双子の秘密
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#331 [ゆーちん]
〔斗羽〕


誰にも相談できない恋心を抱き、夏休みを迎えた。


園田さんとはあれからまだ一度もデートならぬ密会はしていない。


理由はたくさんある。


仕事が忙しい。


休みがない。


たまの休みは家族と過ごす。

⏰:08/12/10 19:17 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#332 [ゆーちん]
必然的に私との時間は無い。


体を重ねて早速、放置されてる私の身にもなってよ。


この恋心はどうすればいいの。


どんどん高まるばかりで、愛のぶつけ先がない。


逢いたいよ。


バイト先で会ってるじゃんって思うかもだけど、あんなの会った内に入らない。


だって…

⏰:08/12/10 19:17 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#333 [ゆーちん]
「園田さん、あの‥」

「ごめん、後にして。忙しいんだ。」


こんな態度だもん。


関係を持つ以前までの態度と180度変わってしまった。


冷たい。


避けてる?


どうしてだろ。


連絡は、たまにメールが来るぐらい。

⏰:08/12/10 19:18 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#334 [ゆーちん]
でもそのメールのおかげで、私はまだ園田さんとの関係が続いてるんだって思える。


どうして避けてるのか、理由が知り合い。


だけど聞く前に園田さんは逃げて行く。


せっかく好きな人と会えるバイトが、ただ辛くなるだけのバイト先になっちゃうよ。

⏰:08/12/10 19:18 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#335 [ゆーちん]
「お疲れ様でした。」


バイトが終わり、駅前を歩く。


夏休みのせいなのか、いつもより賑やかだ。


駅前を通り過ぎ、暗い道を歩く。


やだな。


駅前が賑やかすぎたから、いつもより不気味に感じてしまう。


ヴーッヴーッ…


携帯が震えた。

⏰:08/12/10 19:19 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#336 [ゆーちん]
《バイト帰りにコンビニでドレッシング買って来て!斗羽が好きな味でいいよ。》


ママからだった。


ドレッシングって。


きっとサラダを作ったのはいいがドレッシングが切れていたか、私が帰る前に使い切ってしまったか。


《はーい。》

⏰:08/12/10 19:19 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#337 [ゆーちん]
私は進路報告を変え、コンビニに向かって歩いた。


「いらっしゃいませ。」


店内は驚くぐらい涼しかった。


フレンチドレッシングとアイスを買って、レジに並ぼうと足を進めた時。


「きゃっ!」

「っ、と。ごめんなさい!」

⏰:08/12/10 19:20 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#338 [ゆーちん]
誰かにぶつかってしまい、商品を床に落としてしまった。


ぶつかった相手は慌てて床に転がったドレッシングとアイスを拾ってくれた。


「ごめんなさい、大丈夫ですか?」

「こっちこそ、ごめんなさい。私は大丈夫です。」

⏰:08/12/10 19:21 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#339 [ゆーちん]
男性と目が合う。


同時にお互い、アレ?という表情を浮かべた。


「あの、どこかで会いませんでしたっけ?」

「ですよね。えーっと…」


会った事があるのに、どこで会ったのかわからない。


この人が誰なのかもわからない。


だけど顔だけは覚えている。

⏰:08/12/10 19:23 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#340 [ゆーちん]
「私、駅前のカフェでバイトしてるんですけど、もしかしてお客さんで来ていただいたとか?」

「あ、それだ。斗羽ちゃんだ!」

「え?」

「恵の友達の!」

「…あぁ!恵の彼氏さんだ!」

⏰:08/12/10 19:24 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#341 [ゆーちん]
あれはまだ私と園田さんが不倫関係なんかになってもいなかった時。


恵とのデートでバイト先に来てくれたんだ、この人。


確か名前は…

「たっくん!」

「アハハ。恵だけだよ、そう呼ぶの。」

「お名前何て言うんですか?」

「太一。」

⏰:08/12/10 19:25 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#342 [ゆーちん]
「あぁ、だからたっくんか。」


妙な親近感が沸く。


私が支払いを済ませると、太一くんも支払いを済ませ、一緒に店内を出た。


友達でも何でもないのに、なぜか人見知りにもならず気楽に会話ができた。

⏰:08/12/10 19:25 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#343 [ゆーちん]
「何買ったの?」

「アイスとガム。」

「私もアイス買ったよ。それにドレッシングも。」

「知ってる。さっき拾ったから。」

「あ、そっか。」

「ハハッ。どっかで一緒に食べようよ、アイス。」

「じゃあこの近くに公園あるから、そこに行く?」

「うん。」

⏰:08/12/10 19:38 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#344 [ゆーちん]
何、この展開。


普通おかしいよね。


友達の彼氏と公園?


