人生の案内板
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#294 [幸]
『…なぁ、前から聞きたかった。
なんで俺を助けたの?』

『…わかんない。』



私は笑顔で答えた。


『はっ?』

⏰:09/01/09 17:01 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#295 [幸]
『その質問にはまだ
答えられない。』


すると少年はふっと
鼻で笑い、

『じゃあ、また今度聞くよ。』

と言った。

⏰:09/01/09 17:03 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#296 [幸]
沈黙が漂った。
私は何か話そうと思ったが
なかなか話題が出てこない。



『俺…』

少年はいきなり
こう言った。

⏰:09/01/09 17:05 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#297 [幸]
『本当は行きたくない…
ここを離れたくない…』


少年の目には涙がたまっていた。

私はいたまれない気持ちになった。

⏰:09/01/09 17:07 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#298 [幸]
『こんなこと言うの
勝手だけど…
また家族揃って一緒に生きたい…

ただそれだけなのに…
当たり前のことなのに

俺が弟を殺さなければ
家族、バラバラにならずにすんだのかな?

俺は…あの時の俺は
ただ、母さんを守りたかったのに。
実際、守れてなかった…。』



『なんで、あの日殺そうと…?』


私はそう質問した。

⏰:09/01/09 17:10 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#299 [幸]
母さんのため…
もし、それが本当なら









弟を殺せるはずがない。
前にあの警察の人が言ってた…
この少年は殺してないかもと。

⏰:09/01/09 17:12 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#300 [幸]
“実際、母さんを守れてない”

少年はそう言ったよね?
殺すことによって
お母さんが救われるなど
思わないはずだ。



私は一番最初に会った
少年の話しを思い出した。

⏰:09/01/09 17:14 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#301 [幸]
……。
もしかしてこの子…。



『私もね、前から聞きたかった
ことがあるの。』

『なんだよ…?』


『あなた、本当に弟を殺したの?』



少年は驚いた顔で私を見た。

⏰:09/01/09 17:16 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#302 [幸]
『…だからここにいるんだよ』


『母さんのため…?
笑わすなよ。
弟を殺した方が…『俺が殺したんだよ!!』


少年はそう言い張った。

『ねぇ、正直に話せば?
お母さん、あなたが
行きたくない場所に
行かせる方がより嫌な思いするよ?』

⏰:09/01/09 17:44 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#303 [幸]
私がそう言うと
少年は大粒の涙を流した。


少年の涙はとても綺麗だった。


『あなた、私と一番最初に
会った時、なんて会話したか
覚えてる?

“あの日だけ、弟を叱る
には殺気を感じた”って
言ってたよね?』

⏰:09/01/09 17:47 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


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