冷たい彼女
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#301 [ゆーちん]
そして迎えたクリスマスイヴ。


今日、いっちょデカい花火でも打ち上げようって事で俺のポケットには昨日竜からもらったアイツが潜んでいる。


それともう一つ。


俺から凜ちゃんにあげる初めてのプレゼント。


「はい、クリスマスプレゼント!」

⏰:08/12/12 16:25 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#302 [ゆーちん]
「…うっそ。信じらんない。すごい嬉しい。」


在り来りだけどハートのネックレスをプレゼント。


凜は驚きながら受け取ってくれた。


「あ、これ私もプレゼント。」

「マジありがとうね!泣きそうだわ。」

⏰:08/12/12 16:26 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#303 [ゆーちん]
お互いプレゼントを開けた。


凜がくれたプレゼントはレザーのブレスレットだった。


「うっわ、マジ嬉しい。」

「気に入った?」

「うん、かなり!」

「よかった。私もこれ、気に入った。」


今日は凜にも笑顔が溢れている。

⏰:08/12/12 16:27 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#304 [ゆーちん]
その笑顔だけでも充分すぎる、素敵なプレゼントなんだけどな。


なんてキザな事言ってるとバカにされそうだから言わないでおこう。


「掃除機とブレスとどっちにしようか悩んだんだけどね。」

「掃除機?」

「この部屋汚いからさ。」

⏰:08/12/12 16:27 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#305 [ゆーちん]
まぁね。


何が汚いってガラクタが多い。


お菓子の食べカスがとか、ホコリが舞い上がってとか、そういう汚いじゃないんだよ。


物が多いっつーの?


読まなくなった雑誌や教科書。


漫画も床に散らばったまま。

⏰:08/12/12 16:28 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#306 [ゆーちん]
「年末の大掃除、手伝ってあげるよ。」


「…うん、ありがとね。」


情けない。


何で俺って収納とか下手くそなんだろ。


「あ、お香もう残り1本じゃん。また買いに行かないとね。」

⏰:08/12/12 16:29 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#307 [ゆーちん]
「一緒に買いに行こうね〜。」


「えぇー。やだぁ。」



そう言いながら凜は慣れた手つきでお香に火をつけた。

⏰:08/12/12 16:29 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#308 [ゆーちん]
「んー。懐かしい匂い。ずっと自分が使ってたのに、今じゃこの匂いイコール心って感じだよ。」


俺、このままだと凜ちゃんを好きになりすぎて、壊れちゃうんじゃないでしょうか。


だってさ、この笑顔は反則でしょ。


花火打ち上げるぞー、なんて意気込んでいなくても、この笑顔見たら誰でも打ち上げたくなるっつーの。

⏰:08/12/12 16:30 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#309 [ゆーちん]
まぁ、勝手に打ち上げられても困るけど。


俺の彼女だし。


「…ンッ…」


突然交わした甘いキスも、優しく受け入れてくれた。


キスだけじゃなく体も。

⏰:08/12/12 16:31 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#310 [ゆーちん]
凜と俺はゆっくりとベットに倒れ込んだ。


「…電気。」


凜が呟いたその言葉で、俺は慌てて部屋の電気を消した。


そして暗闇で再び凜とキスをする。


俺は、自分で自分の行動に驚いていた。


何もしらない童貞男だけど、体は本能のまま動くんだって。

⏰:08/12/12 16:32 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#311 [ゆーちん]
この手順が正解かなんてわからないけど、俺はゆっくりとためらいながらも凜に触れていった。


初めて見た凜の体は、暗闇でもわかるくらい白い肌だった。


余計に緊張してしまい、あまり見れなかったんだ。

⏰:08/12/12 16:34 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#312 [ゆーちん]
下半身に触れると、凜が可愛い声を零していた。


その色っぽい声のせいで、俺の手や唇は暴走するばかりだった。


「ンアッ…心…もう、入れ…てよ…」

「いいの?」

「いいよ…」


凜の荒い息使いが部屋に響く。

⏰:08/12/12 16:36 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#313 [ゆーちん]
とうとう迎えた大人への一歩。


