人生の案内板
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#601 [幸]
>>592
すみませんホホ

手話の読みとり方

ではなく、

口パクの読みとり方でしたm(_ _)m

⏰:09/02/06 01:05 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#602 [幸]
あと2日でセンター試験に迫った。



私はそれまで、一生懸命勉強した。



かけるは初詣の日以来
どこか私には不自然な態度をとっていた。

メールでは普通なのに…。

でも、だからといって
落ち込んでる暇はない。
と、いうより私は
その悲しみを勉強にぶつけていた。

⏰:09/02/06 01:23 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#603 [幸]
学校は、もう1月の始業式から
家庭研修で休みだ。


私は週に2、3回は
じじさんの所で勉強をしていた。



かけるの綺麗な音楽を聞くために。
しかし本当はかけるに会うために…。

⏰:09/02/06 01:25 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#604 [幸]
今日は家で勉強。
明日じじさんの所に行って
本番を迎えよう!!

そう思い、勉強に励んだ。





翌日。

⏰:09/02/06 01:27 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#605 [幸]
『おっ?頑張ってますね〜』

と、じじさん。



『明日なんで。』


辺りを見回すがかけるの姿は
見えなかった。


『あの、かけるは?』

恐る恐る聞いてみた。

⏰:09/02/06 01:29 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#606 [幸]
『なんか、大学の教授と
面談だから来れないって。』


『えっ…そうですか…。』



まじ‥‥
かなりショック。

⏰:09/02/06 01:31 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#607 [幸]
私はその夜、早めに寝ようと思い、
いつもより早くベッドに行った。


〜♪〜♪
メール着信音。
この着信音はかけるからだ…。


私は急いでメールを見た。



動画つきだった。

⏰:09/02/06 01:52 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#608 [幸]
再生……。

かけるが手話で話してる動画だった。




‘ちゃんと勉強しとるか?
本当は今日渡したかったけど
教授に呼ばれて渡せなかった。

明日、早起きしたら渡すから。


じゃあ、明日は頑張れよ!
おやすみ’

⏰:09/02/06 01:56 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#609 [幸]
……『ありがとう…』

嬉しい…なんでこんなにも
嬉しいのだろう。


かける、本当にありがとう。


‘動画ありがとう!
まじ頑張る!
だから明日早起きしてほしいな〜’



そう送信して、眠った。

⏰:09/02/06 01:59 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#610 [幸]
翌朝、玄関の所に行くと
ス―パ―の袋がぶら下がっていた。



袋の中身はキットカットと
ホッカイロと手紙だった。

感謝しろよ


手紙の内容はそれだけだった。

⏰:09/02/06 02:01 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#611 [幸]
2日間の試験を終え、
次の日学校で自己採点をした。



『かな〜!』
『ちえみ!!』
『かな、大丈夫?
かなの場合、センターだめだったら…』


ちえみは聞きずらそうに聞いてきた。

⏰:09/02/06 02:04 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#612 [幸]
『大丈夫!!』

私はそう断定した。
だって、父さんの手作り弁当と
兄さんのポッキーと
かけるのキットカットが
あったからだもん!!



先生と面談をし、
センターの点数を大学に
速達した。

⏰:09/02/06 02:07 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#613 [幸]
『お疲れ様』

早速、じじさんの所へ行った。
そこに、かけるもいた。



『ありがとうございます!!』

私はそう答えた。

⏰:09/02/06 02:09 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#614 [幸]
‘結果はいつ?’
『まだ先だよ』


‘輸送?’
『電話だよ。』



かけるはソワソワしていた。
そのせいでじじさんに怒られていた。


‘なんでお前はそんなに
冷静なんだ?
俺は一般だったけど
そんな冷静じゃなかったぞ’

⏰:09/02/06 02:12 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#615 [幸]
かけるはそう聞いた。

『自信あるから。』
私は自信満々に答えた。



そして結果発表の日がきた。

家には誰もいない。
1人で見る。
自信満々とは言え、
やはり緊張はするもんだ。

⏰:09/02/06 02:14 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#616 [幸]
私は深呼吸をすると
一気に開けた。









