冷たい彼女
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#125 [ゆーちん]
慣れた動きで自転車の後ろに乗り、凜は言った。


「あ、携帯忘れた。」

「取って来る?」

「…いいや。別にいらない。この島に来てから携帯依存症治ったし。」


携帯依存症?


何の事かわからないが、とりあえず俺は出発した。

⏰:08/12/12 10:45 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#126 [ゆーちん]
海は、誰もいなかった。


誰かいたとしても知り合いだから、それはそれで面倒だし恥ずかしい。


貸し切りでよかった。


「あそこ座ろう!」

「…うん。」


俺らがいつも溜まる岩場を指さした。


砂浜に足を取られながらも、今日は俺の後ろを一生懸命ついて来てくれる凜。

⏰:08/12/12 10:46 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#127 [ゆーちん]
最初は一目惚れだったけど、俺どんどん中身も好きになってる気がする。


俺に冷たい事言っといて、こうやって付き合ってくれる。


根はいい子なのに、どうして冷たい態度ばかりなんだろう。


そんな事を気にしていると後ろから声がした。

⏰:08/12/12 10:47 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#128 [ゆーちん]
「きゃっ!」


慌てて振り返ると凜は転んでいた。


「うぉ!大丈夫?」


サンダルのヒールが砂のせいで埋もれてしまい、バランスが取れずに転んでしまったようだ。


俺は慌てて手を差し延べると、凜はガッと手を掴み、勢いよく立ち上がった。


「…どーも。」

「あ!」

⏰:08/12/12 10:47 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#129 [ゆーちん]
「何よ、うるさいな。」

「初めて手ぇ繋いだね!」


俺は繋いだ手を顔の前まで上げた。


凜と俺の手が繋がれている。


「…。」


凜は少し難しそうな顔をしていた。


「また転ぶと危ないから、このまま岩場まで行こ〜?」

⏰:08/12/12 10:48 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#130 [ゆーちん]
凜は何も言わなかったので、手を繋いだまま歩いた。


凜の手は小さかった。


今まで数少ないながら繋いだ女子の手の中でも、1番小さかった。


そんな小ささを、また好きになってしまう。


この波音が妙にロマンチックで、改めて波打つ海に感謝した。


「凜ちゃん。」

「何。」

⏰:08/12/12 10:48 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#131 [ゆーちん]
「あっちの岩場にしない?」


遠くの方を指さした俺。


「何で。」

「もっと繋いでたいもん。」


そう言うと、凜はパッと手を離して、目の前の岩場に座った。


「香奈に殺されても知らないよ?」

⏰:08/12/12 10:49 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#132 [ゆーちん]
シラッと言ったその言葉。


昨日の香奈の怖い顔を思い出してしまった。


「ごめん。明日も太陽が見たいから、ここでいいです。充分です。最高です。」

「香奈の名前聞いただけで焦りすぎでしょ。肝っ玉の小さい男は嫌いだからね。」


凜の隣に座ると、海が一望できた。

⏰:08/12/12 10:50 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#133 [ゆーちん]
滅多に夜の海なんか来ないから、いつも遊んでる場所とは違う感じがした。


「今日は爆発頭じゃないんだね。」

「爆発頭?」

「うん。学校には毎日アフロみたいに爆発頭で来てるじゃん。」


凜ちゃん、そりゃないよ。


あれは爆発頭でもなけりゃアフロでもない。

⏰:08/12/12 10:51 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#134 [ゆーちん]
「あれは、一応ワックスでセットしてんだけどぉ。」

「ふーん。そうだったの。」


わかってたくせに。


凜は俺を悲しませるのが得意みたいだ。


「シャワー浴びたから、もうワックスするの面倒でそのままにしたの。どっちのが似合う?」

⏰:08/12/12 10:52 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


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