闇の中の光
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#216 [ゆーちん]
哲夫の上着が温かい。
そのうえ肩を抱かれたので、もっと温かかった。
帰り道、私はたくさん笑った気がする。
家に戻ると哲夫は冷蔵庫からビールを取り出した。
「飲むか?」
「…飲んだ事ない。」
:09/01/01 21:06 :SH901iC :XAv2cR7M
#217 [ゆーちん]
「お子ちゃまだなぁ。俺のビールデビューなんて12才だぞ?」
「12才?」
「おうよ。中1の時、先輩に無理矢理飲まされて吐いたのが、俺の華々しいビールデビュー秘話だ。」
「フフッ…バカだ。」
コップに注いだビールを一気に飲み干した哲夫を見て、自然に口が動いていた。
:09/01/01 21:07 :SH901iC :XAv2cR7M
#218 [ゆーちん]
「美味しい?」
「おう!」
「美味しそうに飲むね。」
「だって本当に美味いし。飲んでみっか?」
「いい、いらない。」
「そ。」
哲夫がビールを飲む。
それは構わない。
だけど自分は飲みたくない。
まだ、恐いんだ。
:09/01/01 21:08 :SH901iC :XAv2cR7M
#219 [ゆーちん]
私はシホだけど、元は萌子だから。
萌子の時に恐かったものはシホになっても恐かった。
恐怖心が取れない。
ビールを飲むと機嫌が悪くなる、父と母の恐さが、未だに私を苦しめた。
:09/01/01 21:08 :SH901iC :XAv2cR7M
#220 [ゆーちん]
▲▽▲▽▲▽▲
ではまた
>>2▲▽▲▽▲▽▲
:09/01/01 21:09 :SH901iC :XAv2cR7M
#221 [ゆーちん]
哲夫はビールを飲んでも酔わなかった。
よかった。
誰かが酔う姿は好きじゃないから。
「んー、眠い。」
「お風呂は?」
「朝入る。」
:09/01/03 21:36 :SH901iC :diob1dTs
#222 [ゆーちん]
「私、化粧落としてくる。」
「あいよ。」
ベットに倒れ込んだ哲夫を置いて、私は洗面所に向かう。
化粧を落としてから部屋に戻ると、哲夫はいびきをかいていた。
服を脱ぎ、パジャマに着替える。
哲夫の眠る隣に潜り、うるさいいびきを聞きながら、私は眠りについた。
:09/01/03 21:37 :SH901iC :diob1dTs
#223 [ゆーちん]
翌日は約束通り美容院に行って、カラーリングをしてもらった。
落ち着いたブラウンに染まった私の髪を何度も何度も哲夫は撫でてくれた。
その日は集会に行かず、留守番をした。
そのまた翌日は、眠る哲夫を起こさないよう朝から家事をして、昼前に起きた哲夫と一緒にお風呂に入る。
:09/01/03 21:38 :SH901iC :diob1dTs
#224 [ゆーちん]
ご飯を食べ、夕方までのんびり過ごし、集会に向かう哲夫を見送った。
なぜ集会に行かないのか。
別に具体的な理由はなかった。
仲間は欲しいけど慌てなくていいって哲夫が言ってくれたから。
だから行きたい時に行く。
それでいいんだよね?
:09/01/03 21:39 :SH901iC :diob1dTs
#225 [ゆーちん]
シホになってちょうど1週間が経った。
「久しぶりに集会行ってもいい?」
私の質問に哲夫は笑って答えた。
「温かい格好してけよ。」
私の顔も自然と綻んだ。
この前のように肩を抱かれ、私たちは集会場所に向かう。
:09/01/03 21:40 :SH901iC :diob1dTs
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