師の皆様、ありがとうございました

次の方どうぞー

⏰:08/11/04 00:09 📱:SO906i 🆔:1uZDS5G2


#362 [8]
遅くなりました。
投下します(^O^)

⏰:08/11/04 00:55 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#363 [8]
画像No.54

一輪の花

⏰:08/11/04 00:56 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#364 [8]
昔、鎖国から解かれ文明の進歩した国のとある屋敷から始まるこの物語


「手は尽くしましたがお嬢さんはもう…」



真也は走った

病に伏せている揚羽(アゲハ)様のため崖に咲く一輪の花を摘む為に…

⏰:08/11/04 00:57 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#365 [8]
時はさかのぼり、屋敷より二里ほど先の海岸


「波の音が素敵ですね、真也さん。」

『そうですね、お嬢様。』
お嬢様と呼ばれた少女を乗せた車イスを押す少年がキラキラと光る波を見ながら答えた。

⏰:08/11/04 00:58 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


#366 [8]
 
「この海の向こうにはこの国とは違う言葉、文化が栄えているのですよ。
その中に私の病を治す方法もあるかもしれないとお父様が言ってました。」

『そうなのですか?』

「ええ、今その文化、風習がこの海を渡って来て私達の国をさらに豊かにしているそうです。」
揚羽は目を輝かせながら言った。
 

⏰:08/11/04 00:59 📱:W52SA 🆔:xpWYpMNU


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