*ドロップラブ*
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#21 [みい]
なのに、彼は「せやった、見えてへんねや」とか言って、また笑ってる。
「さっき、なんで笑わなかったの?」
「へ?」
私は相手の表情が読めないとき、ついじっと相手の顔の辺りを見る癖がある。
そうすれば、何となくわかる気がして。
さっきも、その癖がつい出てしまったのだ。
:08/11/10 23:58
:SH905i
:WX/jIpA.
#22 [みい]
「私が名前を言った時よ。かわいらしい、なんて言いながら、笑ってなかったでしょ?」
「……ほんまに見えとるみたいやな」
「本当はかわいらしいだなんて、思ってなかったんでしょ」
嫌味ぶって言うと、彼がんー、と唸るのが聞こえた。
「いや、あんな、腹立つ奴らおったねん」
:08/11/10 23:59
:SH905i
:WX/jIpA.
#23 [みい]
「腹立つ?」
「あのー、何て言うたらええんやろ、じろじろ見てくるっちゅーか」
ああ、私に好奇の目を向ける人達のことか。
そんなの、私本人は全然気にしてないのに。
「せやから睨みきかせたった」
そんなことを笑いながら言うこの人は、一体何者なのだろう。
:08/11/11 00:00
:SH905i
:5HJ58mkI
#24 [みい]
それから毎日と言っていいほど、電車で悠に会った。
私は車両も時間も変えられないから、悠から逃れる術はなかった。
逃れる術はなかった、なんて言っておきながら、実は楽しみであったりもしたんだけど。
たった3駅分だけど、少しの間でも、悠が私といてくれることが嬉しかった。家まで送ってくれる優しさが嬉しかった。
:08/11/11 00:01
:SH905i
:5HJ58mkI
#25 [みい]
でも、そんな私のささやかな幸せを崩すのは、神様にとってはたやすいことだった。
いつもの時間、いつもの車両に乗り込む。
「都、座り」
そして今日もいつもどおり、悠は自分が座っていた席を、私に譲ってくれる。
:08/11/11 00:03
:SH905i
:5HJ58mkI
#26 [みい]
前に一度、「お年寄りや妊婦さんじゃないんだから、立ってられるよ」と言ったら、「ただのレディーファーストや」って笑われた。
悠的には、目が不自由だからってわけじゃないらしい。
「ありがとう」
「ん。あんな今日なー、」
悠が話しはじめた時だった。
「あっれー!?悠君!?」
:08/11/11 00:04
:SH905i
:5HJ58mkI
#27 [みい]
女物のきつい香水の匂いが鼻をつく。
「お、久々やね」
「ほんとだよー!悠君、全然サークルに顔出さないんだもん」
媚びるような女の口ぶりに、嫌悪感を覚えてしまう。
「…この人、知り合い?」
:08/11/11 00:05
:SH905i
:5HJ58mkI
#28 [みい]
「うん」
悠の平然とした返事に、彼女は少し間を置いたあと、
「そうなの、大変ねえ」
と、哀れむような声をあげた。
…心から思ってもないくせに。
「色々不便でしょ?少し出かけるにしても、」
:08/11/11 00:06
:SH905i
:5HJ58mkI
#29 [みい]
「ごめんまゆちゃん、次で降りるねん。先輩にもよろしゅう言うといて」
甲高い彼女の声を遮るように、悠が切り出す。
口調は優しいけど、私にはわかる。悠は怒っている。
彼女には悪いとは思いながらも、なぜだか少し嬉しい。
けど、次の彼女の言葉が、そんな私の心を切り裂いた。
:08/11/11 00:07
:SH905i
:5HJ58mkI
#30 [みい]
「そうなんだー。あれ、でも悠君ってもっと奥の方に住んでるんじゃなかったっけ?」
…え?
「俺んちも、ここの駅やねん」
出会った日の悠の言葉が蘇る。
:08/11/11 00:08
:SH905i
:5HJ58mkI
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