しかも夜に。


会うの二回目って言うか、ほとんど初めてって言ってもいいぐらい。


おかしいってわかってはいるんだけど、5分後には太一くんと並んでブランコに座りながらアイスを食べていた。

⏰:08/12/10 19:38 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#345 [ゆーちん]
「じゃあ同じ歳なんだね。」

「うん。斗羽ちゃん彼氏とかいないの?」

「んー、どうだろ。」

「複雑なの?」

「うん、まぁ…」


誰にも話せないからこそ、初対面にも近い太一くんになら心を開けるのかもしれない。

⏰:08/12/10 19:39 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#346 [ゆーちん]
「俺でよければ相談乗るからね。」

「ありがと。また耐えられなくなったら頼らせてね。」

「おう!じゃあ連絡先教えてよ。」

「あ、うん…。」


太一くんは恵の彼氏。


連絡先を交換しちゃいけないってルールなんてないけど、友達同士の暗黙のルールだよね、普通は。

⏰:08/12/10 19:40 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#347 [ゆーちん]
でもその暗黙のルールを破り、私は太一くんと連絡先を交換した。


「私そろそろ帰るね。帰ってサラダ食べないと。」


ドレッシングの入ったコンビニ袋を見せると、太一くんは笑った。


「送って行くよ。」

「一人で大丈夫!すぐそこだから。太一くん気をつけてね。」

「うん、じゃあまたね。」

「バイバイ。」

⏰:08/12/10 19:40 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#348 [ゆーちん]
公園を出て、違う道を歩く。


どうして私は太一くんと連絡先を交換したのか。


人見知りをしなかったのか。


疑問に思う事はたくさんあるけど、決意した事は1つだけ。

⏰:08/12/10 19:41 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#349 [ゆーちん]
太一くんは、恵の彼氏。


好きになる相手じゃない。


太一くんは好きにならない。


そう決めた。


不倫してるだけでも、頭を抱える程悩まされてるのに、友達の彼氏を好きになると益々頭を抱え込まないといけなくなる。

⏰:08/12/10 19:41 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#350 [ゆーちん]
耐えられないよ、そんなの。


しっかりと決意をし、小走りで家まで帰った。


「ただいま!」


家についた時にはドレッシングはすっかり生温くなってしまっていた。

⏰:08/12/10 19:42 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#351 [ゆーちん]
〔斗美〕


「やだな。」

「え?」

「バイトなんだ、今日。」

「そう。頑張ってね。」


先生と付き合っても援助交際というバイトは辞められない。


先生には知り合いの手伝いのようなバイトをしていると言ってある。

⏰:08/12/10 19:43 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#352 [ゆーちん]
「辞めたいな。」

「辞めちゃえば?斗美1人ぐらいなら俺、食わせて行けるよー。」

「あら、そんなたくましい事言ってると後悔するよ?」

「あぁ、そっか。あなた高くつく女だもんねー。」

「そうだよ?それでもいいの?」

「前言撤回だ。」

「アハハ。最悪〜!」

⏰:08/12/10 19:44 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#353 [ゆーちん]
夏休みを迎えた今、毎日のように910号室に入り浸っている。


生徒は夏休みでも、先生は学校に行かないといけないみたいで、毎日入り浸っていても、先生と会えるのは出勤前のほんの数十分。

⏰:08/12/10 19:44 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#354 [ゆーちん]
私がもっと早く起きて、早く先生のマンションに来れば長く居られるんだけど、朝は苦手で…。


先生が帰る頃には、私は援助交際とか言う最悪なバイト中だしさ。


援交、先生のためにも辞めたいんだけど…お金とかストレス発散とか色々あって、やっぱり辞められなかった。

⏰:08/12/10 19:45 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#355 [ゆーちん]
「じゃあ俺行くねー。ガスだけ気をつけて。」


玄関に向かって行く先生を後ろから追い掛けた。


もう行くの?


行かないで。


そんな可愛い事が言える訳もなく、『しっかり働け!』なんて言ってしまう。


「斗美もねー。」

「うん。いってらっしゃい。」

⏰:08/12/10 19:46 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#356 [ゆーちん]
「いってきます…よ?」


よ?


