本当にあった×××な話
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#376 [我輩は匿名である]
「もしもし。お久しぶりです。由美だけど…今日これから会えないですか?私、暇で…」



オヤジは少し考えた。



手持ちが少ないんだとよ。


「1万?そっか…。」


1万円しか財布にないってさ。


無理。


「じゃあまた今度ね?それじゃあまた。」

⏰:08/12/07 16:00 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#377 [我輩は匿名である]
電話を切り、溜め息をついた。


と、同時に私の隣に誰かが座った。


「3万ならどう?」


若々しくてカッコイイ男性。


「え?」

「電話、聞いちゃった。きみ、援助交際してるの?」

⏰:08/12/07 16:01 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#378 [我輩は匿名である]
度肝を抜かれた。


こんなカッコイイ人が自ら誘ってくるなんて。


援交の相手=オヤジというイメージしかなかった私は、とにかく戸惑った。


「来て、車こっちだから。」


私の手を握り、歩き始めた。


「あ、あの…」

「俺、青木。よろしくね、由美ちゃん。」

⏰:08/12/07 16:02 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#379 [ゆーちん]
どうして私を買ったのかを聞くと『タマってるから。』と答えた。


わざわざお金を出さなくても、他にたくさん女がいるでしょ?


それが最初の疑問だった。


何歳?


お仕事は?


どこに住んでるの?


彼女は?


次々に浮かび上がる疑問。


だけどどれも沈めたまま、車はホテルへと向かって行った。

⏰:08/12/07 16:02 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#380 [ゆーちん]
突然の出会いだった。


あの日、オヤジにドタキャンされていなかったら青木さんと会う事なんかなかった。


ホテルのつき、いつものオヤジのようにすぐに押し倒されるのかと思ったけど違った。


「少し話をしよう。」


そう言ってベットに座って話をした。


名前、学校、苦手な教科。


全て私に関する事ばかり話した。


青木さんの事はほとんど聞けないまま。

⏰:08/12/07 16:26 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#381 [ゆーちん]
「由美ちゃん…援交って、辛くない?」


あの時の私は、寂しさを消す行為=SEXだった。


「全然辛くないですよ。」

「そっか。どうして援交なんかしてるの?」

⏰:08/12/07 18:34 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#382 [ゆーちん]
「今まで寂しくなれば、地元の子とSEXしてたんです。だけど、ある日、『俺とSEXすれば金をやる』って言う人に出会って…SEXしただけでお金が貰えるんなら、一石二鳥だなって思って始めたんです。」

「そっか。寂しがり屋なんだね。」

「金欠病になるのが嫌な怖がり屋なんですよ。」

⏰:08/12/07 18:35 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#383 [ゆーちん]
ニコッと笑った私にキスをした青木さん。


ゆっくりベットに寝かされた。


「寂しいなら俺がいてあげるよ?」

「アハハ。ありがとうございます。」


笑って流した言葉。


社交辞令にしては嬉しい言葉だ。

⏰:08/12/07 18:36 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#384 [ゆーちん]
「恋愛とかしないの?」


首元に舌を這わせて聞いてきた。


「…ッ…しないです。」

「どうして?」

「恋って…よくわかんないから。」

「わかんない?」

「好きとか嫌いとか、わかんない。」

「…そっか。いつか恋愛できるといいね。」

「ンッ…」

⏰:08/12/07 18:37 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#385 [ゆーちん]
優しいSEXだった。


帰り際に『俺がいるから』って言ってくれた青木さん。


意味なんて考えなかった。


連絡先を交換して、満たされた欲望と財布を握り、私はホテルを後にした。


子供の私に、ほんの少しのまだ見ぬ光りを当てようとしてくれた人。


それが青木さんだった。

⏰:08/12/07 18:38 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#386 [ゆーちん]
それから数ヵ月が経った。


青木さんが日本からいなくなって数週間。


毎日退屈な授業を受ける日々。


はるちゃんたちは順調だったので何も問題はなかった。

⏰:08/12/07 18:38 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#387 [ゆーちん]
私と飯田先輩の関係は持続中。


青木さんがいなくなった寂しさは先輩が埋めていってくれた。


援交はしなくなった。


何かが一気に冷めてしまい、番号もアドレスも変え、今までのオヤジと連絡を取れなくしてやった。

⏰:08/12/07 18:39 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#388 [ゆーちん]
今は先輩だけ。


