双子の秘密
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#465 [ゆーちん]
「そんなちっぽけな男ごときで、大金の入る仕事を放棄するなんて。これからの人生、損するぞ?」
変態親父の意見は私の心を揺さぶるはずもなく、援交を辞めたいという気持ちは変わらなかった。
「損してもいい。彼氏が好きだから。お金なんかいらない。」
:08/12/11 10:47 :SH901iC :uyR.lwfs
#466 [ゆーちん]
淀江さんはひるまなかった。
「そんな一時の気の迷いで、今までの客もパァだ。僕だってそう。君は、頑張って来たじゃないか。」
頑張って来たよ。
また客に買ってもらえるように、笑顔だってサービスだって完璧にやりこなした。
:08/12/11 10:47 :SH901iC :uyR.lwfs
#467 [ゆーちん]
その努力が先生の存在で水の泡と、淀江さんは言いたいのだろう。
…上等だよ。
お金なんかより、大切なものを見つけたんだもん。
水の泡だろうが、宇宙のチリだろうが何にでもなればいい。
そんな哀れむな努力なんて。
:08/12/11 10:48 :SH901iC :uyR.lwfs
#468 [ゆーちん]
「今まで彼氏ができても援交辞めようなんて思わなかったけど、今の彼氏は初めて辞めたいって思えた人なの。」
「…本気なのか?」
「本気。だから援交なんかしてるってバレたら…彼氏が悲しむでしょ?悲しませたくないの。」
今すぐにでもここを飛び出して、携帯電話から淀江さんの連絡先を消す事だってできる。
:08/12/11 10:49 :SH901iC :uyR.lwfs
#469 [ゆーちん]
だけどそんな事したら、後々大変だってわかる。
この人は執念深い人。
2年付き合って、わかったの。
私をストーカーしたり、金を返せと言って来るかもしれない。
先生にも迷惑をかけるだろう。
:08/12/11 10:49 :SH901iC :uyR.lwfs
#470 [ゆーちん]
初めて話しかけて来てくれた、あの優しい淀江さんはもういない。
納得いかない顔で、私を睨む。
「どうして最近の若い子は、こうもわがままなんだ。」
「ごめんなさい。でも、もう決めたの。彼氏以外とはヤんないって。」
:08/12/11 10:50 :SH901iC :uyR.lwfs
#471 [ゆーちん]
「君みたいな子が辞めるなんて、勿体なくて頭が痛いよ。」
「私も頭が痛い。どうして援交なんて始めたんだろって、後悔してるよ。」
「…。」
それから淀江さんは何も言ってこなかった。
:08/12/11 10:51 :SH901iC :uyR.lwfs
#472 [ゆーちん]
「淀江さんには本当に感謝してる。淀江さんあっての私だったから。だけどもう決めたの。辞めるって。淀江さんにはちゃんと話したかったから。今日は忙しいのにわざわざありがと。」
「…もういい。わかった。君とは、これっきりだ。」
淀江さんは伝票を手に取り、レジで会計を済ませ、店から出て行った。
私を一度も見ずに。
:08/12/11 10:52 :SH901iC :uyR.lwfs
#473 [ゆーちん]
誰もいなくなった目の前の席を見た途端、急に嬉しさが込み上げた。
…終わった。
私の援交生活は終わったんだ。
とんでもない開放感に満ち溢れながら、私も店を出た。
:08/12/11 10:53 :SH901iC :uyR.lwfs
#474 [ゆーちん]
足は自然と910号室に向かっていた。
ブランド物のキーケースから合い鍵取り出し、中に入る。
このキーケースだって、淀江さんからもらった物だ。
捨てるべきか、返すべきか。
…どっちも嫌。
:08/12/11 10:54 :SH901iC :uyR.lwfs
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