冷たい彼女
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#140 [ゆーちん]
しばらくすると凜は話し始めた。
「私さぁ、前の街ではこんな風にのんびり過ごした事なかった。」
「のんびり?」
「うん。毎日毎日携帯触って誰かとアポ取って、用もないのに外に出掛けてさ。」
「あ…さっき言ってた携帯依存症とかって、その事?」
:08/12/12 10:59 :SH901iC :ufvbrGno
#141 [ゆーちん]
月明かりが凜を照らしていた。
こんな明るい夜は滅多にないよ。
「うん。寝ても覚めても携帯触ってた。誰かと連絡取ってないと不安だったの。でもさ、それって結構疲れんの。そんな時ちょうどこの島に来てさ、かなり驚いた。」
:08/12/12 11:00 :SH901iC :ufvbrGno
#142 [ゆーちん]
「何が?」
「みんな時間にルーズで、おじいちゃんもおばあちゃんも優しくて、島のみんなが笑ってる。私、前は隣の人に挨拶した事もなかったのに…この島の人はみんな家族みたいに優しくしてくれる。」
俺はこの島のことしか知らない。
:08/12/12 11:01 :SH901iC :ufvbrGno
#143 [ゆーちん]
都会でどんな近所付き合いをしてるかなんか、もっと知らない。
最近、物騒な世の中だってよくニュースで見るけど、同じ日本だとは思えない。
殺人とか誘拐とか、この島には無縁だ。
「友達と離れるのは寂しかったけど、そんなの最初だけ。」
:08/12/12 11:02 :SH901iC :ufvbrGno
#144 [ゆーちん]
「そうなの?」
「みんな上辺だけの付き合いしかしないの。でも、この島の人は違った。毎日メールや電話なんかしなくても、次の日も普通に接してくれる。あんたや香奈がいい例だよ。」
確かにね。
:08/12/12 11:03 :SH901iC :ufvbrGno
#145 [ゆーちん]
歩いて会える距離にいるのにメールや電話なんかしなくてもって感じだし。
「美帆だって千夏だって澪だって…みんなこの島の人は優しい。私ってこんな性格だから嫌われる事もあるの。だけどここは違った。イジメもないし、はぶられる事もない。香奈はちょっと浮いてて都会人みたいな感じだったけど、でも優しい。」
:08/12/12 11:04 :SH901iC :ufvbrGno
#146 [ゆーちん]
凜が自分の事をたくさん話してくれるのは嬉しかった。
どんな内容だろうが、凜と話したり一緒にいれるだけでココロが落ち着く。
「上辺だけの付き合いって寂しそうだね。俺そんなのわかんないけど。」
「羨ましい奴ね。あんな寂しいの体験してないなんて。」
:08/12/12 11:05 :SH901iC :ufvbrGno
#147 [ゆーちん]
「だから俺も凜ちゃんと上辺だけだなんて嫌だからね。」
「私も。もう上辺だけの彼氏なんかいらない。ヤる時だけ優しくしてくれるのはもう嫌。」
そう言った凜の声は寂しさに満ち溢れていた。
凜の顔が見れず、ずっと海を見ていた。
:08/12/12 11:05 :SH901iC :ufvbrGno
#148 [ゆーちん]
「凜ちゃん。」
「ん?」
「その話から判断すると、俺とは上辺だけで付き合ってないんだよね?」
「そうだよ。チャラチャラした奴だけど今までの上辺だけしか付き合えないような男とは違うってわかるから。」
「え、何でわかるの?」
:08/12/12 11:06 :SH901iC :ufvbrGno
#149 [ゆーちん]
「…名前。」
「名前?」
「私、異性から凜ちゃんなんて呼ばれた事ないの。名前何?って聞かれて、凜って答えると、もう呼び捨て。凜、凜って。でも凜ちゃんって呼んでくれてるじゃん。もし私の事、呼び捨てしてくるんじゃ私はあなたの彼女じゃなかったよ。」
:08/12/12 11:06 :SH901iC :ufvbrGno
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