「フフッ。何?」

「何?だって。桜井さん可愛いげ無いなー。」

「今の私の物真似?似てないよ。」

「えー、残念。はいっ、おいで。」


何でこの人はこんな穏やかな性格なんだろう。

⏰:08/12/10 19:46 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#357 [ゆーちん]
のんびりって言うか、マイペースって言うか。


リズムが崩されんだよね。


玄関口で甘いキスを交わしてから、先生は『気をつける事は?』と聞いてきたので『ガス。』と答えると、笑顔を浮かべて私の頭を撫でてから出掛けて行った。


急に一人ぼっちになった先生の部屋で、毎日掃除をしたり洗濯をして過ごした。

⏰:08/12/10 19:47 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#358 [ゆーちん]
この歳で家政婦かっつーの。


でも他にやる事ないし、自分の家にいたって居心地悪いし、家事するしかないんだよね。


バイトまでの時間、主婦にでもなった気分だ。


これで料理が出来たらな…。

⏰:08/12/10 19:48 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#359 [ゆーちん]
◆◇◆◇◆◇◆

いったんSTOP

>>2

◆◇◆◇◆◇◆

⏰:08/12/10 19:49 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#360 [ゆーちん]
「ンンッ…」

「ああぁ…っ…」


早くイけ。


「もう私…ダメ…」

「僕も…あぁ…一緒に…」

「うん。一緒に…イこ…」


苦痛でしかない親父とのSEXは金の為だと思えば割り切れた。


演技だって磨きがかかる一方。

⏰:08/12/10 20:33 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#361 [ゆーちん]
先生ごめん。


浮気と一緒だよね、援交なんて。


バレたらフラれちゃうんだろうな。


せっかく恋したのに…やだな。


「あぁ…イく…イく!」


やっと果ててくれた客。


私は疲労感に満たされているが、客は違う感情に満たされているんだろう。

⏰:08/12/10 20:33 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#362 [ゆーちん]
その後、2人の相手をして合計3人の欲を満たせてあげた。


財布には10万円が追加され、私の金欲が満たされた。


家に帰ると、斗羽とママが晩ご飯を食べていた。


疲れてたし食欲もなかったので部屋に直行。


鞄から携帯電話を取り出すとメールが2件来ていた。

⏰:08/12/10 20:34 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#363 [ゆーちん]
《久しぶりー!夏休みだし遊ぼうよ。明日ひま?》


中学からの友達からのお誘い。


違う高校だとなかなか会えないもんね。


もう1件は先生。


メールなんて珍しい。


《明日バイト?俺、休みだからどっか出掛けない?》

⏰:08/12/10 20:35 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#364 [ゆーちん]
明日はバイト、入れてない。


当日いきなり『会おうよ。』なんて言ってくる面倒な客もいるけど、暇な時しか相手しない。


明日はそんな客が来ても全て断る。


だって、明日はデートで忙しいんだもん。


《行く!》

⏰:08/12/10 20:36 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#365 [ゆーちん]
先生に返事を返してから、友達にはまた今度にしよう、と日を改めてもらった。


《じゃあ明日の朝、迎えに行くから。》


その返事が来て、急に私の頭はフル回転。


《今から行く!先生のとこに泊まりたい。》

⏰:08/12/10 20:37 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#366 [ゆーちん]
どうせこの家は寝るだけの家だもん。


あぁ、あと服やバッグ置き場?


どうせなら今晩から一緒に過ごしたい。


彼氏とは1秒だって長く居たいものでしょ?


《だーめ。親が心配すんだろ。》


ママとパパの顔が頭に浮かんだ。

⏰:08/12/10 20:46 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#367 [ゆーちん]
だけど浮かんだ二人の顔はどちらも冷めている。


ママは私に心配なんかしない。


パパも私に興味ないみたいだし。


家族は嫌いじゃないけど、好きでもない。


特別な存在ではあるけど、上手く接せないのは私が不器用だからかな。

⏰:08/12/10 20:47 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#368 [ゆーちん]
《ママに言ったらOKだって。行ってもいいでしょ?》

《まぁOK貰ったなら別にいいけど。迎えに行くから用意して待ってろ。》

《うん!ありがとっ。》


先生ごめん。


嘘だよ。


ママに報告したり、許可を貰ったりする訳がない。


また、先生に対する嘘が増えた。

⏰:08/12/10 20:48 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#369 [ゆーちん]
普段、先生はお泊りなんかさせてくんない。


たぶん無断外泊はダメって事だろうね。


そういうとこ真面目で教師っぽくて…ちょっと好きかも。


何かカッコイイじゃん。


教師らしくて。


それに大切にされてる気もする。

⏰:08/12/10 20:49 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#370 [ゆーちん]
《着いたよ。》


メールを受信して、外に出ると先生の車が停まっていた。


小走りして近づき、慌てて助手席に乗り込んだ。


「こんばんちゃー。」

「フッ。斗美ちゃんテンション高いねー。」


先生の匂いだ。

⏰:08/12/10 20:51 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#371 [ゆーちん]
車はマンションに向かって走り始めた。


