双子の秘密
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#282 [ゆーちん]
勤務時間が終わった先生は今まさに、その地図を見ながらこっちに向かって来てくれている。
段々と涼しくなる風に、髪を揺らされながら先生が来るのを待った。
…まだかな。
早く、逢いたい。
こんな気持ちになるのは生まれて初めてだった。
:08/12/10 17:28 :SH901iC :0Xqg4XG.
#283 [梨乃]
みてます
:08/12/10 17:28 :P905iTV :B0NtWS3Y
#284 [ゆーちん]
ピカピカッと車のライトが私を照らした。
私の顔は自然に緩み、待ち侘びたお迎えに走り寄った。
助手席の窓が開いていて、覗き込むといつもの笑顔が車内に潜んでいる。
「お待たせー。」
「ううん、カッコイイ車じゃん!」
「でしょ?はい、乗ってー。」
:08/12/10 17:29 :SH901iC :0Xqg4XG.
#285 [ゆーちん]
ドアを開けて、助手席に乗り込むとのんびりした洋楽が流れていた。
独特な車内の匂い。
車はゆっくり走り出す。
「つか迷ったんだけど。」
「嘘!」
「こんな下手くそな地図じゃわかる訳ねーじゃん。」
:08/12/10 17:29 :SH901iC :0Xqg4XG.
#286 [ゆーちん]
そう言って私の送った写メールの画面になっている携帯電話を突き付けて来た。
「私さぁ地図なんか書くの初めてだから、どう書けばいいのかわかんなくて。」
「まぁいいけど。もう覚えたし。」
「覚えたの?記憶力いいね。」
:08/12/10 17:33 :SH901iC :0Xqg4XG.
#287 [ゆーちん]
「…教師だから、僕。」
「そうなんだー。知らなかったー。」
ふざけて笑い合う時間が好き。
安心するな、この人といると。
「一回覚えれば次から迷わないで済むわ。」
次から…ねぇ。
嬉しい事言ってくれんじゃん?
:08/12/10 17:33 :SH901iC :0Xqg4XG.
#288 [ゆーちん]
「ねぇー先生。」
「はーい、斗美ちゃん。」
「夜景は?」
「夏休み入ったら連れてってやる。」
「ん、約束ね。」
「うん、約束。」
指切りげんまんの変わりに私の頭をポンポンと叩いた。
:08/12/10 17:35 :SH901iC :0Xqg4XG.
#289 [ゆーちん]
「普通、もっと優しく叩かない?」
「俺流。」
「アハハ!」
強めに叩かれた頭。
ヨシヨシだって、きっと力強いんだろうな。
別に力加減なんてどうでもいい。
頭を触られると褒められたり、大切にされてる気がするから嫌いじゃない。
むしろ好き。
:08/12/10 17:35 :SH901iC :0Xqg4XG.
#290 [ゆーちん]
でも、斗羽の方が頭を撫でられた回数は多いんだろうな。
ママに頭を撫でられたのって、いつが最後だっけ。
記憶にないよ。
「到着ですか?」
「そうですよ、お嬢ちゃん。」
「…なかなか綺麗なマンションだね。もっとおんぼろアパートに住んでるんだと思ってた。」
:08/12/10 18:36 :SH901iC :0Xqg4XG.
#291 [ゆーちん]
車を降りて先生の後ろをついて歩く。
「馬鹿にしないで〜よ〜。」
「古っ!」
「おっちゃん丸だしだな。」
「アハハ!」
部屋番号なんかかっこよく入力しちゃって、自動ドアが開いて、エレベーター乗って、お洒落な廊下に出た。
:08/12/10 18:37 :SH901iC :0Xqg4XG.
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