双子の秘密
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#146 [ゆーちん]
梅雨が明けると夏が来る。


店内は涼しくて、お客さんは涼みついでに来店してくるので毎日忙しかった。


「桜井さん、申し訳ないんだけど1時間延長してもらえる?」


店長に頭を下げられちゃ断るにも断れないよ…。


夜道が怖いから、出来るだけ早く帰りたいけど…仕方ないよね。


「はい、わかりました。」

⏰:08/12/08 21:13 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#147 [ゆーちん]
いつも21時に上がるけど、今日は22時上がり。


「お疲れ様でした。」


店を出ると、ムッとした暑さが私を待ち構えていた。


明るい駅前を歩き、嫌いな暗い道を歩く。


一人ぼっちだと怖い。


だけど誰かいても怖い。


どっちにしろ、この道は怖い。

⏰:08/12/08 21:13 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#148 [ゆーちん]
やだ、やだ。


早く帰ろ…。


と、その時だった。


「桜井さん。」


心臓が跳ね上がった。


誰もいないと思っていたのに後ろから声をかけられ、私は慌てて振り返った。

⏰:08/12/08 21:14 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#149 [ゆーちん]
「あ…園田さん。」


後ろにいたのは園田さんだった。


バイト先の正社員の人。


確か25歳って言ったかな。


「ごめん、驚かしちゃった?」


無邪気に笑う園田さんと、10も歳が離れてるなんて思えない。

⏰:08/12/08 21:15 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#150 [ゆーちん]
「あの、何してるんですか?こんな道で…」

「さて問題。園田さんは何をしてるんでしょーか?」


園田さんは歩き出した。


私は園田さんの隣を歩く。


「まだ勤務中ですよね。あ、わかった!買い出しだ。」

「お〜、さすが頭のいい高校行ってるだけあるね。正解。」

⏰:08/12/08 21:15 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#151 [ゆーちん]
久しぶり。


聡志以来だ。


この道を誰かと歩いて、怖いと感じなかったのは。


「やっぱり。何の買い出しですか?」

「ティッシュ。ストック切れてるのも忘れてたんだって。店長ボケてんじゃねーの?」


声を出して笑い合った。

⏰:08/12/08 21:16 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#152 [ゆーちん]
「店長にチクりますよ?」

「んな事したら桜井さんのロッカーにカエル入れてやるし。」

「やー!絶対嫌です!やめて下さいよ?」

「アハハ。桜井さん次第だねー。」

「言いませんよー!でも、なんでこんな道歩いてるんですか?駅前のコンビニでもティッシュぐらいありますよ。」

⏰:08/12/08 21:17 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#153 [ゆーちん]
「だってコンビニ高いじゃん。ここ通って行ったらドラッグストアあるっしょ?あそこ安いし、俺ポイントカードあるもん。」

「ポイントカードって!」

「あれ?ポイントカード、バカにしちゃう系?」

「バカにはしてないですけど、園田さんはポイントカードとか似合わなくって。」

⏰:08/12/08 21:17 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#154 [ゆーちん]
「あー、よく言われる。でもうちの奥さん、ポイントカードとか割引券とか好きでさ。その影響。」


…驚いた。


結婚、してたんだ。


私だけが知らなかったのかもしれないけど、指輪はしていないし、誰からも聞かなかったから驚きで言葉が出なかった。

⏰:08/12/08 21:18 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


#155 [ゆーちん]
「煙草吸っていい?」

「あ、はい。」


歩き煙草する人は嫌い。


だけど園田さんは嫌いじゃない。


出たよ、私のわがままっぷり。


わがままって言うか矛盾してる筋の通ってないだけの女、みたいな。


やだな。

⏰:08/12/08 21:20 📱:SH901iC 🆔:xLeVnYmI


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