双子の秘密

「何で教師になったの？」

「さぁ？自分でもわかんなーい。」

「アハハ。変なの。」

「昔の俺はさ、両親や担任や警察に迷惑かけまくりな少年だったの。」

「不良？」

「俺は不良だと思ってないんだけど、周りはそう呼ぶ。」

「アハハ。自覚なかったんだ。バカじゃん。」

「斗美よりバカはいないって。」

「はぁ？」

私の顔を見てクスッと笑ってから先生は言った。

「更正しなきゃなーと思って、頑張って勉強とかしたの。そん時、担任に助けられたから俺も教師になるかぁと思って…今に至る。でも教師なんか俺には向いてなかったのかも。性に合わなくて毎日息が詰まるよ。」

誰にでも、悩みはあるんだと思った。

当たり前の事だけど、誰しもが悩み事を抱えてるんだと思い知った。

「で、ここで息抜きですか。」

「ここは俺の場所だったのに、誰かさんが昼寝場所に使い出すから迷惑極まりないないね。」

「エヘッ、ごめん。」

「お前が初めてだわ。入学して１ヵ月なのに堂々と屋上でサボって昼寝してるやつ。」

「先生も昼寝すれば？すっごい気持ち良いんだよー。」

「いいよ。起きれなかったらヤバいし。」

「アラームかけて寝ればいいんじゃない？」

「また今度な。斗美が昼寝してる隙に隣で添い寝しといてやるよ。」

「何で私が寝てる隙なの。」

「目が覚めたら王子様が隣で寝てるってロマンチックだろ～、このこの～。」

「アハハ。キモいし、王子様って誰だよー！バ～カ。」

こうして見つけたおさぼり友達。

次にサボった時には先生は来なかった。

その次も来なかった。

だけどその次は来た。

いつも一緒にサボれるって訳じゃない。

先生だって授業があるんだから、いつもいつもサボってられないもんね。

だけど一緒にサボるとなれば、なぜか楽しくなれた。

昼寝せずに、くだらない話をする。

たったそれだけなのに、楽しくて安らげる時間だった。

梅雨入りをした６月は屋上ではサボれない。

他にサボれる場所を探さないと。

先生はいつもどこでサボってんだろ。

屋上で話ている時に聞いておけばよかった。

学校内で先生とすれ違ってもお互い無視するし、連絡先ももちろん知らない。

しばらくは先生とおさぼり出来ないのかなー、なんて思っていたら梅雨明けが訪れた。

驚く事に梅雨中、私は一度もサボらなかった。

迷っているうちに終わった梅雨期間。

授業に出ているのに、ちっとも賢くならない私。

太陽が暑く輝きだした。