闇の中の光
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#352 [ゆーちん]
家に帰って来てから私は哲夫に髪を切ってもらった。
長くなっていた前髪がまた短くなる。
「うん、やっぱシホはパッツンのが似合うな。」
褒められると、嬉しい。
そんな12月の末。
もうすぐ今年が終わるよ。
:09/01/10 22:29 :SH901iC :mw88GgZk
#353 [ゆーちん]
このまま大晦日を迎えて、新年も哲夫と一緒に迎えたい。
そんな事を願いながら、髪をイメチェンした2人は今日も集会に向かう。
寒くて寒くて、哲夫の腕から離れたくなかった。
だけどのんちゃん達とも話したい。
人間って…私って、わがままなんだ。
:09/01/10 22:31 :SH901iC :mw88GgZk
#354 [ゆーちん]
「寒いねぇ。」
私がみんなの輪の中にいつものように混ざると、いつものように出迎えてくれる。
「シホちゃん、お疲れ〜。」
「てゆーか髪切ったべ?」
「色も変わった?暗くしたの?」
「前髪パッツン復活じゃーん!」
「超可愛い!」
:09/01/10 22:33 :SH901iC :mw88GgZk
#355 [ゆーちん]
仲間に褒められるのも、嬉しい。
「ありがと。」
ありがとうって言葉を言える環境の中にいれるってのも嬉しい。
嬉しい事だらけの12月。
だけど、ちょっと厄介な事もあった。
それは…
「いやーっ!」
私が夜中に、叫び出す事。
:09/01/10 22:35 :SH901iC :mw88GgZk
#356 [ゆーちん]
「シホ、大丈夫。俺ここにいるから。」
「やだ…怖い…テツ…怖いよ…」
あの喧嘩を見てから、なぜだか夜中に叫びながら起きてしまうって事がある。
暴力振るわれる夢を見ていたのか、ただ無意識に恐怖を感じていたのか、自分でもわからないけど夜中に叫び出す。
:09/01/10 22:35 :SH901iC :mw88GgZk
#357 [ゆーちん]
「怖くない、怖くない。ゆっくり息吸ってみ?」
眠りについたすぐなのに、哲夫を起こしてしまい、こうやって介抱してくれる。
ギュッと抱きしめて、優しくなだめてくれる。
この前みたく焦ったりしないで、冷静に介抱してくれる哲夫の声に安心感を覚える。
ゆっくりと息を吸い、ゆっくり吐いた。
:09/01/10 22:38 :SH901iC :mw88GgZk
#358 [ゆーちん]
「そう。よくできました。はい、目ぇ閉じて。」
催眠術のような哲夫の言葉で、私は再び眠りにつく。
こんな事が何日か続いた。
哲夫は気にするなって言ってくれるけど、そういう訳にもいかない。
別々に寝ようと試したけど、余計に叫んじゃうし、全然眠れない。
:09/01/10 22:38 :SH901iC :mw88GgZk
#359 [ゆーちん]
つまり、私は哲夫の隣じゃないと眠れないの。
結局、哲夫に迷惑かけながら眠る日が続いた。
「ごめんね。」
「悪いと思うなら今日の昼飯はハンバーグにして。」
「…子供みたい。」
「うるせ!」
笑って許してくれる哲夫に、本当感謝だよ。
:09/01/10 22:41 :SH901iC :mw88GgZk
#360 [ゆーちん]
ある日の会話。
康孝に乗せられて、買い物に出掛けていた。
「テッちゃーん。今年のクリスマスどうすんの?」
康孝が聞いた。
「いつも通りだけど。」
「シホちゃんも参加?」
「参加するだろ?」
康孝と哲夫に聞かれたのはいいけど、何の事だかさっぱり。
:09/01/10 22:56 :SH901iC :mw88GgZk
#361 [ゆーちん]
聞くと、毎年12月25日はチームのみんなでクリスマスパーティーをしているらしい。
場所は、いつもの集会場所じゃ寒いから、近くの居酒屋でやるんだって。
「シホも行く?」
「行く。」
生まれて初めて、クリスマスに楽しみができた。
:09/01/10 22:57 :SH901iC :mw88GgZk
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