【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#36 [あんみつ]
しばらくそれを繰り返して、男はそっと微笑んだ。
まるで、懐かしい思い出の蓋を開けて楽しむように。
男が仕事に戻ろうと立ち上がろうとする。
その時、ペンダントの中央にはめ込まれた石が赤く光った。
それに気付いた男は、目を見開いた後、何度もまばたきを繰り返す。
そして呟く。
「・・・とうとうきたか」
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#37 [あんみつ]
カランカランッ
「アーク!牛乳一本」
店のドアが勢いよく開いて、一人の少年が入ってきた。
アークと呼ばれた男は、一気に現実に引き戻される。
少年は慣れたように棚から牛乳を取り出し、男の前に置いた。
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#38 [あんみつ]
男は自分の首に下げたペンダントを外しながら、少年をじっと見つめる。
「・・・?なんだよ?」
訳が分からないといった様子の少年。
「・・・ん、何でもないよ」
そんな少年を見て、アークは納得したようににっこりと微笑んだ。
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#39 [あんみつ]
「ほら、牛乳。・・・と、これはおまけ」
言いながらアークは、小さな包みを取り出し、牛乳の横に置く。
「まじで?何それ?」
「んー・・・開けてからのお楽しみ」
少年の質問に、アークは意味深な笑みを浮かべて言った。
また飴かなんかだろ、そう思った少年は、その笑みを気にもとめない。
「ふーん、サンキュ」
それだけ言って、財布の中を覗く。
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#40 [あんみつ]
少し小銭をチャラチャラ言わせた後、お札を1枚取り出した。
アークはそれをちらりと見て、また少年に視線を戻す。
そして、口を開いた。
「・・・なぁ、ルキ。封印された闇の話知ってるか?」
「・・・?神と人間が協力して・・・ってやつ?」
ルキと呼ばれた少年が答えると、アークはその通りといった風に頷いた。
ルキは、それが何だよといった風な顔でアークを見る。
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#41 [あんみつ]
アークはそれが分かったのか、
「いや、知ってるならいいんだ」
それだけ言うと、ルキからお札を受け取って、おつりを取り出す。
おつりを受け取りながらも、どうも納得のいかない顔のルキに、アークは少し考えた後口を開いた。
「・・・俺の昔の話をしようか」
「アークの?」
ルキは聞きたい聞きたいと、台の上に身を乗り出す。
そんなルキを見て、アークは満足げにほほえんだ後、話し始めた。
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店内 [jpg/15KB]
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#42 [あんみつ]
「もう十年前だから・・・俺が十六の時。ちょうど今のルキと同い年だな」
「うんうん」
ルキは相槌を打ちながら、今まで一度も聞いたことのないアークの昔話に耳を傾ける。
アークは少しためた後、
「俺は、もう一つの世界に行った」
そう、言った。
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#43 [あんみつ]
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「・・・なぁ、さっきもここ通ったよな?」
「・・・」
「・・・なぁってば」
「・・・」
「なぁ、アーク!」
「だぁーもう!うるさいな!」
「・・・」
俺たちは、深い森の中にいた。
背の高い木々に囲まれて、右も左も分からない。
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#44 [あんみつ]
俺が怒鳴り気味で言うと、後ろにいたそいつは黙り込んでしまった。
こっちが後ろめたい気分になってくる。
(あーくそ・・・もとはといえばこれが・・・)
俺は、自分の首にぶら下がっているペンダントを睨んだ。
赤い石のはめ込まれたそれは、俺の気持ちとは正反対にキラキラと輝く。
・・・話は数時間前にさかのぼる。
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#45 [あんみつ]
「これ、あげるよ」
親が買い出しに行っている間店番をしていた俺に、見慣れない客が牛乳と一緒にペンダントを台の上に置いた。
そう、それがこれ。
「・・・え?」
急なことに戸惑っていると、そいつは牛乳の分のお金を置いて、さっさと店を出て行ってしまった。
慌てて追いかけようと席を立った瞬間、ペンダントが輝きを増して、あまりの眩しさに俺は思わず目を閉じる。
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