【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#54 [あんみつ]
 
レジーはそんな俺の腕を掴んで、小さな体からは想像も付かない強い力で、俺を引き起こした。

「走れ!」

レジーに引かれるまま走り出す。

その時、

「ギギャー!!」

何かのけたたましい鳴き声がした。

俺は思わず後ろを振り向く。

「なっ・・・何だ、これ」

目の前の信じられない光景に、息をのんだ。
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⏰:08/11/03 13:26 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#55 [あんみつ]
 
あまりの恐怖に足が固まる。

「アーク!」

気付いたレジーが俺の名を呼ぶ。

しかし、俺は固まったまま動けない。

目の前には、見たこともない生き物。

茂みから出てきたそいつは、ライオンの様なたてがみを持ち、それは針金のように固く尖っていた。

銀色の毛皮に覆われ、体の大きさは俺の身長を優に超えている。

そして、この世の悪をすべて集めたような漆黒の目。
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⏰:08/11/03 13:27 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#56 [あんみつ]
 
・・・そう、その姿はまるで魔物。

恐怖と驚きで声が出ない。

「危ない!」

レジーが叫ぶ。

俺目掛けて、鋭い爪が振り下りる。

ドンッ!

間一髪のところで、レジーが俺を突き飛ばした。

爪が地面に刺さって、鈍い音が響く。

その振動で木々が揺れた。

俺は地面に倒れ込む。
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⏰:08/11/03 13:28 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#57 [あんみつ]
 
「・・・いってー」

頭をさすりながら起き上がると、目の前にはレジーの背中。

その向こうには、地面に爪が刺さったままの生き物がいた。

体をうねらしながら爪を引き抜こうともがいている。

爪が抜けるのも時間の問題だろう。

レジーは俺をかばうように、俺と生き物の間に立っていた。

「・・・くそ」

レジーがつぶやく。
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⏰:08/11/03 13:29 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#58 [あんみつ]
 
が、突然意を決したように、生き物の出てきた茂みに向かって走り出した。

そのまま茂みの中に消える。

俺は相変わらず動けなくて、レジーを目で追うだけで精一杯だった。

正直、自分がここまで情けないとは思わなかった。

その時、恐れていたことが起きた。

ザッ!

音ともに爪が地面から抜けて、生き物は自由を取り戻す。
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⏰:08/11/03 13:30 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#59 [あんみつ]
 
そいつはシューシューと息を吐きながら、ゆっくりと俺の方を向いた。

(・・・やばい!)

そう思うのに体は動かない。

だんだんと距離が縮まっていく。

(なんで・・・こんな目に・・・)

.

⏰:08/11/03 13:31 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#60 [あんみつ]
 

もとはといえば、あのペンダントのせいだ。

ペンダントを置いていったあの男のせいだ。

選ばれた?

世界を救う?

何なんだよ。

なんで俺なんだよ。

なんで・・・

.

⏰:08/11/03 13:32 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#61 [あんみつ]
 

生き物が前足を振り上げて、鋭い爪が光る。

俺にはそれが、まるでスローモーションのように見えた。

その時、

「アーク!受け取れ!」

茂みの中からレジーが飛び出した。

そして、俺に向かって何かを投げる。

それは・・・あのペンダント。

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⏰:08/11/03 13:33 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#62 [あんみつ]
 

『・・・俺が選んだんだよ!俺は、ずっと・・・』

あの時のレジーの言葉が、必死な目が、頭に浮かんだ。

冷たく突き放した俺を、命がけで助けれくれた。

俺よりも小さな背中は、たくましかった。

なのに、俺は・・・。

.

⏰:08/11/03 13:34 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


#63 [あんみつ]
 

座った状態のまま、できる限り手を伸ばして、ペンダントを受け取った。

爪が俺に向かって振り下りる。


もし、もしも俺が、

なんで俺を選んだんだ?

そう聞いたら、レジーはどう答えるだろう。

『んー・・・なんとなく!』

いたずらっぽく笑って、そんな風に言うかもしれない。

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⏰:08/11/03 13:35 📱:D904i 🆔:3PH3.VE6


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