冷たい彼女
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#26 [ゆーちん]
「心、帰るぞ。」
竜が呼びに来た。
「俺は今日、凜ちゃんと帰る!」
「あ、そう。じゃあな。」
竜は眠そうに教室から出て行った。
「何勝手に決めてんのよ。」
「一緒に帰ってくれるって言うまで帰さないからな!」
:08/12/11 16:12 :SH901iC :uyR.lwfs
#27 [ゆーちん]
「…うざ。これだから童貞はやなんだよ。」
笑顔、消失。
俺、童貞だなんて言った?
言ってないよね。
いや、童貞だけどね。
元カノと初めてやろうとした時、緊張して勃たなかったヘタレだよ。
童貞で悪いかよ。
:08/12/11 16:12 :SH901iC :uyR.lwfs
#28 [ゆーちん]
凜は俺の通せん坊を抜けて教室から出て行った。
こうなったらストーカーだな。
俺は下校する凜の後ろを着いて歩いた。
島には信号がない。
歩道もなければ車道もない。
抜け道や近道、たくさん知っている。
:08/12/11 16:13 :SH901iC :uyR.lwfs
#29 [ゆーちん]
だけどそんなの知らない島2日目の凜は、慣れない道を不思議そうに歩いていた。
短いスカートから伸びる細い足とサラサラと揺れる長い髪に俺の胸は騒いでいた。
「凜ちゃん。」
「…。」
「次の道を左だよ。そうすると近道だから。」
:08/12/11 16:14 :SH901iC :uyR.lwfs
#30 [ゆーちん]
凜は都会に住む両親が仕事で海外に行くので、この島に住むじいちゃんばあちゃんの家に預けられた。
海外について行くと言った凜だが、両親はついてくるなと言い、日本に残された。
渋々この島に来て、これから生活するんだ。
って、全部杉浦のじいちゃんとばあちゃんに聞いたんだけど。
:08/12/11 16:14 :SH901iC :uyR.lwfs
#31 [ゆーちん]
孫が来るって嬉しそうに話してた翌日に、こんな美人が孫だったなんて…夢にも思わなかった。
「左?」
凜は足を止めた。
「うん。左だよ。そうすると早く家に着くから。」
「何で私の家知ってんの。」
:08/12/11 16:15 :SH901iC :uyR.lwfs
#32 [ゆーちん]
凜は不思議がっていたけど俺らにすれば、1+1=何ですか?って聞かれているようなもんだった。
「ここの島の人は誰がどこの家に住んでるかなんてみんな知ってるよ。特に杉浦なんて1軒しかないからすぐにわかる。」
「…あっそ。」
凜は左に曲がった。
:08/12/11 16:15 :SH901iC :uyR.lwfs
#33 [ゆーちん]
蝉が鳴く初夏の日差しを避けながら、影を選んで歩く凜が可愛くて仕方ない。
「次、右ね。そうすると家の前だから。」
凜は何も言わず、右に曲がった。
杉浦家が見える。
するとまた足を止めて、振り返った。
「ありがと、ストーカーさん。」
:08/12/11 16:16 :SH901iC :uyR.lwfs
#34 [ゆーちん]
冷たい視線だけを送り、凜は家の中に入って行った。
「凜ちゃーん、バイバイ!また明日ね。」
俺の声に振り向きもしない。
:08/12/11 16:16 :SH901iC :uyR.lwfs
#35 [ゆーちん]
そんな俺の彼女。
今までで1番厄介な彼女。
口が少し悪いのかも。
でも根はいい子だと思う。
早く打ち解けて欲しいな。
そんな事を考えながら、自分の家へと帰って行った。
:08/12/11 16:17 :SH901iC :uyR.lwfs
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