闇の中の光
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#589 [ゆーちん]
「うちらのかたき、哲夫さんに取って来てもらわなきゃね!」
のんちゃんが笑って言った。
「…うん。」
複雑なの、心の中が。
仲間が私の過ちを許してくれたり、好きな人が誰かを殴りに行ったり、元カレが敵だったり、もうすぐ萌子に戻らなきゃいけなくなったり。
色んな感情が混ざりあった私の頬を、冷たい風が撫でてった。
:09/01/20 21:40 :SH901iC :F4H0SjdY
#590 [ゆーちん]
早めの解散で、のんちゃん達とは明後日会おうねと笑顔で別れた。
哲夫の肩に抱かれながら、夜道を歩く。
「綺麗だね、星。」
「冬の夜空が1番だな。」
歩きながら二人で見上げた綺麗な夜空。
:09/01/20 21:41 :SH901iC :F4H0SjdY
#591 [ゆーちん]
何が引き金だったと言う訳ではなく、突然、私の目から涙が零れた。
「…ねぇ。」
「んー?…っつか何泣いてんだよ!」
慌てて立ち止まった哲夫。
涙でぼやけて、その驚いた哲夫の顔が上手く見えないよ。
:09/01/21 10:39 :SH901iC :FXDa00ZA
#592 [ゆーちん]
「哲夫に…伝えたい事…まだまだ、いっぱい…ある。」
「あぁ?何言ってんだよ。つーか泣くな。」
「でも…何から話せばいいのか…わかんないし…上手く話せない…かもしんないし…」
「今でも全然上手く話せてないぞ。ほら、もう泣くな。」
:09/01/21 10:43 :SH901iC :FXDa00ZA
#593 [ゆーちん]
泣きじゃくる私の涙を、笑いながら拭き取る哲夫。
思わず抱き着いてしまった。
「おいおい。そういう可愛い事は家に帰ってからしろよな。」
「…ごめ…なさい。」
「帰ろ。話ならゆっくり聞いてやるから。まだまだ夜は長いぞぉー。」
:09/01/21 10:45 :SH901iC :FXDa00ZA
#594 [ゆーちん]
結局、家に帰ってから、何も伝えらんなかった。
翌日、哲夫が出掛けるまでたくさん時間はあったのに何も言えずに、見送った。
「いってらっしゃい。」
「いってきます。」
笑顔の哲夫。
キスをもらってから送り出した。
:09/01/21 10:47 :SH901iC :FXDa00ZA
#595 [ゆーちん]
家で一人ぼっち。
私はベットに潜り、哲夫の匂いを抱きしめた。
好きで、好きで、こんなに人を好きになれるなんてまだ信じらんない。
今頃、哲夫は怒ってるのかな。
誰かを殴ってるのかな。
願わくば、哲夫の笑った顔だけを見ていきたい。
これから先、ずっとずっと。
:09/01/21 14:22 :SH901iC :FXDa00ZA
#596 [ゆーちん]
気が付くと哲夫が隣で眠っていた。
私、いつのまに寝ちゃったんだろう。
隣に哲夫がいる事実に、思わず涙が浮かんだ。
無事でよかった。
だけど顔には数ヵ所に傷。
見てて痛々しかった。
:09/01/21 14:23 :SH901iC :FXDa00ZA
#597 [ゆーちん]
「…シホ。」
小さく囁いた哲夫。
「ごめん、起こした?」
「ううん。おはよう。」
「おはよう。ていうか…おかえり。」
「ただいま。」
笑ってる哲夫を見て、浮かんでいた涙は零れてしまった。
:09/01/21 14:24 :SH901iC :FXDa00ZA
#598 [ゆーちん]
「情緒不安定だな、お前。」
「ごめ…なさ…」
「謝んなくていいっつうの。それより消毒して。ズキズキして熟睡できねぇ。」
「あ、うん。」
涙を拭いて、薬箱を取りに向かった。
:09/01/21 14:25 :SH901iC :FXDa00ZA
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