合格

の字が見えた。

⏰:09/02/06 02:15 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#617 [幸]
いやったぁぁぁ!!
私は早速、父さんに電話、
兄さんにメールを送った。



そしてじじさんとかけるには
この紙を見せに行った。

⏰:09/02/06 02:16 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#618 [幸]
『よかったね!』
『おめでとう』


この言葉が返ってきた。




学校にも報告し、父さんと一緒に
手続きをした。

⏰:09/02/06 02:18 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#619 [幸]
ここまで、順調だったのに…。




不幸は突然訪れる。

人は誰だって、人生最後まで
幸せなはずがない。

それはそうだ…。

でも、納得できない!
私たち人間はどうしても
他人との幸せを比べてしまう生き物だからだ。

知能があるだけ、そうしてしまうのだ。

⏰:09/02/06 02:21 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#620 [幸]
>>614
すみませんホホ


『電話だよ』

ではなく

『そうだよ』

ですm(_ _)m

⏰:09/02/06 09:41 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#621 [幸]
2月の中旬だった。
とある、普通のニュースを見ていた。


学校はもう休み。
受験には無事合格したので
朝はゴロゴロしていた。



「昨年の7月。
障害を持っていた弟を
殺害容疑で兄が逮捕されたんですが
精神的ショックを受け、
記憶を失っていた母親が
昨晩、自白したということが
明らかになりました。…」

⏰:09/02/07 00:28 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#622 [幸]
えっ……?



私はある程度家事をしてから
警察署に向かった。

警察署の前は報道陣でいっぱいだった。

⏰:09/02/07 00:30 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#623 [幸]
私はどうしていいか分からず
その場にずうっと立っていた。




『鮎川さん…?』

私の名が呼ばれたので
振り返ってみた。
そこには、あの時の
雰囲気のいい警察官がいた。

⏰:09/02/07 00:33 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#624 [幸]
『あの少年は!?』

私はすぐに聞いてみた。

『あの少年の母親が…
あなたと話したいそうだ。。。

いいかね?』

『なっ…なぜ?』

『それは…話したときに
聞いてみるがいい。』


そう言い残し、私の前から消えた。

⏰:09/02/07 00:36 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#625 [幸]
おそらく…あの時のお礼かな?

私はあまり深く考えなかった。



私はあまりにもの、
かけるへの思いに
あの少年のことを助けたいという気持ちを
忘れていたことに気づいた。

⏰:09/02/07 00:38 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#626 [幸]
私って、口だけの女だ……。



その日の夜、
かけるからあの少年の話しを切り出した。


メールだと話しが長くなるので
次の日に会うことになった。

⏰:09/02/07 00:40 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#627 [幸]
翌日。
会う場所は……
初めて出会った場所だった。




『かける!』
‘やぁ。’


かけるはどう思ったのかな?
そしてこれからも……

⏰:09/02/07 00:43 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#628 [幸]
しばらく沈黙が続いた。
『警察の人にね…
今度、少年の母親に会ってほしいって。』



私はいきなり話しを切り出した。

‘そうか…’

かけるは素っ気ない返事をした。

⏰:09/02/07 00:45 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#629 [幸]
また沈黙が続いた。
いつもと違う空気が流れた。


‘会うの?’



今度はかけるから切り出した。



『そう頼まれたからね。』


するとかけるは一気に話し出した。

⏰:09/02/07 00:47 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#630 [幸]
‘中途半端な優しさ
やらねー方がいい。

もし本当にその少年たちを
救いたいならよく考えてから
行動しろよ。’


『なんで…?』

‘障害を持っていた子どもの
家族だからだ。’

⏰:09/02/07 00:50 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#631 [幸]
『そんなの関係ない!!』

私はそう言ったが
かけるは怖い顔で手話ひし始めた。



‘障害を持ってる人や
その周りの人は
人の優しさに惚れてしまうんだよ
そしてやがてはその
優しい人に頼ってしまう…’


『それは別にいいじゃない!!
人はお互いに支えあいながら
生きてくんだから…』

⏰:09/02/07 00:54 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#632 [幸]
‘あなたは何もわかっていない!!
支えあうなんて無理だ!!
いづれ健常者は障害者に
嫌気をさしてしまう!!
それが当たり前なんだ。
健常者なんだから…。
だから障害者の気持ちなどわからない!!