「うん!初、お泊りだもん。」

「えー、もしかしてヤラシイ事でも期待してる?残念ながら今日はしないよ。先生、今日はめちゃくちゃ疲れてんの。」

「そんな期待しないって。私も疲れてるもん。」

⏰:08/12/10 20:51 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#372 [ゆーちん]
さっきまで親父とヤッて、その後は先生とヤる。


何故かそれは嫌なんだよね。


日付が変わらないと、体がリセットされてないみたいで嫌なの。


だったら援交するなって感じだよね。


堂々巡りだわ、私。

⏰:08/12/10 20:52 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#373 [ゆーちん]
マンションに到着し、慣れた足取りで部屋に入った。


入った途端、朝のようなキスが襲う。


玄関の壁に押さえられ、迫り来るキスを必死に受け止めた。


本当はキスもしたくない。


1万円のアノ仕事を3人目の客でしてるから。


先生、ごめんなさい。

⏰:08/12/10 20:53 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#374 [ゆーちん]
唇が離れた。


「今日はこれで我慢ね。」

「先生こそ。今ので我慢してね。」


先生は笑った。


「お風呂入っといで。」

「うん!」


荷物をソファーの上に置いてから、お風呂場に向かった。

⏰:08/12/10 20:54 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#375 [ゆーちん]
いつも掃除ばかりしているお風呂は、やっぱり湯舟につかりながら眺めると違う場所に感じる。


「はぁー…」


温かいお湯が疲れを癒す。


やっぱいいね。


湯舟にゆっくりつかるのって。


完全に油断していると、ドアから笑い声が聞こえた。


「ブハッ。」

⏰:08/12/10 20:54 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#376 [ゆーちん]
慌ててドアを見ると、先生は少しだけすき間を開けてのぞき見。


「…変態。」

「斗美、ヤバいよ。気ぃ抜きすぎだもん。変な顔だった。」

「ひどっ。」

「なぁなぁ。先生も一緒に入っていい?」

「やだ、無理、いや、不可能、拒否。」

「んな全力で断られても…もう脱いだしぃ〜。」

⏰:08/12/10 20:55 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#377 [ゆーちん]
そう言って入ってきた先生はばっちり全裸。


つい軽く目を反らしてしまった。


男の裸は何度も見ていて免疫だってある。


先生の裸だってベットの中で見てるっつーの。


でもさ、やっぱ明るいとこは恥ずかしいもんだよね。

⏰:08/12/10 20:55 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#378 [ゆーちん]
水音。


物音。


先生は私に背を向け、頭を洗っている。


シャカシャカと髪が洗われ、ジャーッとシャワーで泡が流される。


「ふぅー!」


そう言って、洗い終わった頭を犬のように振り出した。


「ちょっと!飛んで来るんだけど!」

「ウザイ?俺、ウザイ?」

⏰:08/12/10 20:57 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#379 [ゆーちん]
そう言って笑っていたので『ウザイ!』と答えると、膨れっ面になった。


いまいち掴みきれない人。


体を洗い始めた先生に聞いてみた。


「先生さぁ、いつも彼女ができたらこうやって一緒にお風呂入ってたの?」

⏰:08/12/10 20:57 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#380 [ゆーちん]
洗う手を止めず、背を向けたまま答える先生。


「ううん。彼女とお風呂なんか入った事なーい。」

「絶対嘘だよ。」

「斗美は今までの彼氏と入ってたの?」

「入ってない。今までの彼氏は私の体だけが目的だったから、Hして飽きたらバイバイだもん。」

⏰:08/12/10 21:07 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#381 [ゆーちん]
「あー、昔の俺だ。」

「マジ?そんな最低な男だったんだ。あ、先生。ここ洗えてないよ。」


泡の付かなかった背中の部分を指で突くと、タオルが移動して、その場所に泡を広げた。

⏰:08/12/10 21:07 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#382 [ゆーちん]
「うん、最低な男だったよー。」


別に嫌になったりしない。


昔の事だもん。


こうやって今、一緒にお風呂に入ってくれてるって事は少なくとも今までのタイプとは違う男だから。


ちゃんと更正した人に、恨みを持ったりしない。

⏰:08/12/10 21:08 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#383 [ゆーちん]
「先生みたいな最低な人としか付き合った事なくて、お風呂なんか入る前に帰るか帰されるかだもん。だからこうやって一緒に入るのは先生が初めて。」

「さっきから、俺が最低って設定は変わらないのかなーって疑問に思ってんだけど…」

「アハッ!あえてスルーしたぁ。」

⏰:08/12/10 21:09 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#384 [ゆーちん]
浴室は笑い声は響く。


