闇の中の光

と、次の瞬間には場面が変わっていた。

あれ、私死んだ？

死んだら、こんな場所に来るんだ。

今から天国行きか地獄行きか決まるんのかな。

天国でも地獄でもどっちでもいいから、早く私を楽にさせて。

死んだはずなのに、なぜか体が痛いよ。

「あ、起きた？」

えっ。

…誰。

…何。

…起きた？

子鬼の声だろうか、天使の声だろうか。

だけど、どっちでもなかった。

なぜか私の目の前に映り込んだのは、金髪頭の人間だった。

「おい。大丈夫か？」

…は？

大丈夫じゃ困るんだけど。

私、死んだんだし。

「医者に診てもらう？」

…医者？

死んだのに、まだ医者が必要なの？

「お前、名前は？」

ねぇ…。

もしかして私、死んでないの？

思わず体が起き上がる。

ゴツンッ…

「いってぇー！」

うん、痛い。

頭と頭がごっつんこ。

何で私、生きてんの。

てか、ここどこ？

「地獄？」

「は？」

「生きてんの？」

「何言って‥」

「私、生きてんの？」

金髪頭の男は私の質問に答えた。

「生きてるよ。」

その５文字を聞いた途端、泣きそうになった。

死ねなかったんだ。

最悪。

心臓を狙ったはずなのに、まさか急所外れ…って、あれ？

どこにも傷がない。

何がどうなっているのか、全く理解できない。

「名前は？」

「え？」

「名前。」

「てゆーか、あんた誰よ。」

「俺？俺は天下無敵の哲夫様。」

…哲夫？

聞いた事のない名前。

「誰？」

「だから哲夫だってば！千早哲夫。」

そう言って哲夫は笑った。

「で、あんたは？」

「私、死んだはずなんだけど！何で生きてんの？」

「はぁ？」

「ナイフで心臓ひとつきにして、私は死んだの！」

「頭でも打った？」

「てゆーか、ここはどこ？」

完全にパニック状態だった。

そんな私に、哲夫は教えてくれた。

「俺がお前を見付けた時、右手にナイフ握ってたけど普通に息してたぞ。」

「嘘だ…。」

「お前が握ってたナイフ、これだろ？」

そう言って哲夫が取り出したナイフ。