あの家族は今まで助けてくれる
人がいなかった…
だから殺害をしたんだ

ところがあなたが出てきた
とても嬉しかったと思う。

でも、だからこそ…’



『言ってる意味がわからない!!』

⏰:09/02/07 00:58 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#633 [幸]
かけるは困った顔をしていた。
その顔がさらに私を苦しめる。



‘……あなたは本当に
あの少年を助けたいの?’

『…私はあの少年のおかげで
心理学に興味を持った。
心理学に関わる仕事をしたいと思った。

でも何よりも……
あの少年のようなことを
繰り返しに起こしたくない。』

⏰:09/02/07 01:07 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#634 [幸]
かけるは黙って聞いてくれた。

『私は何のために勉強
していたのか分からなかった。

でも、あの少年のように
苦しんでる人がいるなら
その人たちのために
私はなにをできるか?

そのために勉強したい…
だから心理学の有名な
L大学に受験した…。』

⏰:09/02/07 01:10 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#635 [幸]
‘夢…あったんだね……。’


かけるの顔がいつの間にか
優しい顔になっていた。

『でも、これってさぁ
どういう職業なの?』

‘カウンセラー…かな?’

⏰:09/02/07 01:12 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#636 [幸]
カウンセラー…


‘話ができてよかったよ’

かけるは笑顔で話した。


『なんで?』
‘絶対悩んでるって思ったから。


実は俺、あなたに話したいことがある…。’


かけるの顔が真剣な顔になった。

⏰:09/02/07 01:15 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#637 [幸]
『なあに?』

とは聞いたのも、実際は
聞きたくなかった。


なぜか、嫌だったからだ。



‘俺………、



アメリカに行く……。’

⏰:09/02/07 01:16 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#638 [幸]
えっ……?
今、 何て言った?



‘じじさんの所で
ピアノ弾いてたら、
偶然そこにいた客が
アメリカで修行しないかって
誘ってきて。

小説の夢は諦めてない
でも俺、ピアノ弾きたいんだ…。

そして……歌いたい……。’

⏰:09/02/07 01:20 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#639 [幸]
涙が出てきた。
かけると もう会えないの?



‘初めてあなたの前で
ピアノを弾いたとき
気持ちよかった…

耳を傾けてくれる。
俺の音楽…思いを聞いてくれるって思うと、
ワクワクして…’


なんでそんなに嬉しそうなの?

⏰:09/02/07 01:29 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#640 [幸]
かけるにとって私は
何だったの?



‘…どうした?’

私が泣いてることを
ようやく気づいたかける。



何も話したくなかった

かけるは私のことなど
どうでもいいのね。


私はかけるに背中を向いて去った。

⏰:09/02/07 01:32 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#641 [我輩は匿名である]
頑張ってください

⏰:09/02/07 15:49 📱:P703i 🆔:FsufpeMA


#642 [幸]
>>641
ぁりがとうございますx
頑張りますメ

⏰:09/02/08 12:43 📱:W53H 🆔:rl7D203I


#643 [幸]
がしっと、掴まれた私の左手。


‘どうした?’



…どうした?じゃねぇ〜!
その気持ちもあったが
悲しみの方が上回ったみたいだ。


涙がどんどんでてくる。

⏰:09/02/09 00:20 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#644 [幸]
気がついたら私はかけるの腕の中。



されるがままの私。
涙はまだ流れていたが
大好きなかけるの匂いに
酔ってしまいそうだった。



なぜこんなにも落ち着くのか?