おかげで気分も高まる。


「そんな最低な男だったから、今はちゃんと真面目になれるんだよ。こうやって彼女と風呂なんか一緒に入ってさー。昔の俺が見たら、ビックリすんだろうな。」


泡を流し終えた先生は、浴槽に入って、私の目の前に座った。

⏰:08/12/10 21:10 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#385 [ゆーちん]
「先生。」

「はい、斗美ちゃん。」

「私、先生の事本気になってもいいですか?」

「…。」


何も言わず、ボーッと私の顔を見続ける先生。


「何か言ってよ。」


恥ずかしいじゃんか。


「桜井さん。」

「はい、由良くん。」

⏰:08/12/10 21:11 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#386 [ゆーちん]
「今の質問、そっくりそのまま返します。」


私に本気になってもいい?って事…だよね。


何これ。


心臓がドキドキうるさい。


体中に電気が走ったみたいに胸がギュッとなる。


「つーかダメって言われても、もう本気になっちゃってんだけどね。」

⏰:08/12/10 21:11 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#387 [ゆーちん]
水の中だと電気がよく通るとでも言いますか。


もう無理。


やられたわ、私。


照れ顔を隠せないまま、私は手を伸ばしながら先生に抱き着いた。


「はーい、よしよし。」

「何でそんな平然なの。こんなの慣れっこなんですかっ!?」

⏰:08/12/10 21:13 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#388 [ゆーちん]
照れると乱暴な口調になるこの癖、治さないとな。


全然可愛くないもんね。


「ハハッ。慣れてないって。」

「嘘だー。もう私なんか恥ずかしくて死にそうだもん。」

「俺も恥ずかしいよ?ほれ。」


先生は私の右手を取り、平たい胸にあてた。


あ、本当だ。


手の平に伝わってくる先生の鼓動は早かった。

⏰:08/12/10 21:14 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#389 [ゆーちん]
「何でこんなに優しいの?」

「はい?いきなり質問飛んだねー。」

「だって付き合ってまだほんの少しなのに、お風呂一緒に入ってるし、合い鍵とか…早くない?」

「だから言ってんじゃん。俺、斗美の事マジなの。」

⏰:08/12/10 21:14 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#390 [ゆーちん]
あぁ、もう辞めて。


そんな愛の言葉、聞き慣れてないから免疫ないよ。


チャプチャプと水面が可愛く揺れる。


「ねぇ。」

「ん?」

「本気になっていいよ。だから私も先生に本気なっていい?」

「大歓迎。」


先生に絡み付けていた腕を離し、隣に座って、肩までお湯につかった。

⏰:08/12/10 21:15 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#391 [ゆーちん]
こんな幸せでいいのかな。


援交、辞めないと。


ずっと欲しかったのはお金じゃないよ。


私はここにある【愛】が欲しかったんだ。


ママにあまり貰えなかった【愛。】


私は愛に飢えてたんだ。

⏰:08/12/10 21:16 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#392 [ゆーちん]
たっぷり体を温めてお風呂から出た後は、すぐに二人でベットに直行。


クーラーの効いた部屋で寄り添いながら目を閉じる。


「はーい、よしよし。」


こうやって私を包み込み、頭を撫でる先生。


私を子供扱いするところも好き。

⏰:08/12/10 21:19 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#393 [ゆーちん]
この匂いも体温も声も顔も何もかも、もう私には必要不可欠なものになっている。


ふんだんに甘えながら先生の腕の中で眠った。


彼氏とSEXしないで眠る夜なんてあるんだ。


初めての事だもん。


ビックリだけど、何か嬉しい。


幸せな夢が見れそうだ。

⏰:08/12/10 21:19 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#394 [ゆーちん]
翌朝はいつもの時間に目が覚めた。


クーラーが切れた部屋は少しムッとしていた。


「暑っ。」


隣には先生。


汗もかかずに涼しそうな顔をして眠っている。


今日はデート。

⏰:08/12/10 21:21 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#395 [ゆーちん]
どこに行くのか、何時に行くのか、そんなの知らない。


二人でいれたら私はそれでいい。


再び目を閉じ、意識を手放した。


二度寝って何でこんな気持ち良いのだろう。


ちょうど1時間に煙草の匂いで目が覚めるまで、何だかとても幸せな夢を見ていた気がする。

⏰:08/12/10 21:22 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#396 [ゆーちん]
「…くさい。」


