闇の中の光
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#107 [ゆーちん]
目深くキャップ帽を被せられた私。


どこからどう見ても…怪しいでしょ。


つなぎ服に、サングラス、キャップ帽。


「靴は?」

「あぁ…これ履いて。」

「裸足で?」

「嫌かよ。」

「うん。」

「もぉー!本当わがままな奴だな。」

⏰:08/12/30 17:58 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#108 [ゆーちん]
さすがにこの格好にローファーは合わないでしょ。


ていうか、半殺しされてフラフラだったのに、ちゃっかりローファー履いて出て来た自分が偉いと思った。


…あっ、違う。


自分じゃない。


萌子が、だ。


「ほれ。おっきいかもしんないけど我慢しろ。」

⏰:08/12/30 17:59 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#109 [ゆーちん]
哲夫が靴下を貸してくれたので、私は座って履いた。


予想通り、めちゃめちゃ大きい。


「行くぞ。」


靴も大きい。


歩きにくい。


「何ちんたら歩いてんだよ、もう。」


そう言って哲夫に手を引かれた。


おっきな手だった。

⏰:08/12/30 17:59 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#110 [ゆーちん]
康孝の車に乗り込むと、勢いよく発車した。


…やけに、うるさい、この車。


流れている音楽も、デカい音だし英語だしで何言ってるかわかんないし、何より車自体の音がうるさかった。


「ごめんね、うっさいだろ。」

「うん。」

⏰:08/12/30 18:00 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#111 [ゆーちん]
「いじりすぎなんだよ、康の車は。」

「いじり?」

「改造っつーの?マフラーとかってわかる?」

「首に巻く?」

「あぁ、わかんないか。じゃあいいや。」


首に巻くマフラーじゃないの?


意味不明。


午後3時、そんな意味不明な車は街を駆け抜けて行く。

⏰:08/12/30 18:01 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#112 [ゆーちん]
窓から見る景色は見た事のない景色だった。


「ここ、どこ?」

「あ?」

「見た事ない街。」


窓の外を眺める私に、哲夫は言った。

⏰:08/12/30 18:01 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#113 [ゆーちん]
「シホはこの街で生まれたんだから、この街からずっと出るなよ。」

「…うん。」


私の知らない街。


いや、これが私の街。


萌子がいた街と、私のこの街はあまりにも違っていて…何だか頭が痛くなった。

⏰:08/12/30 18:02 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#114 [ゆーちん]
何軒もの店を回って、大量の下着や洋服、化粧品などを買ってもらった。


帽子、アクセサリー、靴、歯ブラシ、シャンプーにリンス。


最後は携帯電話まで買ってもらった。


信じられない。


この人の金の使い方、ちょっと引く。

⏰:08/12/30 18:03 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#115 [ゆーちん]
全部カードで、カードがだめなら絶対一万円を渡す。


お釣りはなぜか受けとらず、隣にいた康孝が受け取って、小さな袋に入れていた。


「こんなもんか?」

「え?」

「何か欲しいものあるか?」


私は首を横に振った。


これ以上、もう何もいらない。

⏰:08/12/30 18:04 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


#116 [ゆーちん]
「まぁまたいるものあれば明日来よう。帰るぞ。」


再び康孝の運転する車に戻り、うるさく唸りながら車は走る。


外はぼんやり暗くなっている。


「テッちゃん、このまま集会直行しない?」

「あぁー、いいわ。歩いて行く。荷物片付けないと。」

⏰:08/12/30 18:05 📱:SH901iC 🆔:Z9srDs2E


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