⏰:09/02/09 00:23 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#645 [幸]
そしてかけるは私をゆっくり離し
私の流れた涙を親指で
拭いた。



‘本当は行きたくなかった…
でも、耳が聞こえなくなる前からの夢だったんだ。

俺の音楽をみんなに聞かせることが…’



私は黙ってかけるの手話を見つめた。

⏰:09/02/09 00:27 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#646 [幸]
『小説は耳が聞こえなくなってから…?』


‘そうだよ’




……本当に?
かけるは表情が豊か。
なぜか本当のことを言ってないような
気がする。


私の、いや!女の感。

⏰:09/02/09 00:29 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#647 [幸]
『…いつアメリカに
行っちゃうの?』



‘2月の最後の日。’


もうすぐじゃん…
なんで私はドラマのような
素敵な恋ができないの?
なんでこんな困難が訪れるの?

⏰:09/02/09 00:38 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#648 [幸]
‘14日、暇?’


かけるがいきなり聞いてきた。



『…わかんない。』
‘会えない?
てか、会おう!?’



本当にかけるがアメリカに行ってしまいそうで
悲しかった。

⏰:09/02/09 00:40 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#649 [幸]
14日。


結局会うことになった私たち。
最初は2人で散歩をした。
そして写真をたくさん撮った。

この時間と感情は決して
忘れてはいけない。

⏰:09/02/09 00:43 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#650 [幸]
ポツンと雨が降り出した。


『うわ〜最悪…。』

‘風邪ひくぞ。一旦
雨宿りしよ’



私たちは近くにあった
神社に行った。

⏰:09/02/09 00:45 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#651 [幸]
‘結構雨凄いな…。’

『…うん…』



しかし、この雨は私の
今の本当の気持ちを表してくれている。


止みそうにない、この雨が。

⏰:09/02/09 00:47 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#652 [幸]
‘らちあかねぇ!
俺ん家行こう!?
タオルでちゃんと拭いた方がいい’



『大丈夫なの?』
‘風邪ひかれたら困るからな’



私は別にこのなみだなら
濡れてもいい…。


そう思ったが、くしゃみが出たので
かけるの家に行くことになった。

⏰:09/02/09 00:50 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#653 [幸]
『お邪魔します…』


私はかけるの部屋を見渡した。
この光景が2週間後には
なくなると思うと胸が
キシキシと痛くなる。



‘風呂先入れ。
着替えは置いとくから’

かけるにいきなり言われ
戸惑う私。


『でも…』

⏰:09/02/09 00:53 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#654 [幸]
‘下着は濡れてないだろ?’


『うん…』
弱々しく答えた。

かけるの聞き方がいつもより
あまりにもキツかったから
少し怖かった。



私は黙ってお風呂に入った。

⏰:09/02/09 00:55 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#655 [幸]
ザ―っと聞こえる雨。
どうやら私はまだ泣いているようだ。
しかも大量に、声をあげて。




風呂から出ると、着替えがあった。

着てはみたが、ブカブカ。
鏡に映った私を見て
思わず笑ってしまった。

雨はさっきより弱くなっていた。

⏰:09/02/09 00:58 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#656 [幸]
‘何笑ってんだ?’

かけるが鏡の中に現れた。


『いつからいたの?』
私は驚きながら後ろを向き、聞いた。


‘今さっきだよ’
『だって私、着替えてた!!』

⏰:09/02/09 01:00 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#657 [幸]
‘俺が覗いたとでも言いたいの?’


『別にそんなんじゃ…』



するとかけるは近寄ってきた。

無性に恥ずかしくなって
思わず下を向いてしまった。



‘次は俺が風呂入るから
どいて。’

⏰:09/02/09 01:03 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#658 [幸]
そう話すと洋服を脱ぎだした。

その時ぐぅ〜っと、
かけるのお腹が泣き出した。



かけるは恥ずかしそうに
私を見た。

私は思わず笑ってしまった。
するとかけるもつられて笑ってしまった。

⏰:09/02/09 01:05 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#659 [幸]
『しょ―がないから
なんか作るよ。』

‘作れるの?’