ベットの端に座り、煙草を吸う先生は私の声に慌てて灰皿で火を消した。


「おはよう。」


朝っぱらから満点の笑顔。


「おはよ。」

「目覚めのキスいる?」

「いらない。」

「何で。」

⏰:08/12/10 21:22 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#397 [ゆーちん]
「煙草の後のキス、苦いもん。」

「その苦みも実は好きなくせに…。」


先生のキスは優しく降って来た。


そうだよ。


この苦いキスが先生らしくって、すごく好き。


朝から胸がドキドキ動く。

⏰:08/12/10 21:23 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#398 [ゆーちん]
唇を離し、先生は私の隣に寝転んだ。


「休みの朝は清々しいねー。」

「今日どこ連れってくれんの?」

「ラブホ巡りしよ‥」

「却下。」


先生の言葉を遮ると『ケチ。』と小さな声が聞こえた。


まだ目が覚め切らない。

⏰:08/12/10 21:24 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#399 [ゆーちん]
目をしょぼしょぼさせながらベットの上でゴロゴロするのって、むちゃくちゃ心地いいんだよね。


「斗美のコテで髪の毛にウェーブつけて、ダテ眼鏡つけて、服装もちょっと普段と違う感じにして、帽子被れば完璧だね。」

「ん?変装するの?」

「そ。変装しないとデート出来ないもん。」

⏰:08/12/10 21:25 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#400 [ゆーちん]
「生徒でごめんなさーい。」

「お詫びの印に今すぐ10万円ちょうだーい。」

「…ベランダから突き落とすよ?」

「ウハッ!マジでされそうだから怖いっつーの。」


ゴロゴロタイム終了。


起き上がり、デートに向けての準備を始めた。

⏰:08/12/10 21:26 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#401 [ゆーちん]
別人になるほどの化粧をしてる間、先生は服装に悩んでいた。


自分の髪が巻き終わると、先生の毛先に自然なウェーブが出来るように熱を加える。


髪形1つで随分印象が変わるもんね。


変装大成功だよ。


仕上に眼鏡とハットを添える。


…完璧じゃん。

⏰:08/12/10 21:27 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#402 [ゆーちん]
お昼前に家を出て、ショッピングストアに買い物に行った。


あんな楽しいデートは初めてだった。


時間はあっという間に流れ、さっき昼ご飯を食べたと思えば、もう晩ご飯の時間帯。


「お腹空いた?」

「んー、まだ空いてない。」

「俺も。家帰ってから食うか。」

「うん!」

⏰:08/12/10 21:59 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#403 [ゆーちん]
ショッピングストアとおさらばして、私たちはマンションに戻った。


たくさんの買い物袋が部屋に並ぶ。


「かなり買ったねー。」

「また仕事頑張んなきゃだわ。斗美もバイト頑張れよ。」

「あ…うん。」

⏰:08/12/10 21:59 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#404 [ゆーちん]
今の1番の悩みはバイト。


辞めないと。


本当に。


きっと後悔する時が来る。


先生を悲しませてしまう前に、辞めないと。


だけど、せっかく安定してきた客足がとか、金銭感覚だとか、今はもう大丈夫だけどもし溜まったとしたらストレスのはけ口は?とか。

⏰:08/12/10 22:00 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#405 [ゆーちん]
悩む所がたくさんだった。


とりあえずしばらくは仕事を入れない。


ゆっくりしっかり考えよう。


援交は悪い事なんだから、諦める決意を付けないと。


「斗美、洗濯たたんで。」

「うん。」

⏰:08/12/10 22:00 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#406 [ゆーちん]
先生が料理をしてくれている間、私は洗濯やお風呂掃除に励んだ。


お風呂のお湯を沸かすボタンを押した頃、先生お手製のオムライスが完成した。


「食べるぞ。」


いい感じに空腹になっていたお腹。


「いただきます!」

「召し上がれ。」


空腹は見事に満たされる。

⏰:08/12/10 22:01 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#407 [ゆーちん]
「美味しい!」

「当たり前。誰が作ったと思ってんの。」

「…。」

「ノーコメントかよ。」

「フフッ。」


冗談ばっか言い合って、いつも笑顔があった。


本当に楽しくて、自分の家になんか帰りたくなかった。

⏰:08/12/10 22:02 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#408 [ゆーちん]
食べ終わって、一緒に片付けして、ソファーに座りながらテレビを見て過ごす。


「もう一泊したい。」

「そんな家出娘みたいな事しちゃいけませんよ。」


テレビの向こうでは有名な歌手が新曲を次々に披露する。


穏やかなBGMになって、いいムードだった。

⏰:08/12/10 22:02 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#409 [ゆーちん]
そのムードに酔いしれて、お互い何も言葉を交わさなくても欲しかったものを求め合った。


