冷たい彼女
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#83 [ゆーちん]
フェリー乗り場についた。
切符を買って、フェリーで本島に向かう。
本島は今日も賑わっていた。
「何買うの?服?」
凜は首を横に振る。
「服は島に行く前にたくさん買った。とりあえず化粧品や雑貨が目当て。あの島に店がないってのは盲点だった。」
:08/12/12 08:22 :SH901iC :ufvbrGno
#84 [ゆーちん]
まぁ、確かにね。
お洒落盛りの女の子には、あの島は何もなさすぎる。
「まずは雑貨屋。あんたが1番だと思う雑貨屋連れてって。」
「おう!任せて!」
自転車も一緒に本島に来たおかげで、こっちの移動も自転車が使える。
:08/12/12 08:23 :SH901iC :ufvbrGno
#85 [ゆーちん]
今日も汗をかきながら自転車をこぐ。
何だかんだ言って楽しいんだよな。
その日のお店は俺のお気に入りの店をたくさん回った。
途中、凜が気に入っている店のチェーン店があったりもして立ち寄った。
:08/12/12 08:24 :SH901iC :ufvbrGno
#86 [ゆーちん]
昼は安くつくのでファミレスで済ませる。
中学生は金がないんだよ。
凜は例外みたいだけど。
「うちは金持ちだから親に言えばいくらでも通帳に入れてくれるの。」
グラタンを頬張りながら凜はそう言ってた。
「凜ちゃんはどうして親についてかなかったの?」
:08/12/12 08:24 :SH901iC :ufvbrGno
#87 [ゆーちん]
「親がダメだって。海外を転々とするから。それに高校生になったら一人暮ししてもいいって言われてるの。とりあえず中3の1年間は心配だからおじいちゃん達と暮らせってさ。」
まるで他人事のように話してくれた。
じいちゃん達が言ってた事は本当だったんだ。
:08/12/12 08:24 :SH901iC :ufvbrGno
#88 [ゆーちん]
「お母さん側のおじいちゃんとおばあちゃんは亡くなってるから、お父さんの実家に預けられてるの。お父さんはお正月にも里帰りなんかしないから、初めてあの島に行ったけど…田舎すぎて驚いた。」
都会から来た人はあの島が田舎すぎる事に絶対驚く。
:08/12/12 08:25 :SH901iC :ufvbrGno
#89 [ゆーちん]
「あの島、嫌い?」
「ううん。嫌いじゃないよ。あんたが昨日色んなとこ連れてってくれたから、好きになりかけてる。」
嬉しすぎる。
島を好きになってもらえる事。
それに、凜が色んな話を俺にしてくれる。
まだ笑ってもらってないけど、凜は俺を頼ってくれてるんだと思うと心底嬉しくなれた。
:08/12/12 08:26 :SH901iC :ufvbrGno
#90 [ゆーちん]
「高校生になったら一人暮らしするの?」
「うん。」
「そっか。本島の高校?」
「たぶんね。だからこっちの島にも慣れないと。」
少し寂しい。
凜ちゃんが島から出て行くのは。
:08/12/12 08:26 :SH901iC :ufvbrGno
#91 [ゆーちん]
「俺はたぶん家から通うよ。」
「ふーん。」
「凜ちゃんも杉浦のじいちゃんちから通えばいいじゃん。」
凜は首を横に振る。
「おじいちゃん達にあんまり迷惑かけられないよ。」
孫なのに、気をつかう事はないんじゃないかなと思ったけど…言わなかった。
:08/12/12 08:27 :SH901iC :ufvbrGno
#92 [ゆーちん]
プライバシーもないような筒抜け島だけど、凜は都会から来たんだ。
あまり入り込まれるのは好きじゃないかもしれない。
凜にも何か考えがあるんだろう。
聞きたい気持ちを、ぐっと耐えた。
:08/12/12 08:27 :SH901iC :ufvbrGno
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