闇の中の光
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#110 [ゆーちん]
康孝の車に乗り込むと、勢いよく発車した。
…やけに、うるさい、この車。
流れている音楽も、デカい音だし英語だしで何言ってるかわかんないし、何より車自体の音がうるさかった。
「ごめんね、うっさいだろ。」
「うん。」
:08/12/30 18:00 :SH901iC :Z9srDs2E
#111 [ゆーちん]
「いじりすぎなんだよ、康の車は。」
「いじり?」
「改造っつーの?マフラーとかってわかる?」
「首に巻く?」
「あぁ、わかんないか。じゃあいいや。」
首に巻くマフラーじゃないの?
意味不明。
午後3時、そんな意味不明な車は街を駆け抜けて行く。
:08/12/30 18:01 :SH901iC :Z9srDs2E
#112 [ゆーちん]
窓から見る景色は見た事のない景色だった。
「ここ、どこ?」
「あ?」
「見た事ない街。」
窓の外を眺める私に、哲夫は言った。
:08/12/30 18:01 :SH901iC :Z9srDs2E
#113 [ゆーちん]
「シホはこの街で生まれたんだから、この街からずっと出るなよ。」
「…うん。」
私の知らない街。
いや、これが私の街。
萌子がいた街と、私のこの街はあまりにも違っていて…何だか頭が痛くなった。
:08/12/30 18:02 :SH901iC :Z9srDs2E
#114 [ゆーちん]
何軒もの店を回って、大量の下着や洋服、化粧品などを買ってもらった。
帽子、アクセサリー、靴、歯ブラシ、シャンプーにリンス。
最後は携帯電話まで買ってもらった。
信じられない。
この人の金の使い方、ちょっと引く。
:08/12/30 18:03 :SH901iC :Z9srDs2E
#115 [ゆーちん]
全部カードで、カードがだめなら絶対一万円を渡す。
お釣りはなぜか受けとらず、隣にいた康孝が受け取って、小さな袋に入れていた。
「こんなもんか?」
「え?」
「何か欲しいものあるか?」
私は首を横に振った。
これ以上、もう何もいらない。
:08/12/30 18:04 :SH901iC :Z9srDs2E
#116 [ゆーちん]
「まぁまたいるものあれば明日来よう。帰るぞ。」
再び康孝の運転する車に戻り、うるさく唸りながら車は走る。
外はぼんやり暗くなっている。
「テッちゃん、このまま集会直行しない?」
「あぁー、いいわ。歩いて行く。荷物片付けないと。」
:08/12/30 18:05 :SH901iC :Z9srDs2E
#117 [ゆーちん]
「手伝おうか?」
「いや、いい。康は先に行ってて。」
「ほーい。」
私と哲夫とたくさんの荷物が車から降りると、康孝の車は走り去った。
「さぁ〜!気合い入れて、片付けるぞ!」
:08/12/30 18:05 :SH901iC :Z9srDs2E
#118 [ゆーちん]
なぜか意気込む哲夫と一緒に部屋へと戻る。
「とりあえずだな、シホのクローゼットを作らないと。」
ドサッと荷物を床に置き、自分のクローゼットの中を片付け始めた。
「ねぇ。」
「んー?」
作業をしながら、哲夫は私の質問に耳を傾けてくれた。
:08/12/30 18:06 :SH901iC :Z9srDs2E
#119 [ゆーちん]
「何でペットなんか飼いたかったの?」
「えー?」
「面倒なだけだよ、ペットなんて。」
「そうなの?俺ペット飼った事ないからわかんない。」
「いらなくなったら、いつでも殺していいからね。」
:08/12/30 18:07 :SH901iC :Z9srDs2E
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