『一応ね。』




かけるは風呂に、
私は台所へ向かった。

⏰:09/02/09 01:06 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#660 [幸]
冷蔵庫の中を見た。
焼きそばがあったので
焼きそばを作った。



テ―ブルに運ぶとき
ズボンのすそが長かったので
ぐいっと折り曲げた。


トントンと肩を叩かれた。


‘うまそうじゃん’
かけるは笑いながら話した。

⏰:09/02/09 01:10 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#661 [幸]
『じゃあ、食べようか。』


いただきます

と言い食べ始めた。


食べ終わった時
かけるがあまりにも
かわいい顔で
‘うまかった’

って話すから思わず涙が出てしまった。

⏰:09/02/09 01:12 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#662 [幸]
かけるは呆れながらも
私の隣に来て、涙を拭いてくれた。


しばらく見つめ合った。



そして優しくキスをした。

初めてのキスは焼きそばの味。



顔を離すとかけるも泣いていた。

⏰:09/02/09 01:15 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#663 [幸]
‘かな……’


初めて…私の名前を手話で
呼んでくれた。


しかし、私の名前を呼んだかけるの顔を見て
なんだか切ない気分になったので
あまり嬉しくなかった。

かけるは手話を続けた。

⏰:09/02/09 01:18 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#664 [幸]
‘悪い…勝手にキスしちゃって…’


かけるはそう話すと
2人分の食器を台所に運んだ。




かける……

その時、ちえみが話した事を思い出した。


「障害者ってなかなか自分に
素直になれないと思う」

⏰:09/02/09 01:21 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#665 [幸]
かけるは私にキスをしてくれた。

じゃあ私は……。



私はかけるの方へ行き
後ろから抱きついた。


するとかけるはばっと
私の方を向いてもう一度
抱きしめた。

⏰:09/02/09 01:23 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#666 [幸]
優しい匂い。
大きな手。
茶髪の綺麗な髪。
優しい目。
広い背中。


全てが私を狂わしてく…。




私は一度、かけるを離してから
手話で話した。



『好き』


と。

⏰:09/02/09 01:26 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#667 [幸]
かけるはしばらく黙っていた。
私と目も合わせなかった。



私は心配になって

『かける…?』

と聞いてみた。



かけるはため息をつき
話した。

⏰:09/02/09 01:28 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#668 [幸]
‘俺みたいな男を?
他にいっぱい男がいるだろ!?

かなも見る目なさすぎだよ!!

俺なんて…
例えば車が後ろからきた時
気づかなくて事故る
しょぼい奴だし。

後は…’



また見つめ合った。

⏰:09/02/09 01:32 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#669 [幸]
『かけるといると
まるで、自分が酔ってるみたいに
癒されるの……。

全てが…好きなの。


アメリカに行くって言われて
会えなくなって、
……辛いよ。

毎回会うだけですごく嬉しがる
自分がいる……

それなのに……。』



今の感情を全て言葉に表した。

⏰:09/02/09 01:36 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#670 [幸]
するとかけるはまた私を抱きしめた。

抱きしめられると
かけるの匂いがもっと
嗅ぐことができる。
もっと一緒にいたいって
いう気持ちになる…。




‘もう…我慢できない…’


かけるは一旦、私を離し、手話で話した。

⏰:09/02/09 01:39 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#671 [幸]
『えっ……?』

かけるは私をお姫様だっこをし、
ベッドまで運んだ。



すると、かけるは私に
近寄ってきた。

『こっ、怖い…』

思わず言ってしまった。

‘……ごめん…頭冷やしてくる’

⏰:09/02/09 01:42 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#672 [幸]
…かける……
なにやってんだよ私!!
もう会えなくなるのに…

でもやっぱり怖い!!
でもこのまま帰りたくない!!





かける…

⏰:09/02/09 01:44 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#673 [幸]
ねぇ、もしかけるが
耳聞こえてたら普通に
好きって言えたのかな?

誰だって恋はするのに
自分の気持ちを伝えられないのは
悲しいね……。






むくっと起きた。
時計を見ると4時になっていた。

⏰:09/02/09 01:48 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#674 [幸]
はっ……?
寝てた?