お金はもらってない。


ゆうとくんはあれ以来あまり会わない。


たまに見かけるけど気にならない。


なんか、どうでもよかった。


今じゃすっかり抜け殻状態の私。

⏰:08/12/07 18:40 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#389 [ゆーちん]
「先輩?」

「ん?」

「今日も家行っていいですか?」

「アハハ。いいけど…由美ちゃん盛りすぎじゃない?」


最近では先輩からじゃなく、私から誘う方が多い気がする。


先輩も嫌がらずに抱いてくれる。


こうやって毎日が過ぎて行った。


だんだん青木さんの事も忘れかけ、確実に先輩へと気持ちが傾いていた。

⏰:08/12/07 18:41 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#390 [ゆーちん]
でも絶対に結ばれないんだろう、って思っているから、恋人になりたいだなんて言わない。


今のままでいい。


このまま時間が過ぎて、この感情が薄れていくのを待つしかないんだ。

⏰:08/12/07 18:41 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#391 [ゆーちん]
先輩はもうすぐ卒業。


卒業すれば会えなくなるだろうから、このままでいい。


卒業すればもう会わない。


いつかこの感情は枯れ果てるだろう。


そうやって時間は過ぎていった。

⏰:08/12/07 18:42 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#392 [ゆーちん]
■□■□■□■

南の島

■□■□■□■

⏰:08/12/07 18:43 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#393 [ゆーちん]
「ねぇ、由美ちゃん。」

「ん?」

「俺の事どう思ってる?」


先輩はいきなり問いかけてきた。


「へ?」


今日もSEXして、二人とも満足して、ベットで寝転がってた。


いつも通りだったのに…。

⏰:08/12/07 18:43 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#394 [ゆーちん]
「俺、由美ちゃんの事、好きだったの知ってた?」

「…え。」

「付き合いたかったけど、こんな関係だし無理だってわかってた。」

「…嘘。」

「でも俺頑張ってた。由美ちゃんの事ずっと見てた。」


まさかの告白だった。


私たち、付き合えてたの?

⏰:08/12/07 18:43 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#395 [ゆーちん]
「でね、見てるうちにわかってきちゃった。」

「…何が?」

「由美ちゃんには好きな人がいるんだって。」


そういわれた瞬間、迷いもなく青木さんの顔が頭に浮かんだ。


「好きな人がいるなら、もうこんなことしちゃダメだよ。俺ら今日でおしまいにしよう。」

⏰:08/12/07 18:44 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#396 [ゆーちん]
私と先輩の関係はこうして終わった。


呆気ない物だった。


涙が出た。


でも、自業自得だ。


もう元には戻れない。


以来、学校で会ってもほとんど話さなくなった。

⏰:08/12/07 18:45 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#397 [ゆーちん]
すべてが終わってしまった。


結局、先輩に私ははるちゃんのパートナーだった事も言えぬまま。


あなたが気になっていたの、好意を持っていたのとも言えぬまま。


この仕事で、何か変わる事ができたと思ったのに…。


何も変わらなかった。


また退屈な日々に戻る。


もう、それでもいい。


もう、なんだっていい。


もう…。

⏰:08/12/07 18:45 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#398 [ゆーちん]
からっぽ状態の私は学校帰り、コンビニに立ち寄った。


このコンビニで青木さんと、よく待ち合わせしたなぁ…。


谷口に目撃されたっけ。


懐かしい。


雑誌コーナーに行き、teen向け雑誌を読んでいると、旅行特集されていた。

⏰:08/12/07 18:46 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#399 [ゆーちん]
私は南国リゾートのページに目を奪われた。


そいえば…南の島に行きたいって話したよね。


思い出に浸ってしまう。


そのときだった。


神様は私に素晴らしい奇跡をくれた。

⏰:08/12/07 18:46 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


#400 [ゆーちん]
「俺の嫁になって、ここで永住してくれない?」


後ろから聞こえた声は、
私の一番会いたかった人の声だった。


思わず私は彼の腕に飛び込み、自然に言葉と涙を零していた。


「好き。」


END

⏰:08/12/07 18:47 📱:SH901iC 🆔:JoXzO7f2


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