人生の案内板

『もしもし!?』
『鮎川かなさんですか？』

あの警察官からだった。

『あなたにお会いしたいって
前に話してたことを
覚えてる？』

『はい……』

『28日でお願いします
って言われたんだけど…。』

えっ………？　28日………。

『その日じゃないと
ダメなんですか？』

『ええ、どうしてもって…。』

神様………
あなたはどうしてこんなにも
意地悪なのか？

『その日は無理です!!
日にちを変えることは
できないんですか!?』

私はそう強く聞いたが
答えはNOだった。

『…考えさせて下さい…』

私はそう言い、電話を切った。

私はじじさんの所へ
走って行った。

バンっと乱暴に開け
私は涙目でじじさんの腕を掴んだ。

『かける、今日の午後
暇だから大学に行ってみな!?』

じじさんにそう言われたので
Ｌ大に行った。

私はメールで
“そっちに行くから待ってて”

と送信し、門に行った。

門にはかけるがボ～っと
立っていた。

‘勝手に来てどうした!?’

かけるは私に気づき、
そう聞いた。

『…ねぇ、どうしよ……』

私は警察官からの電話の事を話した。

するとかけるは真剣な顔で
手話をし始めた。

‘俺の見送りなどいい!!
そっちの方へ行け…’

『……やだ』

‘かな!!’
『やだよ!!ちゃんと
かけるを見送りたい…』

‘あの少年を救いたいんじゃないのか!?
救いたいんだろ？

中途半端な覚悟じゃないんだろ？’

『……でも…でも』

涙が私の頬に流れてきた。

『かけるが……好きなの!!』

私は大声で言った。
周りのＬ大の生徒たちに
聞かれたのか、こっちを
何人か見ていた。

‘かな…

男を追いかける女になるな!!
かなは、夢に向かって
走れ!!’

『かける……』

泣いてるせいで
うまく話せなかった。

‘俺も夢に向かって
アメリカへ行く…。

かなもそうしろ…。
夢に向かって生きろ。
そこで恋愛をするんだ!!

…俺より素敵な人と。’

『かける!?』
‘やっぱ無理だ…。

俺たちは障害者と健常者。
つりあえなってない…。
俺……が……
かなに支えられると
惨めな気持ちになるんだ。
どうしても。’

かけるの顔も悲しい顔をしていた。