‘やっと起きたかよ’

かけるは引っ越しの準備をしてたのか
ダンボールがいくつかあった。




『ごめんなさい…』

⏰:09/02/09 01:50 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#675 [幸]
‘本当だよ…’


私は思い切って大胆な
行動をとった。

自分からかけるにキスを
した。



かけるは最初、戸惑っていたが
だんだんと深くなってきた。


‘いいの?’

かけるに聞かれ
こくっと頷いた。

⏰:09/02/09 01:53 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#676 [幸]
かける……


かける……




あなたに出会えて良かった。
こんなに嬉しいことを
味わうことができた。

他の男じゃ、かけるの代わりにならないんだよ。

かけるじゃないと私が
嫌なんだよ…。

⏰:09/02/09 01:56 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#677 [幸]
‘平気か…?’


かけるは私を腕まくらをし
右手で私の髪を撫でながら聞いた。



『……うん』

幸せ……。

⏰:09/02/11 00:10 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#678 [幸]
次の日の夕方。
じじさんの所へ行き
チョコを渡した。



『いや〜初めてもらった』

じじさんはとても嬉しそうだった。


初めてだったんだ…

じじさんは確かにおじさんみたいな顔立ちだが
目が女みたいにくりっとしている。

だからチョコぐらい一回は
もらってると思ってた。

⏰:09/02/11 00:16 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#679 [幸]
そこへかけるが来た。


『昨日、渡すの忘れてた。』


と言い、かけるに渡した。

‘大事なこと忘れるな’

『うるさいな〜』




こんな日が続いたらいいのに。

⏰:09/02/11 00:18 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#680 [幸]
いつも通りかけるに家まで送ってもらった。

そして別れる時は…
おやすみのキス。




受験が終わっても、
勉強は続けている。

勉強しなきゃ一般を受験
する人たちとの差が開くからだ。


私は勉強をし、深い眠りに落ちた。

⏰:09/02/11 00:21 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#681 [幸]
刻々と、かけると別れる日が近づいてくる。

でも私たちは、1日1日を
大切に過ごしてきた。



21日。



一本の電話がかかってきた。

⏰:09/02/11 00:23 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#682 [幸]
『もしもし!?』
『鮎川かなさんですか?』


あの警察官からだった。

『あなたにお会いしたいって
前に話してたことを
覚えてる?』

『はい……』

『28日でお願いします
って言われたんだけど…。』



えっ………? 28日………。

⏰:09/02/11 00:26 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#683 [幸]
『その日じゃないと
ダメなんですか?』


『ええ、どうしてもって…。』





神様………
あなたはどうしてこんなにも
意地悪なのか?

⏰:09/02/11 00:28 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#684 [幸]
『その日は無理です!!
日にちを変えることは
できないんですか!?』

私はそう強く聞いたが
答えはNOだった。



『…考えさせて下さい…』

私はそう言い、電話を切った。

⏰:09/02/11 00:30 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#685 [幸]
私はじじさんの所へ
走って行った。


バンっと乱暴に開け
私は涙目でじじさんの腕を掴んだ。




『かける、今日の午後
暇だから大学に行ってみな!?』


じじさんにそう言われたので
L大に行った。

⏰:09/02/11 00:33 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#686 [幸]
私はメールで
“そっちに行くから待ってて”

と送信し、門に行った。


門にはかけるがボ〜っと
立っていた。



‘勝手に来てどうした!?’

かけるは私に気づき、
そう聞いた。

⏰:09/02/11 00:36 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#687 [幸]
『…ねぇ、どうしよ……』



私は警察官からの電話の事を話した。

するとかけるは真剣な顔で
手話をし始めた。


‘俺の見送りなどいい!!
そっちの方へ行け…’


『……やだ』

⏰:09/02/11 00:38 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#688 [幸]
‘かな!!’
『やだよ!!ちゃんと
かけるを見送りたい…』

‘あの少年を救いたいんじゃないのか!?
救いたいんだろ?