キスは、何度しても足りない。


欲望のままに唇を、舌を、絡み合わせた。

⏰:08/12/10 22:03 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#410 [ゆーちん]
ソファーの上に寝かされ、先生が重なる。


人の温かみは夏だろうが、いつだろうが安心できる。


キスが降ってくる。


思い出が増えるたび、先生とのキスも増えて行く。


うねりを付けてあげた先生の髪が私の頬に触れる。


「可愛い。」

「ん?」

⏰:08/12/10 22:04 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#411 [ゆーちん]
私の首にキスする先生の髪から、シャンプーの匂いがする。


甘くて、落ち着く。


「デートのたびに髪うねらそうね。」

「フフッ。似合う?」


柔らかな髪は、私の髪質によく似ている。

⏰:08/12/10 22:04 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#412 [ゆーちん]
だけど先生の髪の方が細くて、手触りが気持ち良い。


いつも撫でられてばかりの私も、今は目の前にある髪を撫でずにはいられない。


「似合うよ。」

「惚れ直した?」

「…。」

「またノーコメント?」

「エヘヘッ。」

⏰:08/12/10 22:05 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#413 [ゆーちん]
先生は体を起き上がらせ、私の体も起こした。


キスはもう終わり?


「帰る準備ね。」

「…んー。」


不機嫌な返事をしてから、自分の荷物をまとめた。


先生も手伝ってくれたので、すぐに片付いた。


「できた。」

「はい、よくできました。」

⏰:08/12/10 22:05 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#414 [ゆーちん]
テレビを消して玄関に向かう。


帰りたくないのにな。


でも駄々をこねても先生は泊まらせてくんない。


大人しく帰るしかないのかな。


マンションを出て車に乗り込む。


エンジンがかかり、車は発車した。


ここで疑問に思った。

⏰:08/12/10 22:06 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#415 [ゆーちん]
…SEXしてないじゃん。


今までの私が体験してきたデートは、絶対にSEX込み。


デートとSEXはイコールだった。


煙草を吸いながら運転する先生は、やっぱり今までの彼氏とは違うんだね。


まず車持ちの彼氏なんかいた事ないし。


それに…

⏰:08/12/10 22:06 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#416 [ゆーちん]
SEXしないデートもある、って教えてくれた彼氏だよ。


何かさ、それってかなり嬉しいよ。


体目的だけで付き合ってんじゃないって思えるから。


SEXしなくても私はキスだけで充分なの。


先生もそうなのかな?


そうだと嬉しいな。


「明日も朝、来る?」

「行っちゃダメ?」

⏰:08/12/10 22:07 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#417 [ゆーちん]
「ううん。じゃあまた明日ね。」


車は私の家の近くに停まった。


「うん。送ってくれてありがと。」

「どういたしましてー。おやすみ。」

「おやすみ。」


車を降りて、見えなくなるまで見送った。


寂しい瞬間だ。

⏰:08/12/10 22:08 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#418 [ゆーちん]
〔斗羽〕


「斗羽ちゃん!」

「お待たせ。」


今日で4度目。


こうやって、夜な夜な公園で太一くんと会うのは。


太一くんもこの近くに住んでいるらしく、この公園で会うのがお決まりだった。


園田さんと会えない変わりに太一くんと会う。

⏰:08/12/10 22:08 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#419 [ゆーちん]
そんなバカな私に、太一くんは惜しみもない笑顔をくれる。


園田さんと待ち合わせしたこの公園は、太一くんとの思い出の方が増えていった。


「宿題してる?」

「ううん。バイト忙しいから全然してない。」

⏰:08/12/10 22:09 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#420 [ゆーちん]
太一くんはファミレスの厨房でバイトしている。


私と同じ飲食関係だから、よく共感し合ったり文句言ったりと話題が尽きない。


公園で話す事なんて他愛もない事。


だけど、そんな普通な事が楽しくて、こうやって暗黙のルールを破るような日々が続く。


恵にはもちろん内緒。

⏰:08/12/10 22:10 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#421 [ゆーちん]
秘密がどんどん増えて行く自分に、少し情けなく思ってはいるものの、なかなか抜け出せないんだ。


「最近あの映画の宣伝、かなりしてるよな。」

「三部作だもんね。」

「俺、1つ目も2つ目も見てないんだよねー。斗羽ちゃん見た?」

⏰:08/12/10 22:10 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#422 [ゆーちん]
「見たよ。うちにDVDあるよ?1も2も。」

