双子の秘密
最新 最初 🆕
#418 [ゆーちん]
〔斗羽〕


「斗羽ちゃん!」

「お待たせ。」


今日で4度目。


こうやって、夜な夜な公園で太一くんと会うのは。


太一くんもこの近くに住んでいるらしく、この公園で会うのがお決まりだった。


園田さんと会えない変わりに太一くんと会う。

⏰:08/12/10 22:08 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#419 [ゆーちん]
そんなバカな私に、太一くんは惜しみもない笑顔をくれる。


園田さんと待ち合わせしたこの公園は、太一くんとの思い出の方が増えていった。


「宿題してる?」

「ううん。バイト忙しいから全然してない。」

⏰:08/12/10 22:09 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#420 [ゆーちん]
太一くんはファミレスの厨房でバイトしている。


私と同じ飲食関係だから、よく共感し合ったり文句言ったりと話題が尽きない。


公園で話す事なんて他愛もない事。


だけど、そんな普通な事が楽しくて、こうやって暗黙のルールを破るような日々が続く。


恵にはもちろん内緒。

⏰:08/12/10 22:10 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#421 [ゆーちん]
秘密がどんどん増えて行く自分に、少し情けなく思ってはいるものの、なかなか抜け出せないんだ。


「最近あの映画の宣伝、かなりしてるよな。」

「三部作だもんね。」

「俺、1つ目も2つ目も見てないんだよねー。斗羽ちゃん見た?」

⏰:08/12/10 22:10 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#422 [ゆーちん]
「見たよ。うちにDVDあるよ?1も2も。」

「マジで?」

「うん。貸してあげるよ。」

「やったー!ありがとな。」

「…取りに行く?すぐそこだし。」

「いいの?」

「うん。」


2人で公園を出て、一緒に私の家まで歩く。


夜風が気持ち良くて、8月らしい気候だった。

⏰:08/12/10 22:11 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#423 [ゆーちん]
家の前に到着すり直前、太一くんはとんでもない事を言い出した。


「斗羽ちゃん、脱走した事ある?」

「へ?脱走?」

「夜遊びするのに窓から抜け出したりさ。」


あるわけない。


でも…方法は知っていた。

⏰:08/12/10 22:11 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#424 [ゆーちん]
2階の物置部屋の窓を使えば、上手く屋根をつたって抜け出せる。


斗美が脱走しているのを何度か見た事があるから。


「ある…かな。」

「本当?」


家の前に付き、私は2階を指差した。


「うん、あそこ。この壁を登って屋根をつたえば、あの部屋に入れるはず。」

⏰:08/12/10 22:20 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#425 [ゆーちん]
「じゃあその作戦な!」

「…え?」

「斗羽ちゃんの部屋、行きたいんだけど。無理?」


断れなかった私は、1人で玄関から入って行き、物置部屋に向かった。


鍵を外し、窓を開けて下を見ると太一くんが待ってくれていた。

⏰:08/12/10 22:21 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#426 [ゆーちん]
OKサインを出すと、猿のように簡単に登ってみせた太一くんは窓から初来訪。


「どうぞ。私の部屋。」


部屋に入った太一くんは、カーペットの上に腰を降ろした。


「はい、これ。」


DVDを差し出すと太一くんは笑顔を咲かせて『ありがとう。』と言った。

⏰:08/12/10 22:21 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#427 [ゆーちん]
これで、太一くんがこの部屋にいる理由はなくなった。


だけど帰る様子は無し。


そもそもDVDを渡すだけなら、こんな風にこっそり侵入して来なくても玄関前で済む事だ。


中に入ったと言う事はDVDを渡す以外にも用があるという事。

⏰:08/12/10 22:22 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194