中途半端な覚悟じゃないんだろ?’



『……でも…でも』

涙が私の頬に流れてきた。

⏰:09/02/11 00:41 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#689 [幸]
『かけるが……好きなの!!』

私は大声で言った。
周りのL大の生徒たちに
聞かれたのか、こっちを
何人か見ていた。



‘かな…

男を追いかける女になるな!!
かなは、夢に向かって
走れ!!’

⏰:09/02/11 00:44 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#690 [幸]
『かける……』


泣いてるせいで
うまく話せなかった。



‘俺も夢に向かって
アメリカへ行く…。

かなもそうしろ…。
夢に向かって生きろ。
そこで恋愛をするんだ!!


…俺より素敵な人と。’

⏰:09/02/11 00:48 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#691 [幸]
『かける!?』
‘やっぱ無理だ…。

俺たちは障害者と健常者。
つりあえなってない…。
俺……が……
かなに支えられると
惨めな気持ちになるんだ。
どうしても。’


かけるの顔も悲しい顔をしていた。

⏰:09/02/11 00:53 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#692 [幸]
‘かなは、ただ耳が聞こえないだけと
思ってるだろ!?

でも、こっちは大きな問題なんだ。
障害者はこの問題を
一生背負って生きてく。
この気持ちと覚悟、
健常者じゃ決して分からない。


障害者と恋愛をするって
こういうことなんだよ。
普通に恋愛すると…
普通になりたいって思ってきて
惨めになってくるんだ’

⏰:09/02/11 00:59 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#693 [幸]
『……なんで!?』


時間が止まったように
感じた。



‘健常者は偏見な目で
障害者…俺を見てるから。

例えば、駅の切符売り場で点字を
読んでる人を偏見な目で
見下してる。

知的障害者がいれば
その人をからかう子供や大人。

俺は耳が聞こえなくなって
気づいたんだ……。’

⏰:09/02/11 01:04 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#694 [幸]
『…私を…信じてなかったの?』


‘かなみたいな人、
めったにいないよ…。

かなはカウンセラーの
仕事をしてみたいんだろ?
このチャンスを生かして
健常者に障害者のことを伝えてほしい’

⏰:09/02/11 01:08 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#695 [幸]
『…え?』
‘伝えてほしい…
少しでもいいから、
障害者のことを理解してほしい。’


かけるは空を見上げた。


‘助けてあげてとは言わないけど
偏見はしない…
そんな都合のいい世界には
なれないと思うけど

理解してほしいんだ。
俺たちはただ、それを
願ってる。’

⏰:09/02/11 01:17 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#696 [幸]
‘かなには、そういう人
になってほしい。

いや、別にならなくてもいいけど…



とにかく、俺のために
自分の夢が遠ざかる事は
よしてくれ’



私は手で自分の顔を覆った。
そして14日の雨のように泣いた。

⏰:09/02/11 01:20 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#697 [幸]
かけるは私のその姿を
黙って見ていた。




何もしてこないかけるを見て
私はもう無理なんだと思い
かけるの横を通って
ふらふらと歩いた。

⏰:09/02/14 01:11 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#698 [幸]
私……
もう一度聞いてみるよ…
そして、なんとかかけるの見送りに
行くよ………。



そう何度も思った。


しかし、電話で聞いてみたが
母親は精神的な病気
なので無理だった。

⏰:09/02/14 01:14 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#699 [幸]
私は自分の部屋に着き
ベッドに寝転んだ。





2月最後の日。
28日が刻一刻と迫ってくる。

⏰:09/02/14 01:18 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#700 [幸]
‘27日。会いたい’


私は思い切ってかけるに
メールをした。





…これでかけると会うのは
これで最後だ。


そう自分に言い聞かせた。

⏰:09/02/14 01:20 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#701 [幸]
27日。
私がかけるの家に行くことになった。



これで最後……。


これで最後。。。


私はなるべく笑顔で
かけると話した。
かけるは静かに笑っていた。

⏰:09/02/14 01:22 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


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