人生の案内板
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#286 [幸]
校長室に入ると、
3人の警察と少年、
高城先生と教頭先生がいた。



私は昨日のことを思い出し
高城先生の顔をあまり見れなかった。


『たびたびすみません。』

⏰:09/01/09 16:39 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#287 [幸]
そう言ったのは、
私が夏休みに警察署に行った
あの雰囲気のいい警察だった。

⏰:09/01/09 16:40 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#288 [幸]
『いえ、この度はどういう用件で?』


丁寧に聞くと、
少年が

『最後にあんたに
お礼を言いたいんだ。』
と、ギラギラした目で言った。


『最……後?』

⏰:09/01/09 16:47 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#289 [幸]
『ええ、この子は
田舎に預けられること
になったんだ。
精神的なこともあるし

それに親戚の人はみな……』




言葉が出なかった。

すると、
『2人で話したい。
席を空けてくれ。』


少年はそう言うと、
校長室に私と少年の2人きりになった。

⏰:09/01/09 16:50 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#290 [幸]
『…田舎に行くの?』


私から最初に切り出した。

『ああ。』
『なぜ?父親は?』


少年は暫く黙っていた。

⏰:09/01/09 16:51 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#291 [幸]
『…父親1人じゃ、
俺を育てる自信がないんだと。

だから寺のお坊さん?
みたいな人に預かって貰えるんだ。


一回、面会した時
すんげぇ感じのいい人でさぁ。』


最初はイキイキして話していたのに
最後は悲しげな口調になった。


『…私もね。あなたに
お礼言いたいんだ。』



話しをずらした。

⏰:09/01/09 16:55 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#292 [幸]
『お…俺に?』


少年は嬉しそうな、
驚いているような声をだした。


『私ね、興味を持つようになったの。』

『興味?』
『心理学に。』


少年は“おおっ”と
声をあげた。

⏰:09/01/09 16:57 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#293 [幸]
『心理学を勉強したら
人のちょっとした行動で
相手の気持ちが分かるようになるんだよ?
私、そう思うともう
ワクワクしちゃって…

まだ将来の夢は決まってないけど
興味のあるものを勉強して
それに導くような職に就きたいの。』



少年の顔が少しだけど
笑った。

私もつられて笑ってしまった。

⏰:09/01/09 17:00 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#294 [幸]
『…なぁ、前から聞きたかった。
なんで俺を助けたの?』

『…わかんない。』



私は笑顔で答えた。


『はっ?』

⏰:09/01/09 17:01 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#295 [幸]
『その質問にはまだ
答えられない。』


すると少年はふっと
鼻で笑い、

『じゃあ、また今度聞くよ。』

と言った。

⏰:09/01/09 17:03 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


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