「マジで?」

「うん。貸してあげるよ。」

「やったー!ありがとな。」

「…取りに行く?すぐそこだし。」

「いいの?」

「うん。」


2人で公園を出て、一緒に私の家まで歩く。


夜風が気持ち良くて、8月らしい気候だった。

⏰:08/12/10 22:11 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#423 [ゆーちん]
家の前に到着すり直前、太一くんはとんでもない事を言い出した。


「斗羽ちゃん、脱走した事ある?」

「へ?脱走?」

「夜遊びするのに窓から抜け出したりさ。」


あるわけない。


でも…方法は知っていた。

⏰:08/12/10 22:11 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#424 [ゆーちん]
2階の物置部屋の窓を使えば、上手く屋根をつたって抜け出せる。


斗美が脱走しているのを何度か見た事があるから。


「ある…かな。」

「本当?」


家の前に付き、私は2階を指差した。


「うん、あそこ。この壁を登って屋根をつたえば、あの部屋に入れるはず。」

⏰:08/12/10 22:20 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#425 [ゆーちん]
「じゃあその作戦な!」

「…え?」

「斗羽ちゃんの部屋、行きたいんだけど。無理?」


断れなかった私は、1人で玄関から入って行き、物置部屋に向かった。


鍵を外し、窓を開けて下を見ると太一くんが待ってくれていた。

⏰:08/12/10 22:21 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#426 [ゆーちん]
OKサインを出すと、猿のように簡単に登ってみせた太一くんは窓から初来訪。


「どうぞ。私の部屋。」


部屋に入った太一くんは、カーペットの上に腰を降ろした。


「はい、これ。」


DVDを差し出すと太一くんは笑顔を咲かせて『ありがとう。』と言った。

⏰:08/12/10 22:21 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#427 [ゆーちん]
これで、太一くんがこの部屋にいる理由はなくなった。


だけど帰る様子は無し。


そもそもDVDを渡すだけなら、こんな風にこっそり侵入して来なくても玄関前で済む事だ。


中に入ったと言う事はDVDを渡す以外にも用があるという事。

⏰:08/12/10 22:22 📱:SH901iC 🆔:0Xqg4XG.


#428 [ゆーちん]
私は、わかってないフリをしながら、それはわかっていたんだ。


用はDVDだけじゃない、って。


もしかしたら…と薄々気付いてしまっている、これから起こる事を。


どこかで期待していたのかもしれない。


また、私に悪さが増えてしまうんだ。

⏰:08/12/11 07:56 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#429 [ゆーちん]
「恵とさ。」


太一くんは静かに話し始めた。


恵の話なんか今まで一度もしなかったのに。

⏰:08/12/11 07:57 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#430 [ゆーちん]
「恵?」

「うん。恵と俺、上手くいってないんだ。」

「…そうなの。」


なぜか心が撫でおりた。


だけど顔は作っている。


ちょっと悲しむ女。


どうしたの?


大丈夫?


気にかけている感じ。


偽善者。

⏰:08/12/11 07:57 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#431 [ゆーちん]
いつからこんなズルい技を覚えるようになってしまったんだろう。


自分でも不思議。


「もう別れようと思ってんだ。」

「そんな事言うと恵が悲しむんじゃ‥」

「斗羽ちゃん付き合おうよ。」

⏰:08/12/11 07:58 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#432 [ゆーちん]
太一くんの強い言葉で話を遮られ、強い瞳に心を奪われる。


「…え。」

「俺、斗羽ちゃんの事好きになっちゃったんだ。」


期待していた。


待ち望んでいた。


太一くんから好かれる事を。

⏰:08/12/11 08:17 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#433 [ゆーちん]
「斗羽ちゃんが好き。」


『私は園田さんが好き。』なんて、言える訳ない。


だけど太一くんからの告白は嬉しかった。


心が安らいだ。


このまま…甘えようと思った。


「付き合おう?」


頷いた私に、太一くんは優しい口づけをする。

⏰:08/12/11 08:18 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#434 [ゆーちん]
ほんの数秒触れた唇は物足りなさを感じながらも、彼女持ちの彼から離れた。


…浮気。


別れると言っても、まだ別れていない。


太一くんは恵という彼女がいる男。


そんな男とキスした私は、最低女。


不倫して浮気して、きっといつか罪を受ける。

⏰:08/12/11 08:19 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#435 [ゆーちん]
だけど止められない自分の気持ちは、再び太一くんの唇に重なる事だった。


太一くんとキスをすると、園田さんの事は頭に無かった。


あんなに好きな人なのに、目の前の心地いいキスがあれば忘れてしまう。


こんな最低な自分が嫌い。


だけど辞めるつもりはこれっぽっちも無かった。

⏰:08/12/11 08:19 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


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