闇の中の光
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#688 [ゆーちん]
部屋に戻ると哲夫が笑ってた。
「哲夫ぉ、ローファーが…」
「フッ。よかったな。半泣きなってるし。」
「泣いてないよ。もう泣かないって決めたんだから。」
「そ。早く服着ないと風邪ひくぞ。」
「うん。今さっきヤッちゃんにも服着ろって叱られた。」
:09/01/24 21:37 :SH901iC :JFMqBZYE
#689 [ゆーちん]
二人の視線は気にならない。
というか着替える私なんか見ていなかったのかも。
久しぶりに袖を通した制服は、ひんやりしていた。
やけに体にフィットする。
あぁ、私はやっぱり紛れも無い【金河萌子】なんだって実感した。
:09/01/24 21:38 :SH901iC :JFMqBZYE
#690 [ゆーちん]
スカートを短くし、あの日履いてた靴下を引っ張り上げる。
靴下は、クローゼットの下の引き出しの1番奥に潜んでた。
久しぶりに取り出すもんだから、なんだか違和感たっぷりだった。
:09/01/24 21:39 :SH901iC :JFMqBZYE
#691 [ゆーちん]
「ほほぉー。シホちゃんも何だかんだでまだ現役だもんな。やっぱ制服似合うわ。」
康孝がそんな言葉をサラッと言いきると、哲夫に『セクハラかよ。』と笑われていた。
そんな笑ってた哲夫が、小さな声で呟いた。
:09/01/24 21:39 :SH901iC :JFMqBZYE
#692 [ゆーちん]
「懐かしいな。」
康孝も『あぁ。』と私を見ながら懐かしんでいた。
「つい昨日の事みたい。制服着た女が俺のナイフ握って眠ってたんだよな。」
「哲夫の部屋に知らない女子高生がいて、俺すっげぇビックリした。」
:09/01/24 21:40 :SH901iC :JFMqBZYE
#693 [ゆーちん]
「髪も服も化粧もぐちゃぐちゃで汚かったよな。」
「いきなり殺せって要求するし?」
「哲夫に何言われたのか知んねぇけど、次会った時はケロッとした顔だった。」
二人は私を見ながら懐かしそうに昔話を続けた。
:09/01/24 21:42 :SH901iC :JFMqBZYE
#694 [ゆーちん]
色んな感情が混ざりあう。
嬉しいけど、寂しい。
恥ずかしいような、緊張するような。
二人の視線を気にしながらも鏡の前に座り、化粧をし始めた私。
化粧は、哲夫に教えてもらった【シホのメイク】を施した。
:09/01/24 21:42 :SH901iC :JFMqBZYE
#695 [ゆーちん]
髪形だってシホのまま。
この髪形には、この化粧が合うっていうのもあるけど…私は萌子でもあるしシホでもある、って事を示したい意思の現れだったんだと思う。
:09/01/24 21:43 :SH901iC :JFMqBZYE
#696 [ゆーちん]
「できた。」
私の支度ができたのは、目が覚めて2時間程経ってからだった。
「じゃあ行くか。」
哲夫の問いに、私は頷く。
『車で待ってっから。』と言い、康孝が出て行った。
:09/01/24 21:44 :SH901iC :JFMqBZYE
#697 [ゆーちん]
最後に部屋を見渡した。
「ここはシホの部屋だ。お前の居場所はここにもある。」
哲夫にそう言われ、誇らしい気持ちでいっぱいだった。
「うん。」
:09/01/24 21:44 :SH901iC :JFMqBZYE
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