闇の中の光
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#735 [ゆーちん]
冬休み前から長く休んでいたのだ。


担任に何か色々と聞かれる事だろうと、うんざりしていた。


「…いってきます。」


朝、ぎこちなくリビングを出た。


「萌子。」

「…何?」


母は言った。


「一緒に学校まで行きましょう。ずっと休んでたんだから、先生に説明しないと。」

⏰:09/01/25 11:53 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#736 [ゆーちん]
驚いた。


授業参観なんて来た事もなく、個人懇談さえ嫌がる母が自ら学校に出向くなんて。


私と母は、朝の寒い道を歩いて学校まで進んだ。


ぎこちなく、くすぐったい。

⏰:09/01/25 11:54 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#737 [ゆーちん]
学校に着き、職員室に行く。


担任が私を見て、目を丸くした。


「金河!」


久しぶりにその苗字を呼ばれた。


シホには苗字がなかったから。


「話を聞かせて下さい。こちらへ。」


担任が用意した教室に、3人で入る。


寒く、かび臭い教室。

⏰:09/01/25 11:54 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#738 [ゆーちん]
「ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。」


母が、頭を下げた。


目を疑う。


あの、母が?


「冬休みに入る前から、私が体調を崩してしまい、ずっとこの子が私の面倒を見てくれていたんです。」

「お母様が体調をお崩しで?」

⏰:09/01/25 11:55 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#739 [ゆーちん]
私は黙って、母の話を聞いた。


「はい。学校にも連絡出来なくて本当に、色々とお手数かけて申し訳ありません。」


よくもまぁそんな嘘を。


「いえ、事情があったのなら仕方ないです。また今日から登校してくれるのなら、私達教師側としても嬉しいですからね。」

⏰:09/01/25 11:56 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#740 [ゆーちん]
嘘臭い教師の笑顔を睨んでやった。


心配なんかしなかったくせに。


ただのサボりだと思ってたに違いない。


わざわざ頭を下げる必要なんてないよ、お母さん。


「金河。授業は進んで勉強について行けないかもしれない。そんな時はいつでも先生に相談しなさい。友達だって助けてくれる。」

⏰:09/01/25 11:56 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#741 [ゆーちん]
虫ずが走る。


萌子の友達なんて、何も助けてくれないよ。


話が終わり、担任が職員室に戻った。


「あの嘘、ちゃんと付き合うから。」


それだけ言って、私はさっさと母から離れようと歩き出した。


「あっ、萌子待って。」


足を止め、振り返ると、心臓が跳ね上がる光景が目に飛び込んで来た。

⏰:09/01/25 11:57 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#742 [ゆーちん]
何年ぶりに見ただろう。


「お弁当、持って行きなさい。」

「…ん。」


これが、母からのお詫びのしるしなのだろうか。


ちょっと、泣きそうになった。


【ありがとう】を言うのが嫌で、お弁当を抱きしめ、私は教室までかけてった。

⏰:09/01/25 11:57 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#743 [ゆーちん]
教室に入ると、視線が痛かった。


「萌子じゃ〜ん!」

「マジご無沙汰。」

「生きてたんだ、ウケる〜。」


何か…吐きそう。


また昔の自分に戻りそうで。


「おはよう。」


それだけ言って席に座った。

⏰:09/01/25 11:58 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#744 [ゆーちん]
上辺だけの奴らは、昔と同じように私に寄って来る。


「何でいきなりサボりだしちゃったのぉ〜?」

「別にサボってた訳じゃないよ。」

「いきなり携帯繋がんなくなったし、みんな大騒ぎだったし。」

「お金払ってなくて止まってた。」

「つか、化粧変えた?マジ、ウケんべ。」

「パンダみたいに真っ黒な目、もう流行んないしね。」

⏰:09/01/25 11:59 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


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