父ちゃん母ちゃんじいちゃんばあちゃん。


俺は同じ失敗2回もしないぜ。


つーか前の失敗は元カノが無理矢理襲って来て恐かったっつーのも一理あるんだけどね。


まぁでも今、目の前にいる彼女は俺の大事で大好きな彼女なわけで。

⏰:08/12/12 16:36 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#314 [ゆーちん]
おかげさまで幸せな初体験を迎える事ができました。


数分前まで童貞だった俺ですが、ありがたい事に昇天までさせていただき…非常に幸せなクリスマスイヴでした。


「心、やばい…」

「え?」

「かなり気持ち良かったよ。本当に初めて?」

「初めてですー。」

⏰:08/12/12 16:37 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#315 [ゆーちん]
終わった後も、凜を抱きしめながらベットの中でゴロゴロっつう幸せ尽くしの俺。


こんな幸せだと、いつか大変な事起こるんじゃないかな。


このまま幸せが続けばいいのに、って願わずにはいられなかった。

⏰:08/12/12 16:38 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#316 [ゆーちん]
翌25日は、竜の為に5人集まってクリスマスパーティーをした。


本島のカラオケボックスで竜の失恋慰安会。


失恋の歌ばかり唄う竜と打って変わって、幸せな4人はテンションの上がる歌やアニメソングやらと竜の気持ちなんかお構いなしだった。

⏰:08/12/12 16:39 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#317 [ゆーちん]
「香奈と一緒にクリスマス過ごすなんて思いもしなかったんだけど。」


大輝が言った。


「あ?そういう大輝も、クリスマスなんかに彼女ほっといて大丈夫なの?」

「友達と過ごすってさ。香奈の彼氏は?」

「大学のサークルの飲み会だって。ま、昨日一緒だったし別にいいよ。」

⏰:08/12/12 16:40 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#318 [ゆーちん]
「俺も昨日一緒だったから今日は友達と過ごそうって事になったんだよね。」

「まぁこいつらは昨日も今日も一緒っていううざいパターンだけどね。」


そう言って香奈は俺と凜を指さした。


「エヘッ。」

「うっざーい。」

「竜なんか昨日1日中テレビ見てたらしいぞ。」

⏰:08/12/12 16:41 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#319 [ゆーちん]
「ロンリーロンリークリスマスイヴじゃん。」


当の竜は、失恋ソングを熱唱。


俺と真逆だな。


可哀相に。


…なんて同情しちゃったりする俺。


でも、昨日の今日で凜と話すのがちょっと恥ずかしかったりする。

⏰:08/12/12 16:41 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#320 [ゆーちん]
竜が唄い終わり、しばらく曲を入れずに5人で話をした。


「進路決めた?」


と、香奈。


「俺はA高だな。家から通う。」

「俺も。」

「マジ?俺も〜。」


大輝、竜、俺は本島にあるそんなに頭は賢くなくても入れる高校に島から通う予定。

⏰:08/12/12 16:42 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#321 [ゆーちん]
「香奈は?」

「私は島出るよ。本島のB高行く。」


B高は女子が多く、寮生活できる高校だ。


「寮入るの?」

「うん。彼氏んちと寮が近いからさ。」

「凜ちゃんは?」

「まだ考え中。」

⏰:08/12/12 16:43 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#322 [ゆーちん]
あれ?


