双子の秘密
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#286 [ゆーちん]
そう言って私の送った写メールの画面になっている携帯電話を突き付けて来た。
「私さぁ地図なんか書くの初めてだから、どう書けばいいのかわかんなくて。」
「まぁいいけど。もう覚えたし。」
「覚えたの?記憶力いいね。」
:08/12/10 17:33 :SH901iC :0Xqg4XG.
#287 [ゆーちん]
「…教師だから、僕。」
「そうなんだー。知らなかったー。」
ふざけて笑い合う時間が好き。
安心するな、この人といると。
「一回覚えれば次から迷わないで済むわ。」
次から…ねぇ。
嬉しい事言ってくれんじゃん?
:08/12/10 17:33 :SH901iC :0Xqg4XG.
#288 [ゆーちん]
「ねぇー先生。」
「はーい、斗美ちゃん。」
「夜景は?」
「夏休み入ったら連れてってやる。」
「ん、約束ね。」
「うん、約束。」
指切りげんまんの変わりに私の頭をポンポンと叩いた。
:08/12/10 17:35 :SH901iC :0Xqg4XG.
#289 [ゆーちん]
「普通、もっと優しく叩かない?」
「俺流。」
「アハハ!」
強めに叩かれた頭。
ヨシヨシだって、きっと力強いんだろうな。
別に力加減なんてどうでもいい。
頭を触られると褒められたり、大切にされてる気がするから嫌いじゃない。
むしろ好き。
:08/12/10 17:35 :SH901iC :0Xqg4XG.
#290 [ゆーちん]
でも、斗羽の方が頭を撫でられた回数は多いんだろうな。
ママに頭を撫でられたのって、いつが最後だっけ。
記憶にないよ。
「到着ですか?」
「そうですよ、お嬢ちゃん。」
「…なかなか綺麗なマンションだね。もっとおんぼろアパートに住んでるんだと思ってた。」
:08/12/10 18:36 :SH901iC :0Xqg4XG.
#291 [ゆーちん]
車を降りて先生の後ろをついて歩く。
「馬鹿にしないで〜よ〜。」
「古っ!」
「おっちゃん丸だしだな。」
「アハハ!」
部屋番号なんかかっこよく入力しちゃって、自動ドアが開いて、エレベーター乗って、お洒落な廊下に出た。
:08/12/10 18:37 :SH901iC :0Xqg4XG.
#292 [ゆーちん]
「はい、由良先生の部屋はどこでしょうか?」
「は?何で問題出されてんの私。」
「さっきロビーで部屋番号入力してたの見てなかったの?」
「見てないし!」
「もぉ〜。見ててよ。今度から1人で来れないと困るでしょ?」
何だよ、それ。
:08/12/10 18:38 :SH901iC :0Xqg4XG.
#293 [ゆーちん]
今度からとか、1人でとか…。
照れんじゃん。
心臓、ドキドキしすぎだし。
「ここ何階かはわかる?」
「9階でしょ?何階かぐらいはわかるよ。」
また、先生の後ろをついて歩く。
:08/12/10 18:38 :SH901iC :0Xqg4XG.
#294 [ゆーちん]
と、先生はいきなり足を止めた。
クルッと回り、顔を近付けて私に言う。
「きゅーいちれい!」
「…へ?」
「部屋番。910。」
「あぁ、うん。910ね。」
表札には由良と書いた字の上に910と記されていた。
:08/12/10 18:39 :SH901iC :0Xqg4XG.
#295 [ゆーちん]
「覚えててね。このマンション、学校から案外近いから放課後来やすいだろうし。」
先生は鍵を開け、中に入った。
先生独特の匂いが部屋から溢れ出る。
「…えっ!」
「え?」
「来ていいの?」
「うん、いいよ。何、嫌?」
:08/12/10 18:39 :SH901iC :0Xqg4XG.
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