確か前に言ってたよな。


凜、一人暮らしするって。


考え変わったのかな。


不思議に思い、フェリーの中で2人っきりになったので聞いてみた。


「一人暮らししないの?」

⏰:08/12/12 16:44 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#323 [ゆーちん]
「んー。ちょっと悩んでて。」

「何?」

「島、好きだから離れたくないの。でもおじいちゃん達に迷惑かけたくないし。」

「そっか。」

「でももう親には一人暮らしする予定で話が進んでるって言われてるし、この島とバイバイなのかもね。」

⏰:08/12/12 16:45 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#324 [ゆーちん]
「そっか。」


寂しいけど、寂しいって言わなかった。


凜の将来だもん。


俺が寂しいって言って、考えがブレると悪いから。


そう思って口にしなかったけど、凜は言った。

⏰:08/12/12 16:46 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#325 [ゆーちん]
「心と会えなくなるの、寂しいよ。」


俺に寂しいって、素直に言ったんだ。


『俺も寂しい。』って言えない。


「離れたくないな。島とも…心とも。」


『俺も離れたくない。』って言えない。

⏰:08/12/12 16:46 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#326 [ゆーちん]
どうして急に素直になれなくなったんだろう。


それはきっと、凜の将来を邪魔しちゃいけないっていう訳のわかんない遠慮。

⏰:08/12/12 16:47 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#327 [ゆーちん]
そんなの、男らしく、凜の未来に乗り込んでやればいいのに。


凜の将来に、俺がいるようにすればいいのに。


なのに、なぜか勇気がなくて凜の未来に入ろうとしなかった。

⏰:08/12/12 16:48 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#328 [ゆーちん]
本心はずっとずっといつまでも凜といたい。


本当だよ。


俺の未来予想図には凜がいる。


凜とずっと一緒に歩もうって思っていたけど、その頃の俺はそこまで大人になれなかったんだ。


まだまだ幼い自分に、凜の未来に口を挟む資格なんてないと思ってたんだ。

⏰:08/12/12 16:49 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#329 [ゆーちん]
結局、凜の進路はあやふやなまま年が明けた。


中学生でいられるのもあと少し。


3月になると、この中学校ともさよならだ。


そんな1月。

⏰:08/12/12 16:51 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#330 [ゆーちん]
凜と2回目のSEXをした。


大輝がテストで0点取った。


香奈の髪が黒くなった。


凜の髪も黒くなった。


美帆に彼氏ができた。


竜に彼女ができた。


トメばあちゃんにひ孫ができた。


そんな1月。


例年より寒い1月だった。

⏰:08/12/12 16:52 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#331 [ゆーちん]
●○●○●○●

キリがいいので
STOPします

>>2

●○●○●○●

⏰:08/12/12 16:52 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#332 [ゆーちん]
○●○●○●○

寂しさ

○●○●○●○

⏰:08/12/12 23:05 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#333 [ゆーちん]
「島、出る事にした。」


海を見ながら凜が俺にそう言ったのは2月14日。


バレンタインデーのチョコをもらった直後だった。


「…そっか。」

「一人暮らしのマンションがC高に近いから、たぶんC高に行く。」

⏰:08/12/12 23:05 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#334 [ゆーちん]
「じゃあA高と近いから制服デートできるねぇ!」


俺は精一杯、応援の笑顔で振る舞った。


だけどその笑顔は、逆に凜を悲しませてしまった。


「…寂しいんだけど。」

「…。」


何も言えない。


「心は寂しくないの?私が島出てっても平気なの?」

⏰:08/12/12 23:06 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#335 [ゆーちん]
寂しいに決まってんじゃん。


平気な訳ないじゃん。


本当の事言えば、凜の考えを鈍らせてしまいそうで恐かったんだ。


だからって上手い嘘をつけるほど、俺はひねくれて育ってない。


「…行くなって言ってくんないの?」

「…。」


チョコレートを握る手に力が入る。

⏰:08/12/12 23:07 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#336 [ゆーちん]
「嘘でもいいから、引き止めるような言葉、聞きたかったんだけどな。」


凜はそう言って、俺の前を横切って行った。


嘘なんかつけるわけないじゃん。


一人きりになった海は、泣けてくるほど寒かった。

⏰:08/12/12 23:07 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#337 [ゆーちん]
凜に置き去られて正解だ。


でも何かショックでさ。


可愛らしいピンクの紙袋に入れてラッピングされていたチョコレートを持ちながら、島中を歩いていた。


あてもない。


自分の家に帰る気になれず、竜か大輝の家に行こうと思ったけど…辞めた。

⏰:08/12/12 23:08 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#338 [ゆーちん]
だからブラブラしてた。


「心?」


呼び止められて振り向くと、美帆がいた。


「おぉ、美帆。」

「何してんの、こんなとこで。家と真逆の方向じゃん。」

「放浪中。」

「そんな可愛い袋持って?」

「あぁ…うん。」

⏰:08/12/12 23:08 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#339 [ゆーちん]
美帆は何か感づいたらしく、ニヤッと笑った。


「凜と何かあったんだ。」

「…。」

「バレンタインの夜にこんな場所で、そんな暗い顔してるなんて千夏が知ったら怒るよ?」

「…千夏?」

⏰:08/12/12 23:09 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#340 [ゆーちん]
「うん。今日はチョコ渡す相手がいないってピリピリしてた。恋人がいる奴は誰ふり構わず殴り倒してやるーって叫んでたもん。」

「ハハッ。何だそりゃ。」


千夏が暴れるところを想像すると、俺にも笑みが零れた。


「で?恋人のいる幸せな心さんは、なんで泣きそうな顔してんのさ。」

「んー…。」

⏰:08/12/12 23:10 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#341 [ゆーちん]
俺の濁る笑顔を見て、美帆は言った。


「うちおいで。」


俺を抜かして美帆は前をスタスタと歩き始めた。


俺は何も言わずに美帆の後ろをついてった。


「やべー、菊地家とか久しぶりだわ。」

「小学生のころは毎日来てたのにね。中学上がって、心に彼女ができて、それから全然来なくなった。」

⏰:08/12/12 23:10 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#342 [ゆーちん]
「そうだっけ。でもその彼女とは、すーぐ別れちゃったよ。」

「初めての彼女できたってあんな喜んでたのにね。」

「そうだねー。」


懐かしい過去は溜め息が出るくらい背伸びするのに必死だった。

⏰:08/12/12 23:11 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#343 [ゆーちん]
カッコつけてた中1の俺。


カッコつけるのに疲れてきた中2の俺。


カッコつけるのを辞めた中3の今の俺。


子供のままなら、素直に寂しいって言えてたんだ。


もっと大人だったら、凜の未来に入り込む勇気を持てたんだ。

⏰:08/12/12 23:12 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#344 [ゆーちん]
どっちにしろ成長したのかしてないのかわからない自分に嫌気がさす。


「お邪魔します。」


菊地家は何も変わっていなかった。


小学生の頃、よく来た菊地家のままだった。


「心ちゃん!久しぶり〜。」


美帆の母ちゃんは笑って出迎えてくれた。

⏰:08/12/12 23:12 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#345 [ゆーちん]
「こりゃまた色気のない部屋だな〜。」

「は?黙れって。」


ジャマイカちっくな美帆の部屋。


この部屋だけは、いつの間にかガラリと変わってしまっていた。


「あぁ〜。」


溜め息が混ざった声でベットにダイブすると『遠慮ってものを知らないんですか?』と美帆に文句を言われた。

⏰:08/12/12 23:13 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#346 [ゆーちん]
今さら遠慮も糞もねぇよ。


美帆は小さなソファーに座って、俺に聞いた。


「凜と何あったの?」


いきなりですか…。


いや、別に世間話するつもりもないんだけどね。


俺は思い切って美帆に全てを話してみた。

⏰:08/12/12 23:13 📱:SH901iC 🆔:ufvbrGno


#347 []
ええおお

⏰:08/12/12 23:36 📱:W45T 🆔:vPlfI7z6


#348 []
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400

⏰:08/12/12 23:37 📱:W45T 🆔:vPlfI7z6


#349 [我輩は匿名である]
アンカあるっつの

⏰:08/12/13 00:52 📱:F01A 🆔:3VvYcdSU


#350 []
長くて見えないのI

⏰:08/12/13 00:59 📱:W45T 🆔